52 / 60
異世界との繋がり
どわーふ
しおりを挟む
コメント:おぉ、ドワーフだ!
コメント:髭を三つ編みにしてる!
コメント:細かい三つ編みだな。
コメント:作画コスト高。このドワーフ
コメント:めっちゃこっち睨んでる!
コメント:顔でかくね?
コメント欄、好き勝手言ってるな……。スマホから目を離すと正面のドワーフに睨まれた。
「何をチラチラと見てやがるんだ?」
「どわーふさん! 髭、オシャレだね!」
ドワーフの厳つい顔が一瞬緩む。しかし直ぐに鋭い眼光に戻った。
「ふん! いくら儂の髭を褒めたって無駄だぞ! 人間がこんなところまでやってきて、何のようだ?」
「ルーメン、髭かっこいいね!」
「あぁ。そうだな。羨ましい」
──ニヤ。またドワーフの顔が緩んだ。こいつ、意外とちょろいぞ。
「そ、そんなに儂の髭、かっこいいか?」
「カッコイイ! カッコイイ! カッコイイイ!!」
──ニヤニヤニヤ。
ニコが止めを刺すように連呼し、ドワーフは完全に相好を崩してデレデレになってしまった。ニコの奴、分かってやっているのか? それとも天然の人たらしなのか?
「まぁ、いい。とりあえず中に入れ。話はそれから聞こう」
ニコのお陰で掴みは成功だ。俺は上半身裸のまま、ドワーフの棲家にお邪魔することになった。
#
巨大土管の住居は天井の窮屈さはあるものの、妙な安心感のある空間だった。背の低いドワーフにはさぞかし落ち着くことだろう。
定位置なのか? 木製のロッキングチェアに腰掛けたドワーフは自分のことを「パンダモンド」と名乗った。
それを聞いたニコがまた「カッコイイ」を連呼したもんだから、完全に緊張感は無くなってしまった。なんでも話を聞いてくれそうな雰囲気だ。
「ほう。アンスラからの使いだったのか? どうだ? あのババアは元気だったか?」
「ババア!?」
ニコが驚き声を上げると、土管の住居の中で反響した。
「見た目からは分からんだろうが、もう五百年は生きているぞ。奴はとんでもないババアだ」
そう言いながらパンダモンドは自慢の髭をしごく。ゆらゆらと揺れながら。
「エルフってのはイメージ通り、長命なんだな」
「そうだぞ。見た目に騙されるなよ」
……うーん。完全に見た目を優先して水着配信をお願いしてしまったが、まぁいいか……。
「それで、壊れた魔道具ってのは?」
「この中に山と入っている」
パンパンになったリュックを叩くと、パンダモンドは眉間に皺を寄せた。
「あのババア。モノを大事に使うってことをしらんのか。全く」
そうは言うものの、パンダモンドは心の底から嫌がっているようには見えなかった。きっと長い付き合いなのだろう。今回と似たようなことが過去に何度もあったのかも知れない。
「そこのテーブルに並べて置いてくれ」
諦めたように言うパンダモンドは相変わらず揺れている。
「なぁ、わぁもその椅子に座りたい」
「駄目だ。ここは儂の場所だ」
「座る!」
そう言ってニコはロッキングチェアで揺れるパンダモンドの上に乗っかった。
「こら、やめんか!」
「にひひひ! 揺れて面白い!!」
二人分の体重で限界まで揺れるロッキングチェア。ニコはひたすら楽しそうに笑っている。一方のパンダモンドは迷惑そうにしながらも、その顔は緩い。まだあどけなさの残る鬼っ子にデレデレのドワーフ。
この様子は勿論配信され、それ以降、パンダモンドはロリコンドワーフと呼ばれることとなった。
コメント:髭を三つ編みにしてる!
コメント:細かい三つ編みだな。
コメント:作画コスト高。このドワーフ
コメント:めっちゃこっち睨んでる!
コメント:顔でかくね?
コメント欄、好き勝手言ってるな……。スマホから目を離すと正面のドワーフに睨まれた。
「何をチラチラと見てやがるんだ?」
「どわーふさん! 髭、オシャレだね!」
ドワーフの厳つい顔が一瞬緩む。しかし直ぐに鋭い眼光に戻った。
「ふん! いくら儂の髭を褒めたって無駄だぞ! 人間がこんなところまでやってきて、何のようだ?」
「ルーメン、髭かっこいいね!」
「あぁ。そうだな。羨ましい」
──ニヤ。またドワーフの顔が緩んだ。こいつ、意外とちょろいぞ。
「そ、そんなに儂の髭、かっこいいか?」
「カッコイイ! カッコイイ! カッコイイイ!!」
──ニヤニヤニヤ。
ニコが止めを刺すように連呼し、ドワーフは完全に相好を崩してデレデレになってしまった。ニコの奴、分かってやっているのか? それとも天然の人たらしなのか?
