助けてくれたあなたは僕を嫌っている

ユキノカオリ

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その日を境に毎日機械に入れられて、大切なものを体から剥ぎ取られる激痛に耐える生活が始まった。

最初は途中で気絶すると目覚めれば牢の中に返されてた。

けど最近は気絶しても続けられて激痛の中で目覚めることが多くなってきた。

「ひっっっっっぐっっっっっもうやめてえ“え”!!!!」

この頃になると何日経ったかを忘れていた。

一週間か、二週間か、一ヶ月もう時間の感覚はなくなっていて、ただ苦しんで起きたらまた苦しんでを繰り返す日々だった。




誰か、、、助けて、、、、、




ある日兵士が来ない日があった。

牢屋の中からでもわかるぐらい外が賑やかだった。

「あ…ここ…空見えたんだ……」

音の聞こえる方に目を向けると小さな鉄格子のはまった穴があって、そこからほんの少しだけ空が見えるようになっていた。

「………きれいだな……」

自分がなんでこんな目に遭っているのか、なんで痛い思いをしないといけないのか、わからないし、あって当然っと言う認識に変わりかけてる。

そんな自分が怖かった

「こわいよ……グスッ…助けて……」

空を見ていたら無意識に声に出ていた。

楽しそうな声、小さな子供が高い声で自分の親を呼ぶ声、幸せに溢れている声。

そんな声の中に僕の声は溶けていった。

ふと牢屋の扉の方を見ると


鍵が開いていた。


わずかに扉が開いていたのだ。

僕は何も考えず扉の外に飛び出した。

逃げたかった。もう痛いのは嫌だった。

出口がどこなのか、道なんてわかんなかった。

けどもう嫌で逃げたくて辛くてひたすらに走った。

無我夢中に走っていると人にぶつかった。

しまった。っと思いゆっくり下がって隠れようとしたが遅かった。

頭を守るようにして目を瞑っていた。

「やめて……いたいのやだ……ごめんなさいごめんなさい……」

言葉が通じるか通じないかなんてわからなかった。

けど無意識に謝ってしまった。

目を開けて相手を見ると、綺麗な黒髪の騎士だった。

彼は困惑したような顔をすると

『あやまる  なんで。』

と言った
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