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夜から朝まで一緒にいられるとか、滅多にないから死ぬほど嬉しい。
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いつになったら目ェ覚めるんだろ、コイツ。
ヤラせてもくれねェ女の尻追いかけてンの見てたら腹立って来たから、一回アイツともヤッてみたけど大したことないよ?
フェラはむしろ入江サンのが上手かったくらい。
入江サンのが締まりもいいし、声も可愛い。
つか、何もかもオマエのが可愛い。
ハ~~店出たくねェ、シゴトしたくねェ……。
「仕事終わったらウチで待っててよ」
ダメ元で言ってみたら、
「明日も仕事なので……」
なんて困った顔で言うけれど、休みだったら来てくれンのかよ?
って、気分は単純に浮上する。
「明後日なら大丈夫ですよ?」
更にそう続いたから、思わず前のめりになった。
「明後日の朝?」
「明後日の夜からです」
夜から……って答えにだらしなくニヤけた。
夜から朝まで一緒にいられるとか、滅多にないから死ぬほど嬉しい。
「男前が台無しですよ」
呆れたように笑われるけど、今はこの場に入江サンしか居ないんだから仕事の顔作っててもしょーがねェし。
こんなアゲてくれンなら、また稼いで注ぎ込もうッて気分になるんだから、俺だってどーしようもなくバカな男だ。
出会った頃は賭け事で稼いでるって嘘ついてたけど、狭い街に通ってる者同士あっという間に鉢合わせてバレた。
仕事中だったからスーツも髪型もアクセから何から営業モードだったし、カッコからひと目でバレバレだった。
更に女客とウチの店から出てきたとこだったから秒で察せられたし、店前看板に顔出ししてるから源氏名まで知れた。
女に金貢がせてンのバレたら振られるかと思ったのに、入江サンは俺を振らなかった。
「たくさんの女の人たちから好かれているのに、君はどうして俺みたいなのとエッチして、お金までくれるんですか?」
本当に不思議そうに聞かれ、
「アレは仕事で、コレはプライベート」
って答えるのが精一杯だったけど。
今日の入江サンは時計をしてなかったな。
最初にしてたのは、社会人3年目のボーナスで初めて買ったっていう『ちゃんとした腕時計』だったけど、結局売っちまったみたいで気づけば消えてた。
こないだまで着けてたのは、俺が贈ってやった3本目の時計。
こっちだって、
『大好きな人へのプレゼント』
はそれなりに選んで贈っているものだから、
「アレも売ったか……」
と腐る気持ちが無いでもない。
けれど箱も保証書も店の紙袋までしっかり付けて、傷ひとつない時計を、
「お下がり」
ってテイで渡してるんだから、俺も大概の間抜けだ。
しかも短期間で3回も、
『それなりにちゃんとした時計』
を買い替えてるもんだから、目敏い女からすれば、
「まだ引っ張れる金はある」
って思わせてるんだろう。
俺がそんだけ惚れてンの態度に出してるの今日もスルーして、入江サンは夜の街に消えて行く。
目的地はいつも一緒だから見失ったりはしねェけど、フラフラと危なげな足取りが俺を不安にさせる。
あの金で、今夜はカミュのバカラボトルあたり入れるだろう。
誕生日当日はシャンパンタワーだって言ってた。
やっぱ派手な方がいいもんな。
これで女の誕生日直前に、またアイツを抱ける。
この際だから、諭吉バラ撒いてでもめちゃくちゃオプションつけてやる。
お前の数少ない本指で「ガチ恋客のゆいくん」は、俺に抱かれて稼いだ金で会いに来てるッて、あのバカ女に教えてやりたくなるよな、ホント。
そんなでなけなしの優越感に縋ってる俺も、相当バカみたいだけど。
いつになったら夢から醒めるのか――。
俺と女と入江サン、誰が最初に醒めるのか。
この街で夢見させる方法は幾らでも思いつくけれど、穏やかに覚ます方法とか俺は知らない。
ヤラせてもくれねェ女の尻追いかけてンの見てたら腹立って来たから、一回アイツともヤッてみたけど大したことないよ?
