僕と間の人達

ルート

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13.ルート

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「この人物をどう思いますか」

目の前に置かれた写真の人たちはよく会う人もいれば数回程度の人もいる。この質問はどう答えるべきだろうかと考え思うように答えてみた。

「ダンスをしているような流れのある動きをする。細かな作業への集中力、短時間での情報処理能力すごいなって思う。休憩中やプライベートではそんな事ができる人には見えない。仕事を見たからこそわかることかな」

眼の前のルート兄がなんかニコニコしてる。質問の答えになっていなかったかな?と見つめれば見た目よりも能力を褒められるのは嬉しいと思いますとホッとしながら言われた。
見た目や一部の情報だけで物を言われたり好意を寄せられるということがあるのは知っている。外国人でありスラッとしているルート兄は見た目で判断されやすい。プライベートで髪を下ろしているときは幼さがある。
「普さん、この前声をかけられていましたね。この国の血以外にノアの血が流れていますから見た目に魅せられて寄ってきたのでしょう。容姿がいい、魅力的な部分があるのは普段は困ることが多いですね」

「最近街で声かけられる。少し面倒。ノアの写真見たことあるけど外国の俳優さんみたいだった。」

「ノアほど憧れる人は僕にはいません」

大人に憧れる少年に戻ったようだった。
ノアはルート兄にとってどんな人?と聞けば人生を変えてくれた人だと言った。
周りに溶け込めずいじめられた僕を両親は守ってくれました。色んな所に連れて行ってくれたので学べたことは多い。ノアと出会って外から自分を見たときあの年齢で同年代のいない場所ばかり行き、自分の意志がなく、必ず親どちらかがそばにいるというのは周りから見れば変でしたね

いつの間にか守らなければという気持ちが強くなりすぎてかごの中に入れられていたんです。愛情だと思っていてわからなかった。

「連絡はとってるの?」

「ほとんどしていません。母に監禁される可能性があるので国に戻った場合も用意された部屋でしか会えません。」

悲しそうな顔をしていた。

「ノアが尋問や言語の他に家族との距離について教えてくれました。恐らく一般的な距離で仲を保つことが無理なことも。だから一度も会っていません」

たくさんの好意の一つも受け取らず僕にパートナーがいないのは家族になったとき両親のようにかごの中に閉じ込めてしまうかもしれない怖さがあるから。

「ルート兄が僕って使うことあるんだね」

なんかハッとした顔のルート兄。
「長い付き合いの方と話しているとたまに出てしまって。昔の話をしたからですかね。」

「僕でもいいと思うよ」

「ノアが私と使っていたので自分も言いたくて。プライベートは僕にしましょうかねぇ」

複雑な過去の話で暗いお茶の時間にしてしまったとルートは思いつつチラリと腕時計を見てそろそろ仕事に戻りますかと立ち上がった。
「夜、ガトーショコラ届けますので良貴さんにも伝えておいてください。ではまたお茶しましょう」

「無理はしないでね。僕も無理はしないから。」

ニコリとするとルートは部屋を出ていった。






普さんの前で僕と言ってしまっていることに気づかなかった。今回が初めてだと思うがやってしまった。僕と出てしまうのはノアの話をしたとき、不安なときだ。
昔の話は久しぶりにしたからな。ノアに会うまでは僕だったし、すぐに私と言うのは恥ずかしかった。リエンが聞いたら誰を真似ているかバレてしまうから。
と残りの仕事を終えて帰り支度をしながらお茶の時間のことを思い出し更にあれそれ思い出していく。
いけないこんなことをしている場合ではない。
突然落ち着いた音楽が流れる。誰かからの連絡かと端末を見ると良貴さんから
「普がスイーツ楽しみに待ってる。夕飯一緒に食べるだろ。待ってるから」

「これからすぐ帰ります。」

先に食べてとか夕飯はいいですよとか書くべきかもしれないと思っていても家族とご飯を食べるあの温かさが懐かしくてかけないことが多い。良貴さんはわかっていて夕飯に誘ってくれるのだろうなと思いながら早足で帰った。





「ルート兄泊まるの?」
夕飯を食べ終えガトーショコラを食べていると良貴さんがたまには映画見たり遊んだりしないかと…つまりお泊りしないかと言われ普を見るとワクワクしている。断ったらしぼんでしまう。明日の予定は休みで特にすることはない。
「迷う時間があるなら下の階に必要なもの取り入ってこい。」

「行ってきます」



話しながら映画を見てゲームをしてちょっと夜更かししたぐらいで普が眠そうなので寝ましょうかと…あれどう寝るのだろう?
「普ちゃん今日はルートが一緒に寝てくれるよ」

「ルート…兄…」

「え!」

ぎゅっとルートに抱きつく眠い普。
驚きとかなり久しぶりに抱きつかれ照れるルート。
俺も同じ部屋にいるから大丈夫だと言う伊藤。


ルートの腕の中で落ち着いた呼吸で眠る普を見ながら伊藤はお泊りの理由を話し始めた。
「ルートの寂しい、悲しいはどうすればいいって聞かれたんだ。ルートのこと知らないことが多いからわからないって。だから楽しいことをしたり、普がしてもらって嬉しいことをしてみたらどうかって言ったんだ」

「それでお泊りですか。あ、さっきのは抱き締めようとしてくれてたんですね」

「ルートは家族だ。影虎さんは3人で住んでしまえって言ってたよ。そうすれば不安も怖さもないって」

「僕は家族の距離感がわかりませんから今の状態が
いいと…たとえ他人同士であってもかごの中に閉じ込めてしまう」

「俺と普は壊しにかかるだろうな」

「…ふふっ閉じ込める前に外へ連れ出されますね。私は良貴さんは友人として普さんには兄のように接します。」

すぐに決める事でもない。部屋近いしまたお泊りすればいいさおやすみと2人も眠りについた。






普がルートの頭をなでながら抱き締めており目覚めたルートは赤面。
何でもやらせていいわけじゃないと伊藤はルートに怒られた。

「普に添い寝してあげるのはいいだろ」

「そ、それはいいですけど」

















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