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第17話 「整う」とは
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夕方の冒険者ギルドは依頼を終えた冒険者達で賑わっていた。
大半は買取カウンターや依頼カウンターに並び、清算を行っている。
俺はベンチに座り、ハッサンが現れるのを待っていた。噂では毎日のように魔の森に向かい、精力的に狩りを行っているらしい。
「おぉ! ツボタじゃないか!」
日焼けして健康的な見た目のスキンヘッドの男達が現れた。ハッサンとそのパーティーメンバー二人だ。俺の座るベンチに小走りでやってくる。
「久しぶりだな。ハッサン。調子はどうだ?」
「もうばりばり、整っているぜ! 見ろよこれ!」
そういうと、ハッサンとパーティーメンバーが背負っていたリュックを俺に見せた。いずれも素材でパンパンだ。余程狩りが上手くいったらしい。
「それはよかった」
「全て仙人水のおかげだよ! なんて言うか、心と身体が完全に一致した感じになるんだ」
「それが【整う】ってことだ。で、その仙人水なんだが、そろそろ無くなるんじゃないか?」
ハッサンはパーティーメンバーと顔を見合わせる。
「実はよー、俺だけじゃなくてこいつら二人にも仙人水を体験させたいんだ。駄目か?」
よし! きた! ニンニンを見ると、ニヤニヤしている。思惑通りに進んでいるからだ。
「それは構わないが、流石にただというわけにはいかないぞ? 一壺、大銀貨一枚はもらう」
ハッサンは目を丸くする。
「たった大銀貨一枚でいいのか? 金貨一枚でも惜しくないぞ!?」
「別に俺は金儲けでやっているわけじゃないからな。みんなに仙人水を広げ、【整う】って感覚を知ってほしいだけだ」
「欲のないやつだぜ。ツボタは」
ハッサン達は「素材を売ったら野兎亭に壺を取りに行く」と言って、買取カウンターの列にならんだ。
『ツボタ! 凄いじゃない! 一日で四件契約が取れたよ!』
『ウォンウォンウォンウォン…!!』
ニンニンとグラスが飛び回って喜ぶ。
『見ていたか? 俺とハッサンが話している時の冒険者達の顔を。【仙人水】ってなんだ? と興味津々の様子だったぞ。ハッサンのデカイ声が役に立った』
『他の冒険者達も仙人水を欲しがるかな?』
『体が資本の冒険者だ。大銀貨一枚で身体が【整う】のなら、安いものだと考える者は多いだろう』
ニンニンは嬉しそうに頷いた。自分が人生を賭して開発したポーションが、人々の間に広がり始めたからだろう。それも、安価に。
『よし! 宿に戻るぞ。カーチスが壺を取りに来ているかもしれない』
『はいはーい!』
『ウォンウォン!』
日が暮れ始めたヘルガートの街。足早に野兎亭へと帰った。
大半は買取カウンターや依頼カウンターに並び、清算を行っている。
俺はベンチに座り、ハッサンが現れるのを待っていた。噂では毎日のように魔の森に向かい、精力的に狩りを行っているらしい。
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そういうと、ハッサンとパーティーメンバーが背負っていたリュックを俺に見せた。いずれも素材でパンパンだ。余程狩りが上手くいったらしい。
「それはよかった」
「全て仙人水のおかげだよ! なんて言うか、心と身体が完全に一致した感じになるんだ」
「それが【整う】ってことだ。で、その仙人水なんだが、そろそろ無くなるんじゃないか?」
ハッサンはパーティーメンバーと顔を見合わせる。
「実はよー、俺だけじゃなくてこいつら二人にも仙人水を体験させたいんだ。駄目か?」
よし! きた! ニンニンを見ると、ニヤニヤしている。思惑通りに進んでいるからだ。
「それは構わないが、流石にただというわけにはいかないぞ? 一壺、大銀貨一枚はもらう」
ハッサンは目を丸くする。
「たった大銀貨一枚でいいのか? 金貨一枚でも惜しくないぞ!?」
「別に俺は金儲けでやっているわけじゃないからな。みんなに仙人水を広げ、【整う】って感覚を知ってほしいだけだ」
「欲のないやつだぜ。ツボタは」
ハッサン達は「素材を売ったら野兎亭に壺を取りに行く」と言って、買取カウンターの列にならんだ。
『ツボタ! 凄いじゃない! 一日で四件契約が取れたよ!』
『ウォンウォンウォンウォン…!!』
ニンニンとグラスが飛び回って喜ぶ。
『見ていたか? 俺とハッサンが話している時の冒険者達の顔を。【仙人水】ってなんだ? と興味津々の様子だったぞ。ハッサンのデカイ声が役に立った』
『他の冒険者達も仙人水を欲しがるかな?』
『体が資本の冒険者だ。大銀貨一枚で身体が【整う】のなら、安いものだと考える者は多いだろう』
ニンニンは嬉しそうに頷いた。自分が人生を賭して開発したポーションが、人々の間に広がり始めたからだろう。それも、安価に。
『よし! 宿に戻るぞ。カーチスが壺を取りに来ているかもしれない』
『はいはーい!』
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日が暮れ始めたヘルガートの街。足早に野兎亭へと帰った。
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