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12.伊藤 過去
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虎二とリエンとは菊桜で働くための学校で出会った。高校であり、戦闘やら情報戦やら尋問等職にしたいものを学んだ。
2人は小さい頃から仲良しらしくそこに俺を入れ3人で過ごすことが多かった。2人はお付き合いを始めても一緒に過ごすことを望んでくれた。
仕事を始め1年経った頃ルートに出会う。
リエンの父 ノアが事情があってこの国で尋問官にすると連れてきたのだ。人が怖いようだがよく人を見ている頭のいい子だと思った。
普が生まれて5人で成長を見てきた。このまま友人たちとこんなに幸せな日々を過ごせるのだと思っていた。
ルートは2人とノアも失い耐えきれず尋問にのめり込んだ。
俺は影虎さんといる普のお世話をするようになった。
空いて塞がらない心の穴などお前に寄ってくる女で埋めればいいだろと当然のように言ってきた人がいた。
ゆっくり休むのもよし、いつも通りに過ごすのもよし深い傷は時間が解決するのだと経験者は言った。
「虫よけに私と付き合ってみるかい?無理もさせないし、自慢するための道具みたいな扱いも私しゃしないよ」
と事情を知っている仲間に言われ付き合ったことがある。彼女といるのは気持ちが楽だったけれど愛し合う行為が俺にはできなかった。
友人の崩れていく幸せをそばで見た俺には心の余裕はあまりなく、出来てしまうかもしれない命を幸せにできる自信はなかった。言葉で言われなくても彼女がいつかは自分の子を産みたいと思っているのを知っていた。だから別れた。
「あんたは2人が残した普といるほうが生き生きしてるよ。私が自分の幸せはこれだって胸はって言うようにあんたもこれが自分の幸せなんだ邪魔をするなって言えるようになりな。そうすりゃ色気で寄ってくるやつはいなくなるだろうよ」
俺には難しいよと困った顔で言えば付き合って気づいたことあるだろう無駄にはしないでおくれよと笑いながら少し離れたところにいた男性の方へ歩いて行った。
彼女も本気ではなかったのだ。気付ききれていないことに気づかせるために自分とパートナーの時間を俺に使ってくれていたのだ。頭を下げれば向こうも頭を軽く下げ2人でどこかへ行った。
普のそばにいることが増えた。2人といるような不思議な感覚になる。空いた穴の苦しさもなく自然に笑えるほど心に余裕ができる。影虎さんには話した。依存してしまうかもしれないと。
「見方次第でどうとでも言えることだ。俺は孫がそれで幸せならいい。責任さえ取れるなら父にでも夫にでもパートナーにでもなればいい」
「ありがとうございます」
馬鹿なことはしないと信じてもらえる事が嬉しい。さらっとすごいことを言われた気がするけれど…。
「…あの子は虎二に見える時とリエンに見える時がある。どちらになりたくても止めはしない普は自分の決めた道を進める」
「普ちゃんらしくいてくれればいいと思ってます」
「ルートをパートナーにすると言い出したら揉めろ。どちらが幸せにできるかをな。あいつは兄ぐらいの位置が心地良いだろう。いっそ3人で仲良く暮らせ。普が喜ぶ」
「その時がきたら考えますよ」
「俺が不老不死にでもなれたら…」
「影虎さんといられるのが普ちゃんにとって一番幸せです」
それぞれが亡くなった虎二とリエンの姿を今も探し求めては普を見ていたし、2人の為に守りたいと思っていた。
影虎さんが戦闘用義足になったとき1年近く一緒に住んだこともあった。孫のために義足を早く使い物になるようにしたいと頼まれたからだ。今思えば普と俺を守るためだったのかとわかる。
良貴、パパ、ママ、影じい
どれも呼ばれ慣れた。3つは不安な時や熱を出したときによく呼ばれたものだ。
仕事でいない影虎さんの代わりに添い寝して安心してもらえるのは自分も何かを与えられているのだと嬉しかった。
