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最終章~ずっと一緒に
ずっと一緒にいような
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「葉菜とは、ただ話してたけだからな?」
学くんがハッとなってあたしの顔をのぞき込む。
「本当に?」
二人でひとつの部屋にいてなにもないわけがないがないと思っていたし、葉菜さんもなにかがあった風だったから。
想像はついていたことだけど、もしもそう言われるとショックはでかいだろう。
嘘でも構わないから、否定はして欲しい。
「一度きてしまったものを我慢するのはかなりキツかったけど、ちとせ以外としたいなんておもわなかったから」
「学くん.......嘘でも嬉しいよ」
「おい、なんで嘘になんだよ」
あたしの言葉に学くんが眉をひそめる。
「だって、葉菜さんも何かあったようなこと言ってたし.......」
「おい、あいつの言うことは信じるな。俺を見ろ」
「だって、どうみても葉菜さんの方が綺麗じゃない.......」
「俺が好きなのはちとせだし、ちとせ以外となんてもうありえなさすぎる」
学くんがあたしのことをぎゅっと抱きしめる。
「バカ……」
わかってる。
それが男の子だってことも分かってる。
「何度も一度高揚したものを抑えるのが大変で葉菜に手を出しそうになったのは事実だよ」
「.......うん」
「葉菜も誘ってくるし」
「それなのに、そんな部屋にいるのがもう信じられないけど」
「ごめんって.......」
機嫌を損ねたあたしの機嫌をなおそうと、顔をのぞき込む。
「別に怒ってないよ?呆れてるだけで」
「おい、それ怒ってるだろ。でも、怒ってたとしても離さないけどな」
下手に出てるかと思えば、すぐに俺様っぷりを発揮してくる。
「それ、悪いと思ってるの?」
「思ってるけど、俺のもんだから」
「バカ……ほんとバカ」
そのまま、学くんな胸に飛び込む。
「好き……」
何をされても。
何があっても。
学くんのことはどうしても好きなんだ。
「ん。俺も」
あたしの顔を上げて、唇にキスを落とす。
「ずっと思ってた。ちとせと違う風に出会ってたらずっと一緒だったのかなって」
「うん」
話を聞いてから、あたしもずっとそう思って。
でも、お父さんがお母さんと出会ったからあたしが生まれて。お父さんがお母さんと離婚して、遊佐家に入ったからあたしの存在を知って。
お母さんのことを恨んでいたからうちの高校に教育実習にきて。
どれかひとつでも欠けたら、あたしたちは出会っていない。
「どれかひとつでも欠けたら俺ら、出会ってないんだよな」
「あ……」
考えてたことと同じことが学くんが言ってくれて。
同じ気持ちなんだと嬉しくなる。
「ん?」
「同じこと考えてた」
「なんだそれ。嬉しいじゃん」
心の底から喜んでる笑顔で、あたし達の関係は間違っていないと教えてくれている気がする。
「かわいい、ちとせ」
チュッと瞼にキスをされる。
「なんか、甘い。学くん」
いままで、甘い言葉なんて言われず、命令ばかりされていた気がする。
だからなんだか、甘い学くんにくすぐったくなってしまう。
「俺は、本当はいつでもお前には甘いよ」
そうしてまたあたしをソファーへと沈める。
「甘い俺は嫌い?」
自信満々の顔で言われて、あたしの顔はどんどん赤くなっていく。
「嫌いじゃ、ない」
「ん。よろしい」
満足気な笑を浮かべて。
学くんの唇は口、そしてどんどん下へと移っていく。
「やっと俺だけのものにできる。ずっとこうしたかった」
愛しいものに触れるように、甘い甘い口付けをあたしにしていく。
甘い甘い旋律に、あたしは離れることなんでできなくて、溺れてしまいそう。
「あたしだけの王子様でいてね」
「ちとせ以外に甘くするつもりもないよ」
あたしにだけ溺愛してくれる。本当はずっとずっとあたしだけの溺愛王子様。
