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5.お化け (エリザ過去)
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僕が怪我をさせた人が退院したと廊下で会った知り合いから聞いた。ポジティブの塊みたいな人だからそんなに気にしなくても大丈夫だとも。
上手く言えなくても伝わるからと良貴には言われたけれど言う勇気がない。骨を折ったやつの謝罪など聞いてくれる訳がない。
「紙に書いて渡すのはどうだ?」
と虎二は部品の仕分けを手伝いながら答えた。
エリザは遠回しに言うと混乱するからはっきりした言葉で伝えたほうがいい。
「あとポジティブ体力おばけだ」
「…」
「そのうちわかる」
頼まれていた銃の整備を済ませ取りに来る間に別の銃もと手を伸ばす。
「こんにちは!」
元気な声が入口から聞こえてくる。持ち主ではないなと手を止めてそちらを見ればボーイッシュな髪型の元気そうな女性が立っている。腕が…
何も言えずにジッと見ていればその女性は嬉しそうにしながら入るねと言い部屋に入ってきた。
「早く会いたかったんだけど安静にしなさいって病院の人に毎回止められて来られなくてさ。このぐらいの怪我すぐ治るのに…あ!名前言ってなかったね私はエリザ」
「あ…えっと」
明るすぎてついていけないし思うように声が出なくて引き出しを開け紙を手に取ると突き付けた。
「お手紙?」
その場でエリザは読み始め…折れているはずの腕を動かし普の手を握って
「全然気にしなくていいのに。ほらもう結構動かせるよ。私、怪我は人より早く治るんだ」
困ったように見つめてくる普を見て笑ってしまった。戦っていなければ少し大人な子供で相手のことを気にして…
「怪我をさせてもねここまで真面目に謝る人ってあまりいないんだ。この仕事は怪我も死ぬことだってあるから気にしていられないんだよね。」
「でも」
「普とは仲良くなれそう」
「…え」
何をどう考えればそうなるのと更に困る普を助けねばと虎二が入ってきて伊藤は入口でニコニコしている。
「あ!虎二、伊藤さんお疲れ!」
「今日も元気だね」
「ああおつかれ」
と軽い挨拶をして
「エリザははっきり気持ちを伝えてくれる人が好きなんだ。前にはっきりしない嫌味を言った人が殴られたことがある」
「待って虎二最後ので普震えてるよ!」
「余程のことがない限り殴られたりはしないよ」
最後は伊藤の言葉で普は部屋の隅に行きぷるぷる震え3人は数時間謝ったりしていたとかしてなかったとか。
エリザ本人が言っていた通り回復が早いらしいと窓の外を見ながら思った。怪我人とは思えないほどよく動くし明るいからポジティブ体力お化けなのかと思ったよりエリザをよく表した言葉だったんだな。
手紙に書いた通りまだ出来ないことは手伝った。治ってきていても完璧に動かせるわけじゃない。利き手が無事だから困ってないよと笑っていたけどそれはそれで心配にはなる。
遊びに来たよと今日も元気なエリザが部屋に入ってくる。椅子と飲み物を用意すればありがとうと言い嬉しそうにしている。まだ慣れないが会話は出来るようになってきた。
普が心配しているのに気づいているからかなのかこの仕事で辛いと思ったことないんだ前の方が辛かったかなと言うので別の仕事をしていたの?と聞けば軍にいたんだよとエリザは話し始めた。
体力にはとても自信があった。スポーツ以外で体を使う仕事がしたくて軍を選んだ。最初は規律が厳しくて沢山体を動かせてここに来てよかったなんて思ってた。でもだんだんそう思わなくなった。
パソコンや書類とにらめっこして1日が終わったり
人がいなくなったり、いじめ、泥棒、なすりつけ合い…規律はどこにいったのか。体力勝負の仕事ではなかった。
私でもストレスは溜まる。たまたま参加した訓練でやる気のない相手に腹がたって止めに入った人まで殴り倒して我に返ったときには何人も倒れてたし離れていた仲間には怯えた目で見られた。