普のおかげか仕事中に2人を思い出してしまうことがなくなった。
普がいなくなったときどうしようもなかった。仕事はできたけれど何も楽しいと感じなかった。あとから聞いた話だと仕事中だろうがなんだろうが指導官のように怖くていつもみたいに女性が近寄らなかったとか。
2人のように普が死んでしまったり、いなくなってしまう夢を見ることもあった。
生きているはずだと古株たちや仲間に支えられてどうにか再会するまで耐えた。
やっと会えた…でも何かおかしく感じる。
再開して1年も経っていない。
俺のために命をかけた。
俺のためにいなくなろうとした。
追い詰めてしまったのか決まっていたことだったのか…伝え足りていなかったのか。頭の中がぐちゃぐちゃでとにかく怖かった。
ルートが言うには俺は誓いの言葉みたいなのを言った。
結果として俺とルートが生きているうちは生きる事をやめないでいてくれる。
「同じ学校だったんだ」
「虎二とは同じクラスでリエンは情報科のクラスにいたんだよ」
温かい飲み物を飲みながら普に昔の話をする。学生時代の話や昔のルートについての話は俺しか話せる人がいないから楽しそうに聞いていた。
「彼女って姉さん?」
「そうだよ。先輩でねあの人に助けられた人は多いと思う。」
「姉さんみたいにはなれないな」
なれたらもっと強くなれるけどと僕は自分の周りもまだ助けられてないし遠いなと普は落ち込んだような感じになる。
「二人の面影のある普ちゃんに俺は救われて、両親にも祖父にもあらゆるものになろうとする俺に普ちゃんは救われて、ルートは兄として昔みたいに一緒にいられることをとても喜んで、虎二やエリザは手合わせしたり出掛けたり仲間として友人として受け入れてる。お互いに助け合えているということは?」
「僕は仲間や大事な人を助ける力を持っている」
「いつかもっと沢山助けられるようになる。焦らずに目指せばいい」
普、君はまだ子供で心は体ほど成長できてなくて繊細で簡単に壊れてしまう。無理に早く大人にやろうとしなくていい。今は周りを沢山頼って、深い傷と共に生きていく方法を自分なりに見つけていってほしい。
俺は君を支え続ける。
2人は小さい頃から仲良しらしくそこに俺を入れ3人で過ごすことが多かった。2人はお付き合いを始めても一緒に過ごすことを望んでくれた。
仕事を始め1年経った頃ルートに出会う。
リエンの父 ノアが事情があってこの国で尋問官にすると連れてきたのだ。人が怖いようだがよく人を見ている頭のいい子だと思った。
普が生まれて5人で成長を見てきた。このまま友人たちとこんなに幸せな日々を過ごせるのだと思っていた。
ルートは2人とノアも失い耐えきれず尋問にのめり込んだ。
俺は影虎さんといる普のお世話をするようになった。
空いて塞がらない心の穴などお前に寄ってくる女で埋めればいいだろと当然のように言ってきた人がいた。
ゆっくり休むのもよし、いつも通りに過ごすのもよし深い傷は時間が解決するのだと経験者は言った。
「虫よけに私と付き合ってみるかい?無理もさせないし、自慢するための道具みたいな扱いも私しゃしないよ」
と事情を知っている仲間に言われ付き合ったことがある。彼女といるのは気持ちが楽だったけれど愛し合う行為が俺にはできなかった。
友人の崩れていく幸せをそばで見た俺には心の余裕はあまりなく、出来てしまうかもしれない命を幸せにできる自信はなかった。言葉で言われなくても彼女がいつかは自分の子を産みたいと思っているのを知っていた。だから別れた。
「あんたは2人が残した普といるほうが生き生きしてるよ。私が自分の幸せはこれだって胸はって言うようにあんたもこれが自分の幸せなんだ邪魔をするなって言えるようになりな。そうすりゃ色気で寄ってくるやつはいなくなるだろうよ」
俺には難しいよと困った顔で言えば付き合って気づいたことあるだろう無駄にはしないでおくれよと笑いながら少し離れたところにいた男性の方へ歩いて行った。
