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18.メリーサマー
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廊下から足音が聞こえる。
通り過ぎるだろうか?それともここで止まるだろうか?
「…止まった」
コンコンッと扉がノックされこちらの返事を待っている。どうぞと言えばゆっくりと扉が開き
「やあアマネやっと直接会うことができて嬉しいよ。仕事中かい?」
「一段落したとこだよメリーサマー」
「今日来日するの?」とエリザは少し驚きながら普に聞いた。いつものメンバーであるエリザ、虎二、ルート、伊藤、普は食堂でお昼を食べながら話をしていた。普がメリーサマーから連絡があって今日こっちに着くみたいと言いそれぞれが返事をしていた。エリザの反応に普は仕事とプライベートの日程を合わせてすぐ行動を開始したみたいだけど多分いつものことだよと言えば「行動力のある人なんですね」とルートが感心していた。
「仕事の合間に菊桜の方に来るんだったね?」
「そう。作業部屋にいればいいって言われてる」
「一般人ではないのか」
「サマーおじさんは元尋問官だって影じいから聞いてる。」
元尋問官という言葉がルートは引っ掛かったけれど何とも結びつかないので質問はしなかった。
「君すまないがアマネのいる作業部屋を知らないか?」
「普さんになにか?もしかしてメリーサマーさんでしょうか?」
声をかけられたルートがそう言えば
「そこまで聞いているということは親しい友人…いや兄といったところかなルート」
「なぜ私の名前を?そしてそこまで…」
「後で分かる。アマネの部屋に案内してくれ」
ルートは少し警戒しつつも作業部屋まで案内する。部屋に近づくにつれ妙に静かで緊張感がある。フッと笑い声がして後ろを見れば「もう気づいているかもな」とサマーは言った。
扉の前に着けばサマーは
「俺のことを知りたければ仕事に戻らずここにいろ」
と言い扉をノックした。
ルート兄案内してくれてありがとうと普は言いながら3人分の飲み物を用意し始めたのでルートは手伝いサマーは部屋を見て回っていた。
テーブルに飲み物を置くと席につき普はサマーと話し始めた。
「今回は何日いるの?」と聞けば
「新しい店がオープンして様子を見て帰るようになるからなぁ。長めの滞在になるか」
とスケジュールを頭の中で繋げながら答える。
「別の日に原石を持ってきてあげよう」と言えば普はとても嬉しそうに「ありがとう」と。
その後はいなくなった2年間の話や今日までの出来事、普段何をしているのかを聞かれて答えている。
ルートはいつもよりよく話している普を見つつサマーの様子も見ていた。普がうまくまとまらなくて話せず困るとサマーが質問しそれに答えたりしているのだが驚いていないのだ。2年前から今日までの事は知らない人であれば驚くどころではないレベルなのにまるで知っていますとでも言うように落ち着いている。この人は本当に元なのだろうか?
「あと名前で呼んでもいい?流石に昔とは違うし…どうかな?」
「あの頃、俺のこと怖がってたアマネにプレゼントを渡すのにメリーサマーって名乗ったからな。本名じゃ駄目かもなって影虎が言うから。好きなように呼べばいい」
「セドリックおじさん」
「!!」
驚いたルートをチラリとセドリック(メリーサマー)は見ながら「悪くないな」と答えた。
「次は案内無しで懐かしさのある部屋まで来るか」
「影じいの物使ってるから僕の作業部屋だけど懐かしく感じるんだよね。次楽しみにしてる」
「期待していなさい」
普の頬を撫でセドリックが歩きだすと私も仕事に戻りますねとルートも歩き出した。
2人を見送りながら情報が届いていたんだなとかなにか2人には繋がりがあるのだろうかと…それは日記にはないだろうな考えていた。
しばらく無言で歩いていたのだが
「あの」
「きっとノアから聞く時間なんてなかっただろ」
はいと答えるルートにセドリックは話し方はノアを真似ているなと思いながら話を始めた。
「ノアが君の名前を変えた理由は2つだ。あの母親のことで苦しまず新たな人生を歩めるように。2つ目は宝石業を本業としつつも昔の仲間が困っていれば仕方ないと尋問を手伝っている元尋問官の俺と比べられたりしないようにさセドリックくん」
「尋問官をしてお金をため本当にやりたい仕事についた方がいるのは知っていました。ノアが優秀な元尋問官の友人がいると言っていました。名前だけがわからなくて」
本業と尋問官の頃の情報を集めて一致させていかないとたどり着かないのだが当時はセドリックのようなことをしていた人は沢山いるし仕事とプライベートで名前が違うのでごちゃごちゃしてくる。
それとノアにとって親しい友人と呼べる人はいない。友人であればそれなりにいる。数人ぐらいに絞ることすら無理だったかもしれない
「あとの疑問はもう答えなくてもわかるだろ」という顔でセドリックが見てくるので「繋がりが多いようで」と言うと「損しない繫がりは多く作っておいたほうが本業とプライベートどちらにも役立つからな」と凄いだろみたいな顔で言われた。
本国での組織、この国の組織、その他に繋がりがあり普さんのことはある程度知っていたのだろう。ここまでしているのだから影虎さんになにか借りがあるのだろうか?友人だからだろうかとルートは家に帰ってきてから考えていた。
大事なときに普を助けたりはしなかったのになぜ今になって会ったのだろう。直接会っていなかったのであればあの特殊な義手の男に目はつけられていないのに…ノアの友人で動けなかったのか。
義手の男が繋がりの一部を調べ上げていたのなら友人のノアと繋がりのある影虎の両方からセドリックの名が出てしまうのか。
助けることも助けを求めることもできないなんて…きっと普は早くから気づいていたんだろうなと繋がっていく情報を前にしてルートはため息を付いた。
通り過ぎるだろうか?それともここで止まるだろうか?
「…止まった」
コンコンッと扉がノックされこちらの返事を待っている。どうぞと言えばゆっくりと扉が開き
「やあアマネやっと直接会うことができて嬉しいよ。仕事中かい?」
「一段落したとこだよメリーサマー」
「今日来日するの?」とエリザは少し驚きながら普に聞いた。いつものメンバーであるエリザ、虎二、ルート、伊藤、普は食堂でお昼を食べながら話をしていた。普がメリーサマーから連絡があって今日こっちに着くみたいと言いそれぞれが返事をしていた。エリザの反応に普は仕事とプライベートの日程を合わせてすぐ行動を開始したみたいだけど多分いつものことだよと言えば「行動力のある人なんですね」とルートが感心していた。
「仕事の合間に菊桜の方に来るんだったね?」
「そう。作業部屋にいればいいって言われてる」
「一般人ではないのか」
「サマーおじさんは元尋問官だって影じいから聞いてる。」
元尋問官という言葉がルートは引っ掛かったけれど何とも結びつかないので質問はしなかった。
「君すまないがアマネのいる作業部屋を知らないか?」
「普さんになにか?もしかしてメリーサマーさんでしょうか?」
声をかけられたルートがそう言えば
「そこまで聞いているということは親しい友人…いや兄といったところかなルート」
「なぜ私の名前を?そしてそこまで…」
「後で分かる。アマネの部屋に案内してくれ」
ルートは少し警戒しつつも作業部屋まで案内する。部屋に近づくにつれ妙に静かで緊張感がある。フッと笑い声がして後ろを見れば「もう気づいているかもな」とサマーは言った。
扉の前に着けばサマーは
「俺のことを知りたければ仕事に戻らずここにいろ」
と言い扉をノックした。
ルート兄案内してくれてありがとうと普は言いながら3人分の飲み物を用意し始めたのでルートは手伝いサマーは部屋を見て回っていた。
テーブルに飲み物を置くと席につき普はサマーと話し始めた。
「今回は何日いるの?」と聞けば
「新しい店がオープンして様子を見て帰るようになるからなぁ。長めの滞在になるか」
とスケジュールを頭の中で繋げながら答える。
「別の日に原石を持ってきてあげよう」と言えば普はとても嬉しそうに「ありがとう」と。
その後はいなくなった2年間の話や今日までの出来事、普段何をしているのかを聞かれて答えている。
ルートはいつもよりよく話している普を見つつサマーの様子も見ていた。普がうまくまとまらなくて話せず困るとサマーが質問しそれに答えたりしているのだが驚いていないのだ。2年前から今日までの事は知らない人であれば驚くどころではないレベルなのにまるで知っていますとでも言うように落ち着いている。この人は本当に元なのだろうか?
「あと名前で呼んでもいい?流石に昔とは違うし…どうかな?」
「あの頃、俺のこと怖がってたアマネにプレゼントを渡すのにメリーサマーって名乗ったからな。本名じゃ駄目かもなって影虎が言うから。好きなように呼べばいい」
「セドリックおじさん」
「!!」
驚いたルートをチラリとセドリック(メリーサマー)は見ながら「悪くないな」と答えた。
「次は案内無しで懐かしさのある部屋まで来るか」
「影じいの物使ってるから僕の作業部屋だけど懐かしく感じるんだよね。次楽しみにしてる」
「期待していなさい」
普の頬を撫でセドリックが歩きだすと私も仕事に戻りますねとルートも歩き出した。
2人を見送りながら情報が届いていたんだなとかなにか2人には繋がりがあるのだろうかと…それは日記にはないだろうな考えていた。
しばらく無言で歩いていたのだが
「あの」
「きっとノアから聞く時間なんてなかっただろ」
はいと答えるルートにセドリックは話し方はノアを真似ているなと思いながら話を始めた。
「ノアが君の名前を変えた理由は2つだ。あの母親のことで苦しまず新たな人生を歩めるように。2つ目は宝石業を本業としつつも昔の仲間が困っていれば仕方ないと尋問を手伝っている元尋問官の俺と比べられたりしないようにさセドリックくん」
「尋問官をしてお金をため本当にやりたい仕事についた方がいるのは知っていました。ノアが優秀な元尋問官の友人がいると言っていました。名前だけがわからなくて」
本業と尋問官の頃の情報を集めて一致させていかないとたどり着かないのだが当時はセドリックのようなことをしていた人は沢山いるし仕事とプライベートで名前が違うのでごちゃごちゃしてくる。
それとノアにとって親しい友人と呼べる人はいない。友人であればそれなりにいる。数人ぐらいに絞ることすら無理だったかもしれない
「あとの疑問はもう答えなくてもわかるだろ」という顔でセドリックが見てくるので「繋がりが多いようで」と言うと「損しない繫がりは多く作っておいたほうが本業とプライベートどちらにも役立つからな」と凄いだろみたいな顔で言われた。
本国での組織、この国の組織、その他に繋がりがあり普さんのことはある程度知っていたのだろう。ここまでしているのだから影虎さんになにか借りがあるのだろうか?友人だからだろうかとルートは家に帰ってきてから考えていた。
大事なときに普を助けたりはしなかったのになぜ今になって会ったのだろう。直接会っていなかったのであればあの特殊な義手の男に目はつけられていないのに…ノアの友人で動けなかったのか。
義手の男が繋がりの一部を調べ上げていたのなら友人のノアと繋がりのある影虎の両方からセドリックの名が出てしまうのか。
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