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ヘイダル様
しおりを挟むアシュタ帝国のヘイダル様。伯爵家の長男にして近衛騎士。そんなすごい人がなぜ私なんかを…
ロマンチックな展開を一瞬想像するも、淡く消えていく。ヘイダル様の実家も貿易業を中心にしていると聞いた。
きっと我が家との取引は双方に利点があるのでしょうね…
でも!悪いことばかりではないわ!
ヘイダル様は19歳だと聞いて少し安心したの。だってもっともっと歳上の方だったら私は今意識がないか、私の涙で大陸が沈んでいるでしょうから。
でも結婚式の日まで会えないなんて…
貿易が盛んと言っても、商人でもなければあまり国外にはでれない。
安全性の面で考えれば当たり前のことなんでしょうけど、結婚式でいきなり会うのは緊張して倒れてしまいそうだわ!
今はお父様が手紙で連絡を取っているのだけど、このままいくと半年から一年後には結婚式をあげることになりそうなのよ。長いのか短いのか…
マーサはお父様の話を聞いて、明日の朝にキャロル様をお呼びしましょうと言ってくれた。
キャロルは私が小さい時に屋敷に迷い込んできた子だ。多分親がいなかったのだろう。洋服も顔も汚れて、身体もボロボロだった。しかし私が仲良くなってしまったので、お父様もお母様も放っておけず… 結局領地内の洋服店に預けたのだった。
そこでメキメキと腕を上げ、持ち前の技術と想像力を生かしたドレスを作るようになり、最終的に店を持ち王都でも名が知れたデザイナーとなったのだ!
きっと私が着ることになるウエディングドレスだけでなく、新しいドレスも何着か作ってもらうことになるだろう…
必要な出費は仕方ない。どんなドレスを作ってもらおうかな…と考えを巡らせる。
ウエディングドレスは純白。これは決まったことだ。肩はどうしよう… 全て覆ってしまうべきか。それともレースを使い、上品で色気があるような形にするか。いっそのこと全て出すべきか?
どうしたものだろう…
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