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第一章:魔界事変
第一話:魔界
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俺は前田 義仁。ただの廃人だ。
どこだよここ。
洪水の川に落ちたってのに、運よく生き残って.....いや、死んだのか、多分。
多分ここは冥界か何処かだ。
だってこの世にこんな場所ある訳ねぇもん。
そこは何とも.......美しい場所だった。
桜の木が綺麗な川に沿って数百本は立ち並んでいて、ピンク色の花びらが降り注いでいる。
空は青く、白い雲が..........ここ、おかしいぞ。
綺麗すぎるのだ。
とても......今の地球とは思えない。
まるで大昔のようだ。あぁ、美しい景色。
あの世ってこんなんだったのか。いや、もしや天国か?
「ッ!?」
その時、視線を感じた。
ふと俺が
空を見上げると、
「あ」
何かがいた。
しかし俺が見た瞬間どこかに飛び去ってしまった。
「ちょっと待て!」
俺が声を上げても、それはもういなかった。
天使か何かか?
俺はそれが飛び去った方向に向かって川沿いを歩いた。
川はとてもきれいで、純粋な水だった。飲めそう?
桜の木はまるで一本一本しっかり管理されているみたいに綺麗に育っていた。
意外かもしれないが、俺は生まれて初めて実際の桜を見た。
まぁ、とても地球の、特に日本に咲いているとは思えないから、当然か。
やがて何かの鳴き声が聞こえ始めた。
いつの間にか桜の林を抜けて、緑色の木々が立ち並ぶ森に入っていた。
「うわぁ」
思わず声を上げてしまった理由は、もちろん綺麗すぎるから。
こんなにたくさんの木は初めて見た。
日本に木がない訳ではない。ただ.....
「ほら、あれだって!さっきの!」
頭上から声がした。
上を見てみると、木陰の隙間から空がのぞいている。
その青空に、奇妙な物が浮いていた。
あれは.....人......?
あ、天使か。
「マジじゃん、ヤバいよ」
ん?何か態度がおかしいけど.....。
「どうする?何かこっち見てるけど.....」
小柄な方は怯えていて、目が合った。
すぐに逸らされた。
「お前行け」
少し大きい方が、小さいのの背中を押した。
「えぇ!?.....もう...しょうがないなぁ.....」
小さいのが下りて来た。こっちに。
小さいのはよく見ると......羽?背中から黒い翼が生えている。
あれ?確か天使って白い翼だったよね?
「あ....あのぉ.......」
すごくビクビクしながら、話しかけてきた。
「はい、何でしょう」
とりあえず普通の返答してみる。すると相手がかすかに気が緩んだのが分かった。
「あの、あなた......何者ですか.....?」
突然の質問に、俺は少々てんぱったが、まぁ普通に答えよう。
「人間です」
「いや.....それは見て分かっているんですけどぉ...........」
ものすごく困ってるように見えるけど.....え?俺何も変な事言ってないよね?
「いや、えーっと、その、どうやって.......どうやって......」
「.....?」
「どうやってぇぇぇ...........あー!もう!ちょっと一希さん!ボーっと見てないでちょっとは手助けしてくださいよ!」
耐えられなかったのか、天使は上の大きい天使の方にビューンと戻って行った。
あ、もしかして、新人なのかな?あぁ、だからあんなに緊張してて
「全く、天狗の癖にビビりすぎだぁお前は」
「そそそれはすいませんけど!」
「なんだすいませんけどって」
「だー!」
何か喧嘩してるのか?
「分かった分かったって。しゃーないから私が行くよ」
すると今度は大きい方が下りてきた。
こっちには翼ないけど、どうやって飛んでたんだろう.....。
「あの、何か俺あの子に変なこと言いましたか?」
俺が何気なく質問すると、天使......いや、天使じゃない何かは俺を突然怒鳴りつけた。
「何だお前!何者ですかで『人間です』はないだろ!そもそもあいつは普段から誰とも話さないタイプなのに、勇気を出してお前の素性を聞いたんだぞ!?そんなことも分からんのかこの汚れがぁ!」
「え?」
いや...え??ちょっと状況が分からないんですが。
いや、天使の質問に答えただけなんですけど、え?もしかして俺何か欠けてた?あの返答、そんなヤバかった!?
「そもそも、何でここによく分からん人間がいるんだ!」
「はぁ、よく分からない人間に聞いても多分分からないと思いますよ」
「あぁ!?じゃぁテメェは自分の名前すら分からんただの屍なのか!?違うだろじゃぁさっさとテメェの名前くらい答えてみろやこら!!」
あの~、すいません、すっごく怖いです。
鬼ですか?天国に間違えて鬼来てますか?