彼女も本気ではなかったのだ。気付ききれていないことに気づかせるために自分とパートナーの時間を俺に使ってくれていたのだ。頭を下げれば向こうも頭を軽く下げ2人でどこかへ行った。
普のそばにいることが増えた。2人といるような不思議な感覚になる。空いた穴の苦しさもなく自然に笑えるほど心に余裕ができる。影虎さんには話した。依存してしまうかもしれないと。
「見方次第でどうとでも言えることだ。俺は孫がそれで幸せならいい。責任さえ取れるなら父にでも夫にでもパートナーにでもなればいい」
「ありがとうございます」
馬鹿なことはしないと信じてもらえる事が嬉しい。さらっとすごいことを言われた気がするけれど…。
「…あの子は虎二に見える時とリエンに見える時がある。どちらになりたくても止めはしない普は自分の決めた道を進める」
「普ちゃんらしくいてくれればいいと思ってます」
「ルートをパートナーにすると言い出したら揉めろ。どちらが幸せにできるかをな。あいつは兄ぐらいの位置が心地良いだろう。いっそ3人で仲良く暮らせ。普が喜ぶ」
「その時がきたら考えますよ」
「俺が不老不死にでもなれたら…」
「影虎さんといられるのが普ちゃんにとって一番幸せです」
それぞれが亡くなった虎二とリエンの姿を今も探し求めては普を見ていたし、2人の為に守りたいと思っていた。
影虎さんが戦闘用義足になったとき1年近く一緒に住んだこともあった。孫のために義足を早く使い物になるようにしたいと頼まれたからだ。今思えば普と俺を守るためだったのかとわかる。
良貴、パパ、ママ、影じい
どれも呼ばれ慣れた。3つは不安な時や熱を出したときによく呼ばれたものだ。
仕事でいない影虎さんの代わりに添い寝して安心してもらえるのは自分も何かを与えられているのだと嬉しかった。
普のおかげか仕事中に2人を思い出してしまうことがなくなった。
普がいなくなったときどうしようもなかった。仕事はできたけれど何も楽しいと感じなかった。あとから聞いた話だと仕事中だろうがなんだろうが指導官のように怖くていつもみたいに女性が近寄らなかったとか。
2人のように普が死んでしまったり、いなくなってしまう夢を見ることもあった。
生きているはずだと古株たちや仲間に支えられてどうにか再会するまで耐えた。
やっと会えた…でも何かおかしく感じる。
再開して1年も経っていない。
俺のために命をかけた。
俺のためにいなくなろうとした。
追い詰めてしまったのか決まっていたことだったのか…伝え足りていなかったのか。頭の中がぐちゃぐちゃでとにかく怖かった。
ルートが言うには俺は誓いの言葉みたいなのを言った。
結果として俺とルートが生きているうちは生きる事をやめないでいてくれる。
「同じ学校だったんだ」
「虎二とは同じクラスでリエンは情報科のクラスにいたんだよ」
温かい飲み物を飲みながら普に昔の話をする。学生時代の話や昔のルートについての話は俺しか話せる人がいないから楽しそうに聞いていた。
「彼女って姉さん?」
「そうだよ。先輩でねあの人に助けられた人は多いと思う。」
「姉さんみたいにはなれないな」
なれたらもっと強くなれるけどと僕は自分の周りもまだ助けられてないし遠いなと普は落ち込んだような感じになる。
「二人の面影のある普ちゃんに俺は救われて、両親にも祖父にもあらゆるものになろうとする俺に普ちゃんは救われて、ルートは兄として昔みたいに一緒にいられることをとても喜んで、虎二やエリザは手合わせしたり出掛けたり仲間として友人として受け入れてる。お互いに助け合えているということは?」
「僕は仲間や大事な人を助ける力を持っている」
「いつかもっと沢山助けられるようになる。焦らずに目指せばいい」
普、君はまだ子供で心は体ほど成長できてなくて繊細で簡単に壊れてしまう。無理に早く大人にやろうとしなくていい。今は周りを沢山頼って、深い傷と共に生きていく方法を自分なりに見つけていってほしい。
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