そんな彼に溺れていくのは、とても幸せなことでした。
「ずっと一緒にような」
-本編 完-
学くんがハッとなってあたしの顔をのぞき込む。
「本当に?」
二人でひとつの部屋にいてなにもないわけがないがないと思っていたし、葉菜さんもなにかがあった風だったから。
想像はついていたことだけど、もしもそう言われるとショックはでかいだろう。
嘘でも構わないから、否定はして欲しい。
「一度きてしまったものを我慢するのはかなりキツかったけど、ちとせ以外としたいなんておもわなかったから」
「学くん.......嘘でも嬉しいよ」
「おい、なんで嘘になんだよ」
あたしの言葉に学くんが眉をひそめる。
「だって、葉菜さんも何かあったようなこと言ってたし.......」
「おい、あいつの言うことは信じるな。俺を見ろ」
「だって、どうみても葉菜さんの方が綺麗じゃない.......」
「俺が好きなのはちとせだし、ちとせ以外となんてもうありえなさすぎる」
学くんがあたしのことをぎゅっと抱きしめる。
「バカ……」
わかってる。
それが男の子だってことも分かってる。
「何度も一度高揚したものを抑えるのが大変で葉菜に手を出しそうになったのは事実だよ」
「.......うん」
「葉菜も誘ってくるし」
「それなのに、そんな部屋にいるのがもう信じられないけど」
「ごめんって.......」
機嫌を損ねたあたしの機嫌をなおそうと、顔をのぞき込む。
「別に怒ってないよ?呆れてるだけで」
「おい、それ怒ってるだろ。でも、怒ってたとしても離さないけどな」
下手に出てるかと思えば、すぐに俺様っぷりを発揮してくる。
「それ、悪いと思ってるの?」
「思ってるけど、俺のもんだから」
「バカ……ほんとバカ」
そのまま、学くんな胸に飛び込む。
「好き……」
何をされても。
何があっても。
学くんのことはどうしても好きなんだ。
「ん。俺も」
あたしの顔を上げて、唇にキスを落とす。
「ずっと思ってた。ちとせと違う風に出会ってたらずっと一緒だったのかなって」
「うん」
話を聞いてから、あたしもずっとそう思って。
でも、お父さんがお母さんと出会ったからあたしが生まれて。お父さんがお母さんと離婚して、遊佐家に入ったからあたしの存在を知って。
お母さんのことを恨んでいたからうちの高校に教育実習にきて。
どれかひとつでも欠けたら、あたしたちは出会っていない。
「どれかひとつでも欠けたら俺ら、出会ってないんだよな」
「あ……」
考えてたことと同じことが学くんが言ってくれて。
同じ気持ちなんだと嬉しくなる。
「ん?」
「同じこと考えてた」
「なんだそれ。嬉しいじゃん」
心の底から喜んでる笑顔で、あたし達の関係は間違っていないと教えてくれている気がする。
「かわいい、ちとせ」
チュッと瞼にキスをされる。
「なんか、甘い。学くん」
いままで、甘い言葉なんて言われず、命令ばかりされていた気がする。
だからなんだか、甘い学くんにくすぐったくなってしまう。
「俺は、本当はいつでもお前には甘いよ」
そうしてまたあたしをソファーへと沈める。
「甘い俺は嫌い?」
自信満々の顔で言われて、あたしの顔はどんどん赤くなっていく。
「嫌いじゃ、ない」
「ん。よろしい」
満足気な笑を浮かべて。
学くんの唇は口、そしてどんどん下へと移っていく。
「やっと俺だけのものにできる。ずっとこうしたかった」
愛しいものに触れるように、甘い甘い口付けをあたしにしていく。
甘い甘い旋律に、あたしは離れることなんでできなくて、溺れてしまいそう。
「あたしだけの王子様でいてね」
「ちとせ以外に甘くするつもりもないよ」
あたしにだけ溺愛してくれる。本当はずっとずっとあたしだけの溺愛王子様。
そんな彼に溺れていくのは、とても幸せなことでした。
「ずっと一緒にような」
-本編 完-
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