僕と間の人達

ルート

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22.ヤキモチ?

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「そこから見えない角に敵。椿は待機。鈴蘭後ろから」

「了解」

「俺達はこのまま移動。あと少しで片付く」

「了」「はい」「あいよ」「腹減った」

腹が減ったに伊藤は笑ったつもりだったが思ったより顔が笑っていなかったようで「ごめん」と言われたので
「もうすぐ終わるから我慢な」

と今度は笑って答えた。





「お疲れ様」と濡らしたタオルやドリンクを配る普に受け取った人たちはそれぞれ礼を言ったり話したりしている。
「今日の模擬戦のチームの名前ね花だったよ」

「蘭とか紫陽花とか?」

「そんな感じ!」

どうやら実践で使うこともある班の名の練習もしたようだと参加していない普はへぇと聞いていた。
特殊な菊桜だけかもしれないがアルファベットや数字だとどこも慣れているから敵に班の数を予想されたり、最悪無線を聞かれて動かれてしまうことがあるから花や生き物、文房具とか食べ物とかいくつあるかわからない感じのものの名前をつける。なるべく短めの。

「それがさ伊藤さんにこいつが返事で腹減ったって言ったら最初笑わなくて怒ったかと思った」

「いつもならすぐニコってするのにね。疲れてるのかしら」

「最初自分が笑ってないのに気づいてなかったよな。どうしたんだろ」

「あとで良貴と話してみるよ」

「なんかあったらいつだって手伝うから頼ってな」

さてまた僕が何か関係しているのかと考えてみたが雨の日の事件(行方不明で公園にいたやつ)後は関係はとても良くなった。仕事で時間が合わない以外はよく会話もスキンシップもする。セドリックおじさんがこっちに来ている今もほとんど変わらないはずだ。
「わからない」

模擬戦の片付けをしながら考えても何もわからない。
他の人と何かあったのだろうか?
疲れているのだろうか?
良貴は聞いても僕にすぐには答えないこともある。だからわからなければみんなに聞いて回ろうと決めた。





「普さん私に何か?」

あのときとあまり口調は変わらないけれど名前で呼んでくれる様になった女…黒神(くろがみ)さん。
模擬戦時のことを話した上聞いてみると
「普さんがセドリックという方と会っていた日になりますが伊藤指導官と訓練をしていてなんだかムッとされているなと感じました」

「怒ってる?」

「怒っているのとは少し違うように思います。」






「おまたせ普」

荷物運びを終えてエリザは普の横に座ると伊藤の話を聞いて
「少し元気ないかなぁ。寂しそう」

「いつぐらいからかわかる?」

「ここ最近かなぁ?」

「セドリックさんやアルフレッドさんの姉が来てからだ」

二人の人物が来てからだと虎二が会話に入ってきた。
「普の前では何も起きていないとなるともう少し聞いて回ったほうがいいだろう。それではっきりするように思う」

「なるべく様子見ておくね」

「ありがとう」







「機嫌の悪い子供みたいだねぇ」と姉(あね)さん

「いつも通りに見えはするけどなんかねぇ」
「確かにここ最近のことだな」
「普がいなかった頃程ではないけどどうしたんだか」
と古株たち

他にも聞いて回って夕方になり一旦作業部屋に戻るとルート兄がいた。同僚から普が良貴のことを聞いて回っていることを聞いたそうで来たとのこと。
みんなから聞いたことを話すとルート兄も思う部分があるのか
「私から話してみましょうか?」

「…うん」

「そんなに難しいことではないように思います。普さんはいつも通りに接してあげてください。このあと話してみますのでここで待っていてもいいですし先に家に帰ってもいいですからね」

目線を合わせて優しく言えば心配そうにしている普は頷く。早めに解決しようとルートは思った。






良貴に話があると連絡すると尋問科まで来てくれたので尋問室へ連れて行く。お互いに椅子に座ると伊藤が
「なぜここで?」

「私は尋問が得意ですからこの部屋で行うほうが早いかと思いまして」

呼ばれた理由がわかっていなそうだなと思ったのでここ最近の様子について話すと
「今日顔が笑ってないって事があった。笑ったつもりだったんだけど」

「最近何かありましたか?体調が悪かったり、誰かと喧嘩をしたとか」

「どちらもないな」

「皆さんセドリックさんが来たあたりから様子がと言っています。何か言われましたか?」

「話はした。何か言われたのはルートの方じゃないか」

「私は話をしたことでずっと分からなかったことが解決したのでスッキリしています」

セドリックが関係しているのは確かだとルートは思ったので質問を続けることにした。

「普さんとの会話やスキンシップの時間は満足に取れていますか?」

「満足しているよ」

「セドリックさんが来てからどうですか?」

「あまり変わらないかな」

「職場で会える時間は少し減りますね」

「会っている時は邪魔をしないようにしているから」

「家での会話にも名前が出てくるのでは?」

「嬉しそうに話してくれる…」

「今、良貴さん少しムッとしているような悲しいような顔してますよ」

「…」

「普さんと今まで接してきた人は自分が知っている人だったからそんな気持ちにはならなかったのかもしれませんね。セドリックさんと繋がりのある人は影虎さんか古株のごく一部ですし、良貴さんは名前ぐらいしか知らなかったでしょう?」

「影虎さんぐらいの年齢でいろんなことを知っていて普ちゃんの趣味を昔から理解してたり、はっきり助言する事もできて俺といる時より楽しそうに見えることがあった。セドリックさんは君の前では普は子供でいられるって言われたけどどうなんだろって」

「普さんが今日何をしていたか知ってますか?」

「午後はセドリックさんと会って」

「会っていません。ずっと良貴さんの事をみんなに聞いて回っていました。とても心配していましたし、セドリックさんは伊藤は愛されてるなとお茶を飲みながら言っていましたね。ちょっと悔しそうでしたよ。」

「気づけてよかった。ルートありがとう」

「たまには頼ってください」








トントンッとノックをして良貴が僕の部屋に入ってきた。
「おかえり」

「ただいま普ちゃん」

伊藤はベッドに座ると今日の予定を潰してしまったことを謝ってきたのでそれは僕が決めた事だから謝らなくていいと言えば

「やきもちだったみたいなんだ」

「やきもち?」

「俺といるより楽しそうに見えるときがあってさみしくなった」

普が心配そうに隣に座ってきたので大丈夫と笑えばギュッと手を握られた。

「僕はどんなときでもそばにいてくれる良貴といるときが一番安心できて楽しいよ。みんなといるのも楽しい」

「ありがとう普ちゃん」

今の顔はさみしさも不安もないいい笑顔だと普は思った。























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