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第20話 黄金のポーション
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アミラフは当たり奴隷だった。
本来は金貨200枚という値段にも頷けるぐらいに。
まず、戦闘能力が高い。身体強化の魔法を得意としていて、単独での狩りも全く苦にしない。
カーチス武具店で買った大剣を軽々と振り回し、オークなんかも一刀両断してしまう。
グラスと組めば更に凄まじい。狼の精霊が取り憑けば大体の魔物は動きが止まる。
そこをアミラフが首を刎ねて回るのだ。
二人が魔の森に三日も行けば、ポーションに必要な素材が集まるようになってしまった。
次は器用さだ。
戦い方は豪快な割に、アミラフは器用だ。素材の精製も難なくこなす。
本人に聞くと「あーしは有名な盗賊やったからねぇ。鍵開けなんかもお手の物よ」と得意げに話した。
そして一番は魔力。エルフは元々、人間に比べて魔力の多い種族らしい。その中でもアミラフはずば抜けていた。身体強化魔法しか使えない代わりに、普通のエルフの何倍もの魔力量があるとか。
それが判明したのはアミラフを冒険者登録した時。魔力量を測る水晶が割れてしまったのだ。眼鏡の女職員の引き攣った顔を俺は忘れない。
そして今、その膨大な魔力を使ってポーションを合成しようとしている。
『ニンニン。ポーションを合成するとき、魔法陣に注がれる魔力の量が多ければ多いほど、質は高くなるんだよな?』
『そうだよ。私が全力でやったら上級ポーションが合成できた』
ニンニンとグラスは俺のベッドの上にちょこんと座り、神妙な顔をしている。その視線の先にはポーション合成魔法陣と精製された素材の入ったビーカーがある。
『あーしが全力でやったら、どーなるんやろうねぇ』
机の前に立つアミラフが不敵に笑った。胸を張って自信満々の表情で魔法陣を見下ろしている。
『じゃあ、やってくれ』
俺が合図を出すと、アミラフは魔力を練り始める。
普通、魔力は目に見えない。しかし、ある一定以上の魔力が一か所に集まると、可視化する。
アミラフの右手が輝き始めた。拍動するように点滅しながら、どんどん光は強くなる。
その手が、魔法陣に触れる──。眩い光で一瞬、視界が白くなった。
『……すごい……』
『……ウォン……』
ニンニンとグラスが小さく漏らした。アミラフがビーカーを手に取り、高く掲げる。その液体は黄金色に輝いている。
『どーよ? これ、上級ポーションの更に上を行ったんちゃう?』
俺が飲んだ上級ポーションは紫色だった。アミラフが手に持つポーションは黄金色。期待感が増す。
『ニンニン。ポーションの性能を試すにはどうしたらいい?』
うーんと考える。
『魔物で試すのが一番いいんじゃないかな?』
なるほど。それが一番現実的か。
『よし。魔の森に行こう。アミラフ、ビーカーの中身を小瓶につめてくれ』
『まかせときー。いや~楽しみやなぁ』
逸る気持ちを押さえながら、俺達は宿を出た。そして、魔の森へ。
本来は金貨200枚という値段にも頷けるぐらいに。
まず、戦闘能力が高い。身体強化の魔法を得意としていて、単独での狩りも全く苦にしない。
カーチス武具店で買った大剣を軽々と振り回し、オークなんかも一刀両断してしまう。
グラスと組めば更に凄まじい。狼の精霊が取り憑けば大体の魔物は動きが止まる。
そこをアミラフが首を刎ねて回るのだ。
二人が魔の森に三日も行けば、ポーションに必要な素材が集まるようになってしまった。
次は器用さだ。
戦い方は豪快な割に、アミラフは器用だ。素材の精製も難なくこなす。
本人に聞くと「あーしは有名な盗賊やったからねぇ。鍵開けなんかもお手の物よ」と得意げに話した。
そして一番は魔力。エルフは元々、人間に比べて魔力の多い種族らしい。その中でもアミラフはずば抜けていた。身体強化魔法しか使えない代わりに、普通のエルフの何倍もの魔力量があるとか。
それが判明したのはアミラフを冒険者登録した時。魔力量を測る水晶が割れてしまったのだ。眼鏡の女職員の引き攣った顔を俺は忘れない。
そして今、その膨大な魔力を使ってポーションを合成しようとしている。
『ニンニン。ポーションを合成するとき、魔法陣に注がれる魔力の量が多ければ多いほど、質は高くなるんだよな?』
『そうだよ。私が全力でやったら上級ポーションが合成できた』
ニンニンとグラスは俺のベッドの上にちょこんと座り、神妙な顔をしている。その視線の先にはポーション合成魔法陣と精製された素材の入ったビーカーがある。
『あーしが全力でやったら、どーなるんやろうねぇ』
机の前に立つアミラフが不敵に笑った。胸を張って自信満々の表情で魔法陣を見下ろしている。
『じゃあ、やってくれ』
俺が合図を出すと、アミラフは魔力を練り始める。
普通、魔力は目に見えない。しかし、ある一定以上の魔力が一か所に集まると、可視化する。
アミラフの右手が輝き始めた。拍動するように点滅しながら、どんどん光は強くなる。
その手が、魔法陣に触れる──。眩い光で一瞬、視界が白くなった。
『……すごい……』
『……ウォン……』
ニンニンとグラスが小さく漏らした。アミラフがビーカーを手に取り、高く掲げる。その液体は黄金色に輝いている。
『どーよ? これ、上級ポーションの更に上を行ったんちゃう?』
俺が飲んだ上級ポーションは紫色だった。アミラフが手に持つポーションは黄金色。期待感が増す。
『ニンニン。ポーションの性能を試すにはどうしたらいい?』
うーんと考える。
『魔物で試すのが一番いいんじゃないかな?』
なるほど。それが一番現実的か。
『よし。魔の森に行こう。アミラフ、ビーカーの中身を小瓶につめてくれ』
『まかせときー。いや~楽しみやなぁ』
逸る気持ちを押さえながら、俺達は宿を出た。そして、魔の森へ。
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