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いつもより廊下から足音がする。
整備中の銃から届いていた書類へと顔を向ける。書類には学生、見学、就職説明等に関することが書いてある。今回見学予定の学生達は菊桜や軍、警察の学校の人達だ。目指している道が本当に自分に合うのか考える機会という意味もあるのだろう。
エリザのように軍人になってから菊桜に来た人もいれば良貴のように菊桜の学校を卒業して働いている人もいる。
一般の学校の説明会、外国人への説明会も毎年行われているとルート兄が言っていた。
別の未来があったとしたら菊桜の学校に行っていたのかなぁと思いつつ書類を手に取る。
「迷子がいた場合探すのを手伝ってください」
ここには来ない。来たとしても廊下を通るだけだろう。
「どう探せばいいんだろ?」
時間が経ち休憩していると
トントンッ
「今、いいだろうか?」
「虎二…後ろの人は迷子?」
「そうだ」
菊桜の敷地は広いし、初めて来た人は迷い込めば大変だろう。
説明する職員がついているとはいえ人数がいれば見きれない。
「すみません!」
女の子の方が大きめの声でしゃべった。
「私たちと行動してた人がもう一人いるんです」
「どこらへんでいなくなったかわかるか?」
「えっとこの辺りを通った時にいないのに気づいて」
虎二は端末に敷地内の地図を出し場所を聞くと職員全体に連絡をし始めた。
女の子の横にいる男の子はさっきからずっとムスッとしている。
「君は何が心配?」
と普が聞くと気づかれたことに驚きつつ
「あいつは予想外の事が起きるとパニックになることがある」
「君達は君は短気っぽいけど周りをよく見てる。隣の君は誰とでも会話する度胸があるように思う。もう1人がまとめ役か」
「俺たちは3人でバランスを取ってるから」
「いつもはこんなことないんですが見学できるのを楽しみにしていたから…」
何か続けて言いそうだったが連絡をし終わった虎二が話に加わりこの後について話し始めた。
他の人達が探してくれていること。
2人は虎二と共に移動し担当職員と合流し、見学の続きをする。
2人は捜索に加わらない。
普は予定の都合がつく範囲で捜索。
「私たちも捜します!」
「だめだ。彼の情報を見たうえで言うが今の時点で誰も見つけていないということは会話ができなくなり職員に声をかけることができず移動している可能性がある。行動が読めない。送り届けます。ついてきてください」
2人は普の方を見てきたが普は何も言わなかった。
3人の情報を見る。
迷子の子は緊張しすぎると会話ができない。短気っぽい子は任務中は冷静でいられるから落ち着かせる役目についている。話すのが得意な子は状況を話し続ける。聞こえているから。
会話が聞こえているのならあの子たちが思っているパニックとは違うのではないか?と普は思う。
パニックでも頭の中は冷静な人もいる。
緊張や不安で話せなくなるだけの人もいる。
周りが騒いで悪化させてしまうタイプだろうか?
落ち着ける場所を探していないだろうか?
普は建物から出た。
いなくなった場所、経っている時間から割り出された範囲で落ち着ける場所をしらみつぶしにしていく。
小さい子を探すわけではないから見つけられるはず。
連絡入れてあるから他の人も探している。
建物の中からは見つけづらい場所、植物のある場所、人があまり行かない場所、人が入れるちょっとした隙間…いない。移動しているのか?
ペースが速すぎないか?
