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娘の話

娘の話

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 「娘の話」

このお話は、わたしの娘が2歳の時に、起こったお話です。

娘が2歳になった頃、私のおばあちゃんが、倒れました。末期のガンでした。余命3ヶ月と、言われましたが、その後10ヶ月は、生きました。病院が家から近くでしたので、私は娘を連れて毎日のように、おばあちゃんに会いにいきました。
おばあちゃんは、私の娘をとても可愛がってくれました。
よく手を繋いで「お~て~て~つ~ないで~の~み~ち~を~ゆ~け~ば~」と、靴の音と言う歌を教えて、自販機までジュースを買いに行ってました。
娘もよくその歌を歌っていました。
おばあちゃんが、亡くなる2週間前に私と娘が、風邪をひいて、面会に行けませんでした。やっと治って会いに行けたのが亡くなる3日前でした。会えた時は、おばあちゃんは、凄く喜んでくれてました。

お葬式も終わり、帰る前に、これからの話などをするために、式場で親戚とコーヒーを飲んでいたら、娘が天井を見て笑っているのです。何をしているのかたずねたら、おばあちゃんとお話してると言いました。
子どもの事ですから、親戚も驚くほどでは、ありませんでした。

お葬式から帰ると、私も主人も疲れ切っていたので、早く眠りました。娘は、家に帰る道中で車に揺られて、すでに、眠っていました。
その日の夜中に、娘が起きて玄関の方を指し
「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」と何回も呼んでいました。その日は、寝ぼけていると思い、無理やり寝かせつけました。
次の日は、寝る前に「お兄ちゃんがきてるから遊ぶ」と言うのです。なんだか、怖くなり、いない事を教えていたのですがずっと「お兄ちゃんと遊ぶ」と、駄々をこねていました。すると、「お兄ちゃん帰った」と、言ってすぐ、布団に入って眠りにつきました。
次の日もその次の日も、同じ事が続きました。私も主人も慣れてきていました。

お葬式から、7日経った日の夜の事です。
珍しく、お兄ちゃんの事は、言いませんでした。先に眠ったので私もゆっくり眠りにつきました。
当時、主人、娘、私の順で川の字でねていました。私は、押し入れ側の端で寝ていました。
真夜中に、足元でゴソゴソしているので目が覚めました。横で眠っているはずの、娘がいません。私は心臓が痛くなるほど驚き、足元を見ました。すぐにお兄ちゃんだとわかりました。
半ズボンを履いて、坊主頭の男の子でした。歳は、7歳か、8歳くらいにみえました。この時代の子ではないとわかりました。
怖くて、主人を起こそうと、声を張り上げたのですが、出ません。わたしは、さっきから目だけは、動かせるのに、体が動かなくなっていました。パニックのなか、これが金縛りだと、気付きました。
娘とお兄ちゃんは、手を繋ぎ、「おーてーてーつーないでー。」と歌を歌って、押し入れの場所に、ありもしない、暗闇に向かって歩いて行こうとしていました。私は、動かない体を勢いよく起き上がり、娘の手を引っ張り、お兄ちゃんに向かって、大きな声で、「帰ってーっ。」と言いました。
お兄ちゃんは、居なくなって、押し入れも元通りになっていました。
娘は、わんわん泣いていて、主人も起きて、さっきの出来事を話ました。

その日以来娘は、お兄ちゃんの事を言わなくなり、普段通りの生活に戻りました。

私と母がおばあちゃんの家の遺品整理をしていると、お仏壇の中から過去帳という物がでてきました。三十一日までの日めくりノートみたいになっていて、ご先祖様が亡くなった月と名前が、書かれてありました。一番下には、亡くなった歳も、書いていました。母と、興味深く、見ていたら、もちろん、おじいちゃんの名前も出てきて、亡くなった親戚のおじさんや、おばさんの名前も載っていました。めくっていくと、26日に、7歳で亡くなった男の子がいました。凄く驚きました。
きっとあの子だと思いました。
母に、あの日の事を話ました。
母が子どもの頃に病気で亡くなった親戚の男の子がいたらしいです。
その子の家は商売をしていたので、うちのおばあちゃんがその子の面倒をよく見ていたそうです。
母が言うには、おばあちゃんを迎えにきたらうちの娘がおばあちゃんと遊んでいたので、おばあちゃんのかわりに、一緒に遊んでいてくれた。と。

あの時、私は、娘が連れて行かれると、思いました。

本当の真相はわからないままです。




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