僕と間の人達

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20.成長している

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あの日、部屋を出て良貴と別の部屋に入って手を握られた。震えるほどのことではないのに震えた手を見て困っている僕に落ち着くまでこの部屋でゆっくりしようと心配そうな表情で言われた。




「…とのことです」

「報告ご苦労」

安楽死の件は成長させるのか、苦しませて終わるのか…相談されたとして答えられることはあまりないだろうなとセドリック(メリーサマー)は仕事の手を止めて思っていた。
セドリックは元尋問官だが死んでしまうほど痛めつけたりしたことはない。そういったことは他の奴が先にやっていたからやる必要がほぼなかった。仕事として望む死を与えるとしても言い方を変えれば人殺しになる。普段の殺しと望まれた殺しは記憶の残り方が違うだろう。忘れてしまいたいと思うのが普通ではないか?それを特殊な仕事だっただけで忘れないでときた。
「子どもの精神を潰す気か。こういうことの対処を教えるべきか」

明日また会う約束をしている。きっと鉱物を喜べる状態ではないだろう。それでも気晴らしになるように用意しておくか。







黙々と銃の整備をし、修理に必要なものをメモして仕事を片付けていく。
みんな心配しているのがわかる。あの日アルフレッドの姉に言われた願いは困りはしたけど苦しめられる感覚はなかった。家族から直接覚えていてくれと頼まれて責任を感じて緊張してしまっただけ。僕はアルフレッドたちとの生活は個人的に覚えていたいと思っている。

トントンっ

ノックの音で時計を見れば約束の時間数分前だ。

「アマネいるか?セドリックだ」

「どうぞ」

鞄と何かが入っている持ち手つきのケースを持ったセドリックが職員らしき人に扉を開けてもらい入ってきた。

「あの人は誰?」

「俺の付き人の1人だ」

「そう」

2人に座るように言えばテーブルの所の椅子にセドリックが座り、予備の椅子をセドリックの後ろの方に持っていき付き人さんは座った。普たちの会話を邪魔しないように離れてくれているのだろう。飲み物が置ける台と飲み物を持っていけば付き人さんはわざわざありがとうとニコッとしていた。
自分とセドリックの前にも飲み物を置き席につくとセドリックは今日は先に話したいことがあるというので聞くことにした。

「安楽死の件で姉が来てお願いをされたそうだがどう思っているんだ?」

「どう答えても怒らないなら」

「どう答えようとまとまってなかろうとかまわない」


頷くと普は話し始める。
お願いされたけど僕は元々忘れる気はないんだ。2年生活して兵士の色んな苦しみを知った。父母のような先輩、仲の良い同僚、これから学んでいく後輩、自分を支えてくれる部下が目の前や離れたところで手足を失い不自由な体になったり、死んでしまったりで仲間を守れなかった苦しみ、自分の判断が悪かったのだと苦しむ。その苦しみを背負わなくていいと言われて簡単におろせるものじゃないからあの4人の心は誰にも救えなくなってしまった。
心が強かったり、忘れたり、背負わないってことができたなら兵士でいられた。優しすぎた。
僕と生活しているときも苦しんでいる日や時間はあった。でも苦しみからの開放、仲間の元へやっと行けるから本人たちが言うにはいつもより気分がいい日が多かったみたい。
そのとき自分の中ではっきりしたんだ。生きる権利だけじゃなく死ぬ権利だってあるはずだって。

「慎重に考える必要はあるけど。自分のモヤモヤしていたものをハッキリさせ今も成長させてくれる彼らを忘れることはできない」

思っていたよりしっかりしているなとセドリックは思いながら
「覚えていてと言われてその記憶で苦しくなるくらいなら嘘をつけ。自分が救われたいだけなんだ嘘でもはいと言えばそれでその人は救われる。自分が潰れる受け方はするな。嘘をうまく使えるようになるのも大事だ」

「無理なことはもうしないし、その時は誰かに相談したり助けてもらうよ」

あまり表情の変わらない普がニコニコしているような気がして何が嬉しいんだと聞けば「セドリックおじさんが僕を心配して大事なことを教えようとしてくれた事が嬉しい」と言うのでなんとなく言われることは分かっていたんだなとセドリックは思いつつ次の話だとケースをテーブルに置いた。ケースを開ければそこには変わった形の…普が手を出さないお高い鉱物が入っていた。
「これは社員に勉強で使わせたりするやつだから納得がいくまで触ってかまわん。壊れるか試してもいいぞ」


セドリックさんいけない顔してるなと付き人は思いながら触っている普を見てあのレベルの教材を触らせてもらえるのは一般人ではあなただけですと思っていた。まぁ付き人に飲み物おかわり付きでお菓子まで出してくれて置くための台用意してくれたり気が利く子で優しいなとも思った。






セドリックと普
「僕、形とか色に惹かれればコレクションにするから鉱物の名前よくわからないんだ。覚えたほうがいいのかな?」

「仕事にするなら覚えたほうがいいな。わかるやつを連れ歩けば済む話でもあるな。アマネにとって名前は重要じゃないなら覚えなくていい。知りたくなったら俺に聞きなさい」

「そうする」


そのうち護衛だと言って仕事に連れていきそうだなと付き人は思った。













    
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