端末が鳴った。
「来れるやつ処分場にきてくれ」
「ここまで来てるだけでも驚いたよ」
「俺も驚いたさ…」
まさか処分予定の物が置いてある倉庫にまで来ていたとは…しかも物の隙間に。
爆発物はないけれど机やら訓練で使い壊れたものなどが数日後の処分に向け集まっているのだかその机の奥にいるのだ。机下を通らなければ行けない。声は届くだろう。
「声をかけてみるよ」
「やってみてくれ」
近づくと微かに反応しているように見える。ただこちらを見てはいない。
彼から見えるようしゃがむと
「いなくなる必要はないと思うよ」
「最近なのか今日か分からないけどケンカをしたんだろう?それで言われた言葉通り消えようとしたけど武器庫じゃなかったってとこかな」
「…」
「パニックというよりは緊張や不安で言葉が出ないことがあるだけのように思うんだ。話したいけど話せない。チームの頭脳なのに。」
顔が上がる。光のない目
「あの子ずっとムスッとしたりソワソワしたり君のことを気にしていた。言ってはいけないことを言ったって自覚あるんじゃないかな。訂正する気がないならそんな態度とらないだろうし」
仲間のことじゃ意味ないかと話を変えてみる。
「話せなくても動けるなら任務はできる」
興味を示している。
「無線をつけていても聞いているだけの人もいるし、無線が使えなくてジェスチャーでどうにかすることもある。行動で示さないといけないことだってある。ここに必要なのは言葉が話せることだけじゃない。」
「君の居場所を見つけに行こう」
「頭脳戦や作戦を考える方面の勉強を本格的始めたそうだがすでに優秀らしい」
「そっか」
「言葉も緊張しても出やすくなってきていてチームを解散したことでストレスが減ったようだと」
「殴り合いのケンカをしてから仲直りしたらしい」
「お互いすっきりしただろうね」
「ケンカ別れにならなくてよかったと思う」
あの日、虎二の方も大変だったようで後日3人から現状報告が届いたのだ。
短気っぽい子は戦闘方面へ
話す度胸のある子は尋問やカウンセリング方面へ
進む方面は違うもののもうチームではなく友達として話せる。それが嬉しいらしく三人でいることは多いらしい。
「よくケンカしているとわかったな」
「態度とか何か言いたそうにしてたから」
「俺はケンカはあまりしたことがない。ケンカや友情はよくわからない」
「僕も…わからない」
「机を引っ張っていたら大変な事になっただろうけど」
「丁寧に置いてあるとはいえ積んであるからな」
「定期的に処分はされてるけどあの日は物が多かったみたい」
「タイミングは悪かったが大事にならなくてよかった。普…」
「ん?」
「ケガしなくてよかった」
「ありがとう虎二」
整備中の銃から届いていた書類へと顔を向ける。書類には学生、見学、就職説明等に関することが書いてある。今回見学予定の学生達は菊桜や軍、警察の学校の人達だ。目指している道が本当に自分に合うのか考える機会という意味もあるのだろう。
エリザのように軍人になってから菊桜に来た人もいれば良貴のように菊桜の学校を卒業して働いている人もいる。
一般の学校の説明会、外国人への説明会も毎年行われているとルート兄が言っていた。
別の未来があったとしたら菊桜の学校に行っていたのかなぁと思いつつ書類を手に取る。
「迷子がいた場合探すのを手伝ってください」
ここには来ない。来たとしても廊下を通るだけだろう。
「どう探せばいいんだろ?」
時間が経ち休憩していると
トントンッ
「今、いいだろうか?」
「虎二…後ろの人は迷子?」
「そうだ」
菊桜の敷地は広いし、初めて来た人は迷い込めば大変だろう。
説明する職員がついているとはいえ人数がいれば見きれない。
「すみません!」
女の子の方が大きめの声でしゃべった。
「私たちと行動してた人がもう一人いるんです」
「どこらへんでいなくなったかわかるか?」
「えっとこの辺りを通った時にいないのに気づいて」
虎二は端末に敷地内の地図を出し場所を聞くと職員全体に連絡をし始めた。
女の子の横にいる男の子はさっきからずっとムスッとしている。
「君は何が心配?」
と普が聞くと気づかれたことに驚きつつ
「あいつは予想外の事が起きるとパニックになることがある」
「君達は君は短気っぽいけど周りをよく見てる。隣の君は誰とでも会話する度胸があるように思う。もう1人がまとめ役か」
「俺たちは3人でバランスを取ってるから」
「いつもはこんなことないんですが見学できるのを楽しみにしていたから…」
何か続けて言いそうだったが連絡をし終わった虎二が話に加わりこの後について話し始めた。
他の人達が探してくれていること。
2人は虎二と共に移動し担当職員と合流し、見学の続きをする。
2人は捜索に加わらない。
普は予定の都合がつく範囲で捜索。
「私たちも捜します!」
「だめだ。彼の情報を見たうえで言うが今の時点で誰も見つけていないということは会話ができなくなり職員に声をかけることができず移動している可能性がある。行動が読めない。送り届けます。ついてきてください」
2人は普の方を見てきたが普は何も言わなかった。
3人の情報を見る。
迷子の子は緊張しすぎると会話ができない。短気っぽい子は任務中は冷静でいられるから落ち着かせる役目についている。話すのが得意な子は状況を話し続ける。聞こえているから。
会話が聞こえているのならあの子たちが思っているパニックとは違うのではないか?と普は思う。
パニックでも頭の中は冷静な人もいる。
緊張や不安で話せなくなるだけの人もいる。
周りが騒いで悪化させてしまうタイプだろうか?
