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俺がお前のことどう思ってるか、本当に分かってンのか?コイツ…ってのは別にしても。
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なんの仕事してるか聞いたことねーけど、割と仕立ての良いスーツを着てるのには気付いてた。
とはいえ、流行とかに左右されない堅実な型やデザインで。
まァ、割とお堅いところで働いてるのかも知れない。
ネクタイもワイシャツもベルトも靴もメガネも、清潔感はあるけど遊び心は全く無い。
良く言や誠実そうで、悪く言やつまらねーヤツ。
季節ごとに数着を数年間着回しているのだろうから、それなりに掛けた金は商売道具の初期投資って感じなのだろう。
それでも今日のネクタイは、入江サンに似合ってた。
こないだ俺が、自分で選んでプレゼントしてやったやつだから当たり前だ。
そういうのはきちんと身に着けて会いに来る辺り、一応そういう気の回し方は出来るらしい。
俺がお前のことどう思ってるか、本当に分かってンのか?コイツ……ってのは別にしても。
「もう食べないんですか?」
声に、思わずニヤける。
いままでこっちの事なんて気にもせず、ただひたすら目の前の鍋の中で浮いてる肉に夢中になってたくせに。
そんなしゃぶしゃぶ珍しいかよ、もっと食え、オラ。
「これから出勤だってのに、そんながっついて食えるかよ」
時刻は夕方、そろそろこの店を出てシャワーを浴びて、俺も戦闘服に着替えなくちゃならないけど、いつまでもグズグスしていたくなるのはコイツと居るからだ。
なんでこんなのにハマっちまッたンだろ?
と、自分でも時々首を捻りたくなるけれど、どうにも抜け出せないくらいハマってしまった後で、そんなこといくら考えても冷静な答えなんて出ない。
――それは入江サンも同じだろう。
さっきまでラブホで散々ッぱら俺に鳴かされてたくせに、受け取った金掴んで惚れた女に会いに行くッて言うんだから、どーしよーもねェのはコイツも一緒。
歓楽街の女に惚れて、リップサービスを本気にして、結構良い給料貰ってンだろーにギリギリまで搾り取られて。
途方に暮れたような目をしてるかと思ったら、やけにキラキラした目で呆れるくらいにポジティブ。
年下の俺に犯ラレてて、アラサーなのに童貞で、ポジティブになれる要素など全く見当たらねーッての!
「推しに貢ぐのは俺の幸せですから!」
とか言うけれど、それならそれでアイドルにでもハマってた方が健全だろ?
――なんて、俺が言えた義理でもねーが。
最初会った時はコイツもやっぱ途方に暮れてた。
コイツの惚れた女は、トップとは言わないがそれなりの高級キャバの嬢で、だけど看板になるほど売れてる女でもない。
こいつが散々月給やらボーナス注ぎ込んでも、とてもナンバーワンになどなれない女。
何せその上がとんでもない数字稼いでるからなァ。
だけどそれがなおさらコイツを燃え上がらせるのか、益々加速させられる浪費。
女に払った金は、また夜の街へと吸い込まれてくだけなのに。
今月はその女の誕生月だから、尚更金に糸目はつけなくなってて、そろそろ街金にでも手を出すんじゃねーか?
ってのヤバいんだけど、言ったって聞かないからしょうがなく仕事世話してやってる感じだ。
とはいえ、流行とかに左右されない堅実な型やデザインで。
まァ、割とお堅いところで働いてるのかも知れない。
ネクタイもワイシャツもベルトも靴もメガネも、清潔感はあるけど遊び心は全く無い。
良く言や誠実そうで、悪く言やつまらねーヤツ。
季節ごとに数着を数年間着回しているのだろうから、それなりに掛けた金は商売道具の初期投資って感じなのだろう。
それでも今日のネクタイは、入江サンに似合ってた。
こないだ俺が、自分で選んでプレゼントしてやったやつだから当たり前だ。
そういうのはきちんと身に着けて会いに来る辺り、一応そういう気の回し方は出来るらしい。
俺がお前のことどう思ってるか、本当に分かってンのか?コイツ……ってのは別にしても。
「もう食べないんですか?」
声に、思わずニヤける。
いままでこっちの事なんて気にもせず、ただひたすら目の前の鍋の中で浮いてる肉に夢中になってたくせに。
そんなしゃぶしゃぶ珍しいかよ、もっと食え、オラ。
「これから出勤だってのに、そんながっついて食えるかよ」
時刻は夕方、そろそろこの店を出てシャワーを浴びて、俺も戦闘服に着替えなくちゃならないけど、いつまでもグズグスしていたくなるのはコイツと居るからだ。
なんでこんなのにハマっちまッたンだろ?
と、自分でも時々首を捻りたくなるけれど、どうにも抜け出せないくらいハマってしまった後で、そんなこといくら考えても冷静な答えなんて出ない。
――それは入江サンも同じだろう。
さっきまでラブホで散々ッぱら俺に鳴かされてたくせに、受け取った金掴んで惚れた女に会いに行くッて言うんだから、どーしよーもねェのはコイツも一緒。
歓楽街の女に惚れて、リップサービスを本気にして、結構良い給料貰ってンだろーにギリギリまで搾り取られて。
途方に暮れたような目をしてるかと思ったら、やけにキラキラした目で呆れるくらいにポジティブ。
年下の俺に犯ラレてて、アラサーなのに童貞で、ポジティブになれる要素など全く見当たらねーッての!
「推しに貢ぐのは俺の幸せですから!」
とか言うけれど、それならそれでアイドルにでもハマってた方が健全だろ?
――なんて、俺が言えた義理でもねーが。
最初会った時はコイツもやっぱ途方に暮れてた。
コイツの惚れた女は、トップとは言わないがそれなりの高級キャバの嬢で、だけど看板になるほど売れてる女でもない。
こいつが散々月給やらボーナス注ぎ込んでも、とてもナンバーワンになどなれない女。
何せその上がとんでもない数字稼いでるからなァ。
だけどそれがなおさらコイツを燃え上がらせるのか、益々加速させられる浪費。
女に払った金は、また夜の街へと吸い込まれてくだけなのに。
今月はその女の誕生月だから、尚更金に糸目はつけなくなってて、そろそろ街金にでも手を出すんじゃねーか?
ってのヤバいんだけど、言ったって聞かないからしょうがなく仕事世話してやってる感じだ。
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