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第一章~悪魔との同居~

社宅は最上階

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心海ここみ、最上階なの!?」



総務の人から渡された紙を持って、立つのはそびえ立つマンションの前。

隣にいるのは同期の八重樫朱莉やえがししゅり

あたし、茅ヶ崎心海ちがさきここみと朱莉は今年短大を卒業した21さい。
まだ誕生日はきていないから20さいだね。

目の前にそびえ立つのは、社宅であるマンション。
結構な大手企業に入社したようで、目の前のマンションはタワーマンションだ。



「最上階って眺めよさそう」



総務の人が渡してくれた紙には、あたしの部屋は3001と書いてあった。



「書き間違えじゃないよね?」



朱莉が心配そうに見る。



「でも、行くしかないよね。本当に最上階ならラッキー」



集合ポストを見てみても、最上階は30階になっている。



「空いてる部屋なかったのかな?」


「たぶん?じゃないと新入社員に最上階なんて与えないよね?」


「それかこの半年で、実力を飼われた?」


「それはないない!」



あたしたちは入社の4月からの半年間。
研修として、ホテル泊まりで会社に通っていた。
配属先が正式に決まった、いまやっと社宅に入社というわけ。




「じゃあ、今度最上階遊びに行かせてよね!」


「うん」



朱莉の部屋がある、10階でエレベーターのドアが開くとヒラヒラと手を振って出ていく。



「どんな部屋なんだろう」



郵便受けを見ると、30階だけ1部屋しかなかった。
他の階は何部屋か郵便受けがあった気がしたのに。



「まさかワンフロア……なわけないか」



最上階ってだけでもおかしいことなのに、ワンフロアなんてあるはずがない。
だいたい独りでワンフロアなんて、どこかのお嬢様じゃないんだから。



「でも、やっぱり眺めいいなぁー」



どんどんと上に上がっていくエレベーター。
外を見ればどんどんと街並みは小さくなっていき、どんどんと空に近くなっていく。



──チーンッ



どこにでもあるような音を鳴らして、目的の階にエレベーターたどり着く。



「えっと……?」



エレベーターを降りるとドアがない。



「あれ?」



さっき、朱莉の階で止まったときはたしかエレベーターの前にのなん部屋かあったのに。ここには、壁しかない。



「……どういうこと?」



少し右側へ歩いていくも、壁があるだけ。



「ここ……?」



少し歩いてやっと見えてきたひとつの扉。



「ひとつだけ?」



ドアの上部には〝3001〟とたしかにあたしが与えられた部屋番号が書いてある。



「まさかの本当にワンフロア!?」



大きな声を出してハッとしたけど、このフロアには他に部屋もないし聞かれるわけもないとホッとする。



「とりあえず、入ろう……」



こんなとこで立ちすくしていても何もない。

なんだかよくないことが起こりそうな予感がしながらも、鍵穴に鍵を差し込む。


ガチャリと音がして、鍵あく。



「本当にこの部屋なんだ……」



鍵が合っているということはそういうこと。


扉を開けると、目の前にはまず長い廊下。
玄関の前、縦長に広がっている。



「ひっろ……」



ワンフロアって時点で想像はしていたけど、一体何部屋あるのだろうか。



「一体、何部屋……」



縦長に続いてる廊下にはいくつもの部屋があって、突き当たりまでいくと行き止まりというか、ドアがあったのでそこを開ける。



「リビング……ひろ……」



開いたその先には、ダンススタジオ以上あるのではないかと思うぐらいのリビングとそして、カウンターキッチン。



「一人暮らしには広すぎないかな……」



リビングをキョロキョロと物色する。

すでにリビングには家具の配置もされていて、そのどれもがオシャレでセンスのいいものだった。



「なんか至れり尽くせり?」



お金待ち企業のやることは違うなと感心しているときだった。


──カタンッ
と、何かの音が聞こえた。



「……?」



音のする方向へと足を向けようとした瞬間、リビングのドアが開く。



「っ~~!?!?!?」



いきなり目の前に出てきた光景に言葉を失う。



「あんた誰?」



あたしの様子なんかお構いなしで、髪の毛をバスタオルで拭いている。


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