「まぁ、いい。とりあえず中に入れ。話はそれから聞こう」
ニコのお陰で掴みは成功だ。俺は上半身裸のまま、ドワーフの棲家にお邪魔することになった。
#
巨大土管の住居は天井の窮屈さはあるものの、妙な安心感のある空間だった。背の低いドワーフにはさぞかし落ち着くことだろう。
定位置なのか? 木製のロッキングチェアに腰掛けたドワーフは自分のことを「パンダモンド」と名乗った。
それを聞いたニコがまた「カッコイイ」を連呼したもんだから、完全に緊張感は無くなってしまった。なんでも話を聞いてくれそうな雰囲気だ。
「ほう。アンスラからの使いだったのか? どうだ? あのババアは元気だったか?」
「ババア!?」
ニコが驚き声を上げると、土管の住居の中で反響した。
「見た目からは分からんだろうが、もう五百年は生きているぞ。奴はとんでもないババアだ」
そう言いながらパンダモンドは自慢の髭をしごく。ゆらゆらと揺れながら。
「エルフってのはイメージ通り、長命なんだな」
「そうだぞ。見た目に騙されるなよ」
……うーん。完全に見た目を優先して水着配信をお願いしてしまったが、まぁいいか……。
「それで、壊れた魔道具ってのは?」
「この中に山と入っている」
パンパンになったリュックを叩くと、パンダモンドは眉間に皺を寄せた。
「あのババア。モノを大事に使うってことをしらんのか。全く」
そうは言うものの、パンダモンドは心の底から嫌がっているようには見えなかった。きっと長い付き合いなのだろう。今回と似たようなことが過去に何度もあったのかも知れない。
「そこのテーブルに並べて置いてくれ」
諦めたように言うパンダモンドは相変わらず揺れている。
「なぁ、わぁもその椅子に座りたい」
「駄目だ。ここは儂の場所だ」
「座る!」
そう言ってニコはロッキングチェアで揺れるパンダモンドの上に乗っかった。
「こら、やめんか!」
「にひひひ! 揺れて面白い!!」
二人分の体重で限界まで揺れるロッキングチェア。ニコはひたすら楽しそうに笑っている。一方のパンダモンドは迷惑そうにしながらも、その顔は緩い。まだあどけなさの残る鬼っ子にデレデレのドワーフ。
この様子は勿論配信され、それ以降、パンダモンドはロリコンドワーフと呼ばれることとなった。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。

社畜の俺の部屋にダンジョンの入り口が現れた!? ダンジョン配信で稼ぐのでブラック企業は辞めさせていただきます
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
Re:Monster(リモンスター)――怪物転生鬼――
金斬 児狐
ファンタジー
ある日、優秀だけど肝心な所が抜けている主人公は同僚と飲みに行った。酔っぱらった同僚を仕方無く家に運び、自分は飲みたらない酒を買い求めに行ったその帰り道、街灯の下に静かに佇む妹的存在兼ストーカーな少女と出逢い、そして、満月の夜に主人公は殺される事となった。どうしようもないバッド・エンドだ。
しかしこの話はそこから始まりを告げる。殺された主人公がなんと、ゴブリンに転生してしまったのだ。普通ならパニックになる所だろうがしかし切り替えが非常に早い主人公はそれでも生きていく事を決意。そして何故か持ち越してしまった能力と知識を駆使し、弱肉強食な世界で力強く生きていくのであった。
しかし彼はまだ知らない。全てはとある存在によって監視されているという事を……。
◆ ◆ ◆
今回は召喚から転生モノに挑戦。普通とはちょっと違った物語を目指します。主人公の能力は基本チート性能ですが、前作程では無いと思われます。
あと日記帳風? で気楽に書かせてもらうので、説明不足な所も多々あるでしょうが納得して下さい。
不定期更新、更新遅進です。
話数は少ないですが、その割には文量が多いので暇なら読んでやって下さい。
※ダイジェ禁止に伴いなろうでは本編を削除し、外伝を掲載しています。

異世界帰還組の英雄譚〜ハッピーエンドのはずだったのに故郷が侵略されていたので、もう一度世界を救います〜
金華高乃
ファンタジー
〈異世界帰還後に彼等が初めて会ったのは、地球ではありえない異形のバケモノたち〉
異世界から帰還した四人を待っていたのは、新たな戦争の幕開けだった。
六年前、米原孝弘たち四人の男女は事故で死ぬ運命だったが異世界に転移させられた。
世界を救って欲しいと無茶振りをされた彼等は、世界を救わねばどのみち地球に帰れないと知り、紆余曲折を経て異世界を救い日本へ帰還した。
これからは日常。ハッピーエンドの後日談を迎える……、はずだった。
しかし。
彼等の前に広がっていたのは凄惨な光景。日本は、世界は、異世界からの侵略者と戦争を繰り広げていた。
彼等は故郷を救うことが出来るのか。
血と硝煙。数々の苦難と絶望があろうとも、ハッピーエンドがその先にあると信じて、四人は戦いに身を投じる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる