僕と間の人達

ルート

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最近任務ついて来るか?って声かけられるから整備や修理の仕事がなくて3人と予定が合わないときについていく。3人のうちの誰かいることもあれば古株といった知り合いがいることもある。
「似ている人に会わない」

あの人はここで働いている人ではないのだろうか?誰か知り合いの子供だったのだろうか?
と考えていればどうしたの?具合悪い?と心配されたので
「ショートカットで髪の色は銀髪の男の人って菊桜にいる?」

「銀髪は確かいるけどどうだったかな」

情報関係の仕事をしていたりすれば現場に行く人は会う機会が少ない場合があるからなあと困り始めたでまた他の人に聞いてみるありがとうと別れた。




「銀髪の人かい?建物内での仕事で何人がいるよ。誰か探してるのかな?」

「小さい頃に会っていた人がいると思うんだけどよく思い出せなくて。」

考え込む普に時間があればいろんな部署を見学してみてもいいんじゃないかなと提案し時間はあるからさぁそろそろ寝ようねと頭をなでる。おやすみと部屋へ入っていくのを見届けてから端末いじる。

「普は覚えているみたいだ」

「あんなに小さかったのに忘れずにいてくれていたんですね」

「記憶の中の銀髪の男の人を探しているって。」

次の言葉が返ってこない。
たった10年で消えるような傷じゃない。わかっていた俺よりも深いかもしれないことを。


普さんが私を探している。ほんの少し覚えていてくれただけでも嬉しいのに会いたいと思ってくれているのかと…失ったことに耐えられなくて距離を取ってしまった私を
良貴さんに返事を送ることができない。
どう会うべきか?
泣かせてしまったらどうすればいい?
今の私は耐えられるのか?

画面が動いて不安な顔で見ればお菓子のことまでは覚えていないかもしれないと書かれていた。





ここ2、3日仕事をしてから普段行くことのない部署を見て回っている。僕を知っているのか軽く手を振ってくる人やお菓子をくれる人がいる。
「今日はここを見学ですか?」

そうだと答えようとして気づく。銀髪の男の人。
「よかったら私の尋問を見ていきますか?」

「邪魔にならなければ」



どうだったか?怖かった。持っている情報と会話からの情報を頭の中ですぐに照らし合わせてじわじわと攻めていくようなといえばいいだろうか。あと雰囲気がかなり変わる。頭を使うゲームを楽しんでいるような…
「怖がられるほどだとは…申し訳ないです」

「相手真っ青だった」

怖がる僕にクッキーが入った袋を渡してきた。
「お菓子作りが趣味なんです。よかったらどうぞ」





作業机の上にメッセージカードと手作りのお菓子が置かれるようになった。
料理は出来るけどお菓子は作ったことないなと思いながら食べる。引き出しから紙を取り出し感謝と感想を書き置いておく。次に来たときその紙は無くなる。あの尋問官だとわかっている。でも忙しいのかタイミングが合わないのかあれから会うことがなく紙に書いたメッセージのやり取りだけなのだ。
何度か尋問関係の部屋に行ってみたが別の部屋で仕事しているのか尋問をしているのか部屋にはいなかった。
明らかに一定の距離を取られている。取らなければならない事情がもしあるのならなぜあの日会ったのだろう。



普は兄弟のいない私にとってどう接すればいいのかを教えてくれた人。たった一人
「ルート兄」
と呼んでくれた人。
普の祖父ノアはイジメられ人を怖がるが頭の良い子がいるという情報だけで私を見つけ出し
「君を必要としている国がある。鳥かごの中にいるか新しい名とともに扉を開け外へ出てみるか」

頷く私を外の世界へ連れ出し尋問について教えてくれた。ルートと名付けてくれたのもノア。
虎二さんとリエンさん、良貴さんと仲良くなった頃に国に戻ったノアが何者かに殺されていた。
普がお昼寝をしていて四人で話しているときにリエンさんが
「私やトラジの家は確実に狙われるその時は良貴、ルート…普をお願い」

「構わないよ」

「…僕は」

「ルートあなたはとても傷つきやすいしまだ成長途中の子供。私達が死んだら普から一旦距離をとってもいいわ。いつか大きくなった普が困ったとき助けてあげて。お菓子を作ってあげたら喜ぶわ」

「わかりました」



メッセージカードでのやり取りは自分でも何をしてるんだと思ってる。せっかくあの日直接会えたのに見つからないようにお菓子を置きに行って私宛の手紙が必ず置いてあって嬉しくてを今繰り返している。
今日はいそうな時間に勇気を出して行った。

「部屋にいないため御用の方は机の上のメモに名前と要件を書いてください」

いないのかとなぜかホッとしてしまう。部屋の中に入り机にカードとお菓子を置くといつもの手紙が置いてあるので手に取り見た。心臓がうるさくなって耐えられなくて部屋をすぐ出た。



尋問官から返事はなかった。2週間お菓子もカードも机に置かれていない。
「…ルート兄」

責める気持ちなどない。会って話して確認してルート兄だったら怒ってないことを伝えたい。




質問はいつもカードに追加で書き込んできていた。

「あなたはルート兄ですか?」

返事を書けなかった。 


「ルート」

怯えた子どものような表情をしているルートを見て良貴は気づかれたのだろうと思いながら隣に座る。タバコは吸っていない。そんな気分では、吸って消えるようなもんではない。

「どうしたい?」

「…」

「あの人達はいつも待ってくれる…でもあの人達の命を奪う奴らは待ってくれない。
普はどこか遠くを見ている時がある。いなくなってしまうかもしれない。それが俺は怖い」

何も言えない私のそばに暫くの間良貴さんはいてくれた。
















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