フェラはむしろ入江サンのが上手かったくらい。
入江サンのが締まりもいいし、声も可愛い。
つか、何もかもオマエのが可愛い。
ハ~~店出たくねェ、シゴトしたくねェ……。
「仕事終わったらウチで待っててよ」
ダメ元で言ってみたら、
「明日も仕事なので……」
なんて困った顔で言うけれど、休みだったら来てくれンのかよ?
って、気分は単純に浮上する。
「明後日なら大丈夫ですよ?」
更にそう続いたから、思わず前のめりになった。
「明後日の朝?」
「明後日の夜からです」
夜から……って答えにだらしなくニヤけた。
夜から朝まで一緒にいられるとか、滅多にないから死ぬほど嬉しい。
「男前が台無しですよ」
呆れたように笑われるけど、今はこの場に入江サンしか居ないんだから仕事の顔作っててもしょーがねェし。
こんなアゲてくれンなら、また稼いで注ぎ込もうッて気分になるんだから、俺だってどーしようもなくバカな男だ。
出会った頃は賭け事で稼いでるって嘘ついてたけど、狭い街に通ってる者同士あっという間に鉢合わせてバレた。
仕事中だったからスーツも髪型もアクセから何から営業モードだったし、カッコからひと目でバレバレだった。
更に女客とウチの店から出てきたとこだったから秒で察せられたし、店前看板に顔出ししてるから源氏名まで知れた。
女に金貢がせてンのバレたら振られるかと思ったのに、入江サンは俺を振らなかった。
「たくさんの女の人たちから好かれているのに、君はどうして俺みたいなのとエッチして、お金までくれるんですか?」
本当に不思議そうに聞かれ、
「アレは仕事で、コレはプライベート」
って答えるのが精一杯だったけど。
今日の入江サンは時計をしてなかったな。
最初にしてたのは、社会人3年目のボーナスで初めて買ったっていう『ちゃんとした腕時計』だったけど、結局売っちまったみたいで気づけば消えてた。
こないだまで着けてたのは、俺が贈ってやった3本目の時計。
こっちだって、
『大好きな人へのプレゼント』
はそれなりに選んで贈っているものだから、
「アレも売ったか……」
と腐る気持ちが無いでもない。
けれど箱も保証書も店の紙袋までしっかり付けて、傷ひとつない時計を、
「お下がり」
ってテイで渡してるんだから、俺も大概の間抜けだ。
しかも短期間で3回も、
『それなりにちゃんとした時計』
を買い替えてるもんだから、目敏い女からすれば、
「まだ引っ張れる金はある」
って思わせてるんだろう。
俺がそんだけ惚れてンの態度に出してるの今日もスルーして、入江サンは夜の街に消えて行く。
目的地はいつも一緒だから見失ったりはしねェけど、フラフラと危なげな足取りが俺を不安にさせる。
あの金で、今夜はカミュのバカラボトルあたり入れるだろう。
誕生日当日はシャンパンタワーだって言ってた。
やっぱ派手な方がいいもんな。
これで女の誕生日直前に、またアイツを抱ける。
この際だから、諭吉バラ撒いてでもめちゃくちゃオプションつけてやる。
お前の数少ない本指で「ガチ恋客のゆいくん」は、俺に抱かれて稼いだ金で会いに来てるッて、あのバカ女に教えてやりたくなるよな、ホント。
そんなでなけなしの優越感に縋ってる俺も、相当バカみたいだけど。
いつになったら夢から醒めるのか――。
俺と女と入江サン、誰が最初に醒めるのか。
この街で夢見させる方法は幾らでも思いつくけれど、穏やかに覚ます方法とか俺は知らない。
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