僕と間の人達

ルート

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21.セドリック、アル姉の話

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帰り道でそっと付き人がセドリックの前に出た。まだ菊桜の敷地内だから向かって歩いてくる人間など決まってる。それでももしものことを考えて行動しているのだ。目の前で立ち止まったのは伊藤。
「セドリックさん普との時間はどうですか?」

「大人になりすぎている。本来の子供のすることなんてわからんのだろうな。」

そうですかと伊藤が言うと続けて
「鉱物を見て喜んでいる姿は小さな頃のアマネ。きっと君の前では小さな子供でいられるのだろ。」

「それはどういう」

「普段の生活の話を聞けばイトウの名が多く出る。ルート、エリザ、トラジあたりも出てくるが信頼度が違う。腕を失ったあたりから変わったんだろうな。」


「どんな役も引き受けて埋まることはないとわかっていても愛を与え続けてくれる人はアマネにとって必要な人だ。友人という役だけは他にまかせろ」と言うとまた来ると言ってセドリックと付き人は歩き去った。







夜、家で普にセドリックさんとはどう?と聞けば「僕の事を考えて色々教えてくれる…先生みたい」と嬉しそうに話してくれた。
セドリックが言っていた通り日々の出来事も話したりしたようだ。
「僕も聞きたいって言ったら自分の後ろで採掘場が崩れたことがあるとかノアがモテモテだった話とか言う事聞かなかったから影じいに気絶させられそうになった話とか」

「刺激的な話が多いね。ノアや影虎さんの話が聞けて嬉しそうだね」

「セドリックおじさんが来てくれてよかった。沢山知らないことを知れる。」



ルートが言っていた事を思い出しながらセドリックさんは今自分にできることを普にしてくれている。1つだけ気になるのは来日した理由がもう1つあるのではないかということ。







「それは無理です」と言われたぐらいで帰る人ではないことぐらい職員はわかっている。
出禁にはならないのねと思いながらさてどうしようかとアルフレッドの姉は考える。前回したことを後悔はしていない。会えなくなることも想定内だが普側からなんの一言もなく、自分はもう帰国しなければならない。
ふと足音が聞こえて後ろを向くと一人の男性が立っていた。職員が「虎二さん」と声をかけると会釈をして姉の方を真っ直ぐ見て
「僕は友人たちを忘れない」

「それはアマネから?」

「緊急の任務と一時的な接近禁止のため伝えてほしいと頼まれました。」

「最後に返事をもらえてよかったわと伝えて」

「…」

虎二から無言で折りたたまれた紙を渡され受け取ると
「見るかどうかはあなた次第だと」

「それは…」

「アルフレッドさんが本当はあなたに言いたかったことだと。読んだ場合苦しむかもしれないと言っていました」

姉は迷わずに紙を開いた。

「これはもう叶わない夢だ。姉と一度でいいんだ同じ任務をしてみたかった。
上に立つ者として強くて過去を引きずらない姉が自慢で憧れだったんだ。俺はそうなれないから。一緒なら出来る気がした。」


虎二は職員に部屋へ案内するようジェスチャーで伝え理解した職員が姉をゆっくりと部屋へ連れて行った。
泣くようには見えない姉がたくさん泣いて落ち着いてから礼を言って国へ帰っていった。
帰っていく姿をどこかの部屋から普は伊藤、虎二と見ていた。
「虎二引き受けてくれてありがとう」

「このぐらい問題ない」

外を見ている普を見て伊藤は
「普ちゃん…ごめん」

「誰も悪くない。任務と接近禁止はみんなが僕を守るためにしてくれたこと。だからみんなに手伝ってもらった。これでいいんだ…これで」


アルフレッドが姉に言えなかったことを思い出したとき少し怒りが湧いた気がした。優秀だと言われるアルフレッドを苦しんでいたアルフレッドを救えたかもしれないのは姉だけだった。
姉は気付かなかったのだろうか?アルフレッドが隠し通したのだろうか?
姉はあの紙のアルフレッドの言葉で僕にはわからない全てに気づいたのだろう。
伝えたことを後悔はしていない。
あの人はきっと知りたかったはずだから。







ある部屋にて

「意味のある言葉もある…かもしれない」

「本業に支障が出ない程度にしてくださいセドリック」

「一言ぐらい    が聞きたい」

付き人は会話をやめた。当事者たちしか口出しできないと思ったから。
「どう言われても会話を止めるな。相手に飲まれるぞ」

「そう言われましても…」

アマネさんなら何か言っただろうかと付き人は思った。
「セドリックさん」とルートが声をかけ次の予定が書かれた紙を渡した。なるべく続けて尋問出来るように組んでありますとルートは言った。










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