「あ.....ちょっと一希さん落ち着いて.......」
新人の方は物静かで押しが弱いのかな?あ~、コミュ障なのk
「しらたきはちょっと引っ込んでろ!この不届きものの処置は私がするからな!」
「.....あの....柴滝です.......」
しらたきはまた地上に降りてきて、木の後ろにサッと隠れて顔を出した。.....降りる意味あった?
「おい!さっさと言わないか!名前!」
恐怖で声がかすむが、唾を飲み込みとりあえず名乗った。
「あ.....えと、前田、義仁、です......」
すると鬼は少し静まったのか、落ち着いて俺のいろいろなことを聞いた。
「....ほうほう、じゃぁお前はただの人間で気づいたらここにいたんだな?で、あいつを追いかけてここまで来たと...........って、バカかお前」
「え?」
突然の悪口、待ってこの人怖い。
「普通の人間があの方の結界を越えられる訳ないだろうが」
「け、結界?」
鬼は妙にまじめに俺の目を見た。
「お前......何か結界に細工でもしたのか?」
「いや.....俺はただ......川に落ちて......」
「川?」
いや怖いって!顔近いし目赤いし。鬼だよほんと。
すると木陰に隠れていたしらたきが口をはさんだ。
「あの.....一希さん.....多分その人.......悪い人じゃありませんよ......」
鬼はしらたきの方を振り向いてまじめな顔で問った。
「根拠は?」
しらたきはしばらくおどおどしていたが、意を決したようだ。
「だって、その人の目、よく見てください。とても悪意が感じられないんです.....。しかも本当に結界に細工をしたのなら、もっと強い力を持っているはずですけど、この人はそれに該当する力も全く感じられないただの非力な人間ですよ......!」
地味に悪口かい。
しかし鬼もどうやら納得したようで、もう一度俺を見た。
「お前.....本当に何もしていないんだな.....?」
「.....はい」
俺が答えた瞬間、鬼の険しい表情が緩んだ。
「.....ならよろしい、まぁよろしくはないんだが....」
「そうですよ......この人がなんでここに来れちゃったのか......分からないですし.....」
あれ?今思ったけど.......
「あの~.....」
「何だ」
「ここってもしかして天国じゃないんですか?」
「もちろん、ここは1057年前に弧永結 野乃様が張った結界の中、『魔界』だよ」
どこだよここ。
洪水の川に落ちたってのに、運よく生き残って.....いや、死んだのか、多分。
多分ここは冥界か何処かだ。
だってこの世にこんな場所ある訳ねぇもん。
そこは何とも.......美しい場所だった。
桜の木が綺麗な川に沿って数百本は立ち並んでいて、ピンク色の花びらが降り注いでいる。
空は青く、白い雲が..........ここ、おかしいぞ。
綺麗すぎるのだ。
とても......今の地球とは思えない。
まるで大昔のようだ。あぁ、美しい景色。
あの世ってこんなんだったのか。いや、もしや天国か?
「ッ!?」
その時、視線を感じた。
ふと俺が
空を見上げると、
「あ」
何かがいた。
しかし俺が見た瞬間どこかに飛び去ってしまった。
「ちょっと待て!」
俺が声を上げても、それはもういなかった。
天使か何かか?
俺はそれが飛び去った方向に向かって川沿いを歩いた。
川はとてもきれいで、純粋な水だった。飲めそう?
桜の木はまるで一本一本しっかり管理されているみたいに綺麗に育っていた。
意外かもしれないが、俺は生まれて初めて実際の桜を見た。
まぁ、とても地球の、特に日本に咲いているとは思えないから、当然か。
やがて何かの鳴き声が聞こえ始めた。
いつの間にか桜の林を抜けて、緑色の木々が立ち並ぶ森に入っていた。
「うわぁ」
思わず声を上げてしまった理由は、もちろん綺麗すぎるから。
こんなにたくさんの木は初めて見た。
日本に木がない訳ではない。ただ.....
「ほら、あれだって!さっきの!」
頭上から声がした。
上を見てみると、木陰の隙間から空がのぞいている。
その青空に、奇妙な物が浮いていた。
あれは.....人......?
あ、天使か。
「マジじゃん、ヤバいよ」
ん?何か態度がおかしいけど.....。
「どうする?何かこっち見てるけど.....」
小柄な方は怯えていて、目が合った。
すぐに逸らされた。
「お前行け」
少し大きい方が、小さいのの背中を押した。
「えぇ!?.....もう...しょうがないなぁ.....」
小さいのが下りて来た。こっちに。
小さいのはよく見ると......羽?背中から黒い翼が生えている。
あれ?確か天使って白い翼だったよね?
