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ルートが何かを知っていようがいまいが素人が尋問官の表情や態度から判断することはできない。
「尊敬すべき伊藤に殺させないようにするにはあなたが大人しくしていることですが守れないのであれば過去に起こした問題と一緒に処分を受けることになりますのでここにはいられなくなるかと」と人が集まってくる中話し続けるルートに怒りの顔を見せている女。
ここにいられなくなれば憧れの人の指導は受けられないくらいはわかっているが邪魔は消したいのだろう。
「あなたは伊藤指導官を弱くする。私が「普ちゃんのせいで弱くなることはない」
部屋に入り普に近づくと怪我はないかと見て軽く抱きしめると顔がルートたちの方を向く。
「失うくらいなら殺すことは楽だろう。普を2人のように失うくらいなら…君を…」
暗い目、人を人と見ていないターゲットを見る目。
それでも女は何か言おうとして
「君が普を受け入れてくれなくて残念だよ。いい仲間になれると思っていた」
伊藤の言葉に何も言えなくなった。
何人かに連れられて行くのを確認してから入口にはエリザが立ち部屋にはルート、伊藤、普がいる。
怪我がなくて良かったとホッとしているルートになぜ殴り合いにならなかったのかと聞くと
「昔、良貴さんたちに対人格闘などを1から教わって戦える尋問官になったことをあの人は何かで知っていたのでしょう。仲間であっても怒らせたとき戦わないほうがいい人はいますからね。」
納得し次に伊藤を見る。何かな?と優しい顔で見つめ返す伊藤に
「僕に何かあったら仲間の命は使うし相手が誰だろうと殺すかもしれない?」
ルートがあの人に言った言葉だろうか?
止めさせるために言ったのかそう感じているから言ったのか…。
「人は支えとしていた何かを失ったときどうなるかわからない。普ちゃんをもし失ったとしたら…俺にもわからないんだ」
普は静かに頷いてくれた。ルートは今までの会話や行動でだいたいわかってはいたのだろう特に反応はない。ただ
「いつかのお願い…その場にいた人へ託された最後の願いをやり遂げたい…やり遂げられなかったとき向こうで顔を合せられない」
と不安や怒りが混じったような顔で言った。
それもあるけれど俺にとって普は生きる意味なんだろう。2人のいない世界は何も感じなかったから。
沢山の事をしてもらったのに本人達には何一つ返すことができない。私にできることは2人からの願いを生きている限りし続けること。兄として守り、友人や仲間としていろんな時間を過ごす。
良貴さんを見ていて私はそこまでではないと思っていた時期がある。けれど願いとお菓子作りがなくなれば私はどうなるのだろうかと考えたとき今の私は良貴さんとあまり変わらないのかもしれないと思った。ともに生きていたい。もうあの辛い日々に戻りたくない。
「あの人は目指した先の未来が同じになることが怖いのかもしれない」
普の声で自分の世界から戻りどういう意味だろうと考えた。目標が良貴さんだとして今は同じではないなら強さだろうか。その人と同じ道を進むということは同じ経験をする事になるかもしれないと考えているとすれば
「目指している良貴さんが大事な人によって弱くなるとしたら自分が強くなったとき大事な人が出来たら弱くなる。先にそれが起こる所を見たくない。未来を見るのと同じですか。」
「あの人が自分の口で言わない限りは何もわからないけどね」
「あのさ、伊藤さんは普がいない頃生き生きしてないし、余裕なさそうって先輩たち言ってたんだ。いないことで弱くなるなら伊藤さんの場合はいてくれることで強くいられるってことだよね。」
入口に立っていたエリザが話に入ってきてそれに伊藤は頷いていた。
全員が目指した人と同じ未来を迎えるわけじゃない。目指したところで性格も何もかも違うのだからよほど似ている人でない限り同じ未来はない。
「尋問のついでに考え方の授業をしてきます」とルートは尋問科のある方へと歩いていった。
「後で行く」とルートに言うと伊藤は普の方を向いて謝った。自分の関係で傷つけてしまったことを。
「あれだけ行動できるのは凄いと思った。相手にするのは大変だったけど」
「普ちゃ「僕がいることで思うように動けないと感じたら言ってほしい。それまでは…」
「いてくれることで余裕ができて強くいられる。そばにいてほしいよ普」
頬に触れれば安心したような顔をして少しリラックスしているように感じる。大変な一日にしてしまったなともう一度何かあるやつ調べ直そうかと思った。
「怖い、不安ですか…そんなふうに考えたことはなかったです。気づかないうちにそんな気持ちで一杯になって私は」
普との話を元に女と話してみれば納得がいくのか怒ったりしてこない。自分で気づくことができなかったことにムッとしているけれど。
「良貴さんの場合は普さんがここにいるほうが仕事中もプライベートも生き生きしています。
人によってはあなたの言ったように大事な存在によりどこか弱くなる方もいます。
こればかりは一人一人違いますから決めつけて動かないように」
「はい」
「まずは自分がなぜそう思うのかゆっくり深く考えてみてください。他の方に相談するのもよいかと」
女の視線が後ろの誰かを見ている気がして振り返れば伊藤がいた。
なにか話しますかと聞けば「ルートが大体話しただろう」と言いつつ
「普を傷つけなければいい。駄目ならこれは命令だ。守るためになんだってするし、なんだって使う」
「……」
「君は強くなってる。沢山の人から技術を盗みなさい。俺からも」
もう目標にしてはいけない、ここから離れろと言われると思っていたのだろう。泣きそうな顔でありがとうございますと言い頭を下げた。