落ち着ける場所を探していないだろうか?
普は建物から出た。
いなくなった場所、経っている時間から割り出された範囲で落ち着ける場所をしらみつぶしにしていく。
小さい子を探すわけではないから見つけられるはず。
連絡入れてあるから他の人も探している。
建物の中からは見つけづらい場所、植物のある場所、人があまり行かない場所、人が入れるちょっとした隙間…いない。移動しているのか?
ペースが速すぎないか?
端末が鳴った。
「来れるやつ処分場にきてくれ」
「ここまで来てるだけでも驚いたよ」
「俺も驚いたさ…」
まさか処分予定の物が置いてある倉庫にまで来ていたとは…しかも物の隙間に。
爆発物はないけれど机やら訓練で使い壊れたものなどが数日後の処分に向け集まっているのだかその机の奥にいるのだ。机下を通らなければ行けない。声は届くだろう。
「声をかけてみるよ」
「やってみてくれ」
近づくと微かに反応しているように見える。ただこちらを見てはいない。
彼から見えるようしゃがむと
「いなくなる必要はないと思うよ」
「最近なのか今日か分からないけどケンカをしたんだろう?それで言われた言葉通り消えようとしたけど武器庫じゃなかったってとこかな」
「…」
「パニックというよりは緊張や不安で言葉が出ないことがあるだけのように思うんだ。話したいけど話せない。チームの頭脳なのに。」
顔が上がる。光のない目
「あの子ずっとムスッとしたりソワソワしたり君のことを気にしていた。言ってはいけないことを言ったって自覚あるんじゃないかな。訂正する気がないならそんな態度とらないだろうし」
仲間のことじゃ意味ないかと話を変えてみる。
「話せなくても動けるなら任務はできる」
興味を示している。
「無線をつけていても聞いているだけの人もいるし、無線が使えなくてジェスチャーでどうにかすることもある。行動で示さないといけないことだってある。ここに必要なのは言葉が話せることだけじゃない。」
「君の居場所を見つけに行こう」
「頭脳戦や作戦を考える方面の勉強を本格的始めたそうだがすでに優秀らしい」
「そっか」
「言葉も緊張しても出やすくなってきていてチームを解散したことでストレスが減ったようだと」
「殴り合いのケンカをしてから仲直りしたらしい」
「お互いすっきりしただろうね」
「ケンカ別れにならなくてよかったと思う」
あの日、虎二の方も大変だったようで後日3人から現状報告が届いたのだ。
短気っぽい子は戦闘方面へ
話す度胸のある子は尋問やカウンセリング方面へ
進む方面は違うもののもうチームではなく友達として話せる。それが嬉しいらしく三人でいることは多いらしい。
「よくケンカしているとわかったな」
「態度とか何か言いたそうにしてたから」
「俺はケンカはあまりしたことがない。ケンカや友情はよくわからない」
「僕も…わからない」
「机を引っ張っていたら大変な事になっただろうけど」
「丁寧に置いてあるとはいえ積んであるからな」
「定期的に処分はされてるけどあの日は物が多かったみたい」
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