「あ....あのぉ.......」
すごくビクビクしながら、話しかけてきた。
「はい、何でしょう」
とりあえず普通の返答してみる。すると相手がかすかに気が緩んだのが分かった。
「あの、あなた......何者ですか.....?」
突然の質問に、俺は少々てんぱったが、まぁ普通に答えよう。
「人間です」
「いや.....それは見て分かっているんですけどぉ...........」
ものすごく困ってるように見えるけど.....え?俺何も変な事言ってないよね?
「いや、えーっと、その、どうやって.......どうやって......」
「.....?」
「どうやってぇぇぇ...........あー!もう!ちょっと一希さん!ボーっと見てないでちょっとは手助けしてくださいよ!」
耐えられなかったのか、天使は上の大きい天使の方にビューンと戻って行った。
あ、もしかして、新人なのかな?あぁ、だからあんなに緊張してて
「全く、天狗の癖にビビりすぎだぁお前は」
「そそそれはすいませんけど!」
「なんだすいませんけどって」
「だー!」
何か喧嘩してるのか?
「分かった分かったって。しゃーないから私が行くよ」
すると今度は大きい方が下りてきた。
こっちには翼ないけど、どうやって飛んでたんだろう.....。
「あの、何か俺あの子に変なこと言いましたか?」
俺が何気なく質問すると、天使......いや、天使じゃない何かは俺を突然怒鳴りつけた。
「何だお前!何者ですかで『人間です』はないだろ!そもそもあいつは普段から誰とも話さないタイプなのに、勇気を出してお前の素性を聞いたんだぞ!?そんなことも分からんのかこの汚れがぁ!」
「え?」
いや...え??ちょっと状況が分からないんですが。
いや、天使の質問に答えただけなんですけど、え?もしかして俺何か欠けてた?あの返答、そんなヤバかった!?
「そもそも、何でここによく分からん人間がいるんだ!」
「はぁ、よく分からない人間に聞いても多分分からないと思いますよ」
「あぁ!?じゃぁテメェは自分の名前すら分からんただの屍なのか!?違うだろじゃぁさっさとテメェの名前くらい答えてみろやこら!!」
あの~、すいません、すっごく怖いです。
鬼ですか?天国に間違えて鬼来てますか?
「あ.....ちょっと一希さん落ち着いて.......」
新人の方は物静かで押しが弱いのかな?あ~、コミュ障なのk
「しらたきはちょっと引っ込んでろ!この不届きものの処置は私がするからな!」
「.....あの....柴滝です.......」
しらたきはまた地上に降りてきて、木の後ろにサッと隠れて顔を出した。.....降りる意味あった?
「おい!さっさと言わないか!名前!」
恐怖で声がかすむが、唾を飲み込みとりあえず名乗った。
「あ.....えと、前田、義仁、です......」
すると鬼は少し静まったのか、落ち着いて俺のいろいろなことを聞いた。
「....ほうほう、じゃぁお前はただの人間で気づいたらここにいたんだな?で、あいつを追いかけてここまで来たと...........って、バカかお前」
「え?」
突然の悪口、待ってこの人怖い。
「普通の人間があの方の結界を越えられる訳ないだろうが」
「け、結界?」
鬼は妙にまじめに俺の目を見た。
「お前......何か結界に細工でもしたのか?」
「いや.....俺はただ......川に落ちて......」
「川?」
いや怖いって!顔近いし目赤いし。鬼だよほんと。
すると木陰に隠れていたしらたきが口をはさんだ。
「あの.....一希さん.....多分その人.......悪い人じゃありませんよ......」
鬼はしらたきの方を振り向いてまじめな顔で問った。
「根拠は?」
しらたきはしばらくおどおどしていたが、意を決したようだ。
「だって、その人の目、よく見てください。とても悪意が感じられないんです.....。しかも本当に結界に細工をしたのなら、もっと強い力を持っているはずですけど、この人はそれに該当する力も全く感じられないただの非力な人間ですよ......!」
地味に悪口かい。
しかし鬼もどうやら納得したようで、もう一度俺を見た。
「お前.....本当に何もしていないんだな.....?」
「.....はい」
俺が答えた瞬間、鬼の険しい表情が緩んだ。
「.....ならよろしい、まぁよろしくはないんだが....」
「そうですよ......この人がなんでここに来れちゃったのか......分からないですし.....」
あれ?今思ったけど.......
「あの~.....」
「何だ」
「ここってもしかして天国じゃないんですか?」
「もちろん、ここは1057年前に弧永結 野乃様が張った結界の中、『魔界』だよ」
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