その後気持ちの整理がついてから普に謝りに行ったそうだが普は許したのか、何か言ったのかそれは誰も知らない。
稀に話しているから許したんじゃないかっていわれてる。
「尊敬すべき伊藤に殺させないようにするにはあなたが大人しくしていることですが守れないのであれば過去に起こした問題と一緒に処分を受けることになりますのでここにはいられなくなるかと」と人が集まってくる中話し続けるルートに怒りの顔を見せている女。
ここにいられなくなれば憧れの人の指導は受けられないくらいはわかっているが邪魔は消したいのだろう。
「あなたは伊藤指導官を弱くする。私が「普ちゃんのせいで弱くなることはない」
部屋に入り普に近づくと怪我はないかと見て軽く抱きしめると顔がルートたちの方を向く。
「失うくらいなら殺すことは楽だろう。普を2人のように失うくらいなら…君を…」
暗い目、人を人と見ていないターゲットを見る目。
それでも女は何か言おうとして
「君が普を受け入れてくれなくて残念だよ。いい仲間になれると思っていた」
伊藤の言葉に何も言えなくなった。
何人かに連れられて行くのを確認してから入口にはエリザが立ち部屋にはルート、伊藤、普がいる。
怪我がなくて良かったとホッとしているルートになぜ殴り合いにならなかったのかと聞くと
「昔、良貴さんたちに対人格闘などを1から教わって戦える尋問官になったことをあの人は何かで知っていたのでしょう。仲間であっても怒らせたとき戦わないほうがいい人はいますからね。」
納得し次に伊藤を見る。何かな?と優しい顔で見つめ返す伊藤に
「僕に何かあったら仲間の命は使うし相手が誰だろうと殺すかもしれない?」
ルートがあの人に言った言葉だろうか?
止めさせるために言ったのかそう感じているから言ったのか…。
「人は支えとしていた何かを失ったときどうなるかわからない。普ちゃんをもし失ったとしたら…俺にもわからないんだ」
普は静かに頷いてくれた。ルートは今までの会話や行動でだいたいわかってはいたのだろう特に反応はない。ただ
「いつかのお願い…その場にいた人へ託された最後の願いをやり遂げたい…やり遂げられなかったとき向こうで顔を合せられない」
と不安や怒りが混じったような顔で言った。
それもあるけれど俺にとって普は生きる意味なんだろう。2人のいない世界は何も感じなかったから。
沢山の事をしてもらったのに本人達には何一つ返すことができない。私にできることは2人からの願いを生きている限りし続けること。兄として守り、友人や仲間としていろんな時間を過ごす。
良貴さんを見ていて私はそこまでではないと思っていた時期がある。けれど願いとお菓子作りがなくなれば私はどうなるのだろうかと考えたとき今の私は良貴さんとあまり変わらないのかもしれないと思った。ともに生きていたい。もうあの辛い日々に戻りたくない。
「あの人は目指した先の未来が同じになることが怖いのかもしれない」
普の声で自分の世界から戻りどういう意味だろうと考えた。目標が良貴さんだとして今は同じではないなら強さだろうか。その人と同じ道を進むということは同じ経験をする事になるかもしれないと考えているとすれば
「目指している良貴さんが大事な人によって弱くなるとしたら自分が強くなったとき大事な人が出来たら弱くなる。先にそれが起こる所を見たくない。未来を見るのと同じですか。」
「あの人が自分の口で言わない限りは何もわからないけどね」
「あのさ、伊藤さんは普がいない頃生き生きしてないし、余裕なさそうって先輩たち言ってたんだ。いないことで弱くなるなら伊藤さんの場合はいてくれることで強くいられるってことだよね。」
入口に立っていたエリザが話に入ってきてそれに伊藤は頷いていた。
全員が目指した人と同じ未来を迎えるわけじゃない。目指したところで性格も何もかも違うのだからよほど似ている人でない限り同じ未来はない。
「尋問のついでに考え方の授業をしてきます」とルートは尋問科のある方へと歩いていった。
「後で行く」とルートに言うと伊藤は普の方を向いて謝った。自分の関係で傷つけてしまったことを。
「あれだけ行動できるのは凄いと思った。相手にするのは大変だったけど」
「普ちゃ「僕がいることで思うように動けないと感じたら言ってほしい。それまでは…」
「いてくれることで余裕ができて強くいられる。そばにいてほしいよ普」
頬に触れれば安心したような顔をして少しリラックスしているように感じる。大変な一日にしてしまったなともう一度何かあるやつ調べ直そうかと思った。
「怖い、不安ですか…そんなふうに考えたことはなかったです。気づかないうちにそんな気持ちで一杯になって私は」
普との話を元に女と話してみれば納得がいくのか怒ったりしてこない。自分で気づくことができなかったことにムッとしているけれど。
「良貴さんの場合は普さんがここにいるほうが仕事中もプライベートも生き生きしています。
人によってはあなたの言ったように大事な存在によりどこか弱くなる方もいます。
こればかりは一人一人違いますから決めつけて動かないように」
「はい」
「まずは自分がなぜそう思うのかゆっくり深く考えてみてください。他の方に相談するのもよいかと」
女の視線が後ろの誰かを見ている気がして振り返れば伊藤がいた。
なにか話しますかと聞けば「ルートが大体話しただろう」と言いつつ
「普を傷つけなければいい。駄目ならこれは命令だ。守るためになんだってするし、なんだって使う」
「……」
「君は強くなってる。沢山の人から技術を盗みなさい。俺からも」
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