数日部屋にいなさい処分を考えると言われてベットに横になって1日ぼーっとしてた。いつもなら動きたいのにそうならなかった。数日も経たずにある部屋に呼ばれたから処分ってこんなに早く決まるんだって思いながら向かった。
「うちに来ませんか?」
「どういう…」
「体力があって強いが座り仕事は苦手…うちは報告書以外はみんなで話し合ったり専門の人がやりますから。命がけの仕事ではありますが体力が尽きるまで思う存分暴れてもらって構いません。」
「魅力的」
「もう天職だよ」
報告書の書き方何度聞いても教えてくれるし難しい座り仕事しなくていいし、体沢山動かせるし、手合わせしてくれる人も多いし、仕事の緊張感たまらなくいいと天職について語るエリザにいろんな過去があるんだなと思った。
「ここに来て良かった任務は?」
「1日山の中休まず追い掛け回したやつかな」
「…おばけだ」
「いやー楽しかったよ。」
体力はエリザに勝てないなと言えば私と体力づくりしようと言われたので今は手合わせだけでと答えた
伊藤と虎二とエリザ
「エリザは接近戦と長期戦が得意だね」
「はい!」
「任務のとき相手がすぐ倒れてしまうと仲間の相手に手を出し始めるからな」
「だって体動かし足りなんだもん」
「訓練のときはエリザには数人相手を用意しているが足りないのか?」
「相手によるけど足りないことが多いかな」
「山で追いかけっこするかい?」
「いいんですか!!」
「…喜ぶのはエリザぐらいだな」
伊藤と追いかけっこ…訓練というよりは罰に近い。山の中で気配なく近づいてくる伊藤から逃げるのだ。緊張と恐怖でいっぱいの中1~2日間逃げる。このときの伊藤は笑わないから怖い…笑ってたらそれはそれで怖い。
上手く言えなくても伝わるからと良貴には言われたけれど言う勇気がない。骨を折ったやつの謝罪など聞いてくれる訳がない。
「紙に書いて渡すのはどうだ?」
と虎二は部品の仕分けを手伝いながら答えた。
エリザは遠回しに言うと混乱するからはっきりした言葉で伝えたほうがいい。
「あとポジティブ体力おばけだ」
「…」
「そのうちわかる」
頼まれていた銃の整備を済ませ取りに来る間に別の銃もと手を伸ばす。
「こんにちは!」
元気な声が入口から聞こえてくる。持ち主ではないなと手を止めてそちらを見ればボーイッシュな髪型の元気そうな女性が立っている。腕が…
何も言えずにジッと見ていればその女性は嬉しそうにしながら入るねと言い部屋に入ってきた。
「早く会いたかったんだけど安静にしなさいって病院の人に毎回止められて来られなくてさ。このぐらいの怪我すぐ治るのに…あ!名前言ってなかったね私はエリザ」
「あ…えっと」
明るすぎてついていけないし思うように声が出なくて引き出しを開け紙を手に取ると突き付けた。
「お手紙?」
その場でエリザは読み始め…折れているはずの腕を動かし普の手を握って
「全然気にしなくていいのに。ほらもう結構動かせるよ。私、怪我は人より早く治るんだ」
困ったように見つめてくる普を見て笑ってしまった。戦っていなければ少し大人な子供で相手のことを気にして…
「怪我をさせてもねここまで真面目に謝る人ってあまりいないんだ。この仕事は怪我も死ぬことだってあるから気にしていられないんだよね。」
「でも」
「普とは仲良くなれそう」
「…え」
何をどう考えればそうなるのと更に困る普を助けねばと虎二が入ってきて伊藤は入口でニコニコしている。
「あ!虎二、伊藤さんお疲れ!」
「今日も元気だね」
「ああおつかれ」
と軽い挨拶をして
「エリザははっきり気持ちを伝えてくれる人が好きなんだ。前にはっきりしない嫌味を言った人が殴られたことがある」
「待って虎二最後ので普震えてるよ!」
「余程のことがない限り殴られたりはしないよ」
最後は伊藤の言葉で普は部屋の隅に行きぷるぷる震え3人は数時間謝ったりしていたとかしてなかったとか。
エリザ本人が言っていた通り回復が早いらしいと窓の外を見ながら思った。怪我人とは思えないほどよく動くし明るいからポジティブ体力お化けなのかと思ったよりエリザをよく表した言葉だったんだな。
手紙に書いた通りまだ出来ないことは手伝った。治ってきていても完璧に動かせるわけじゃない。利き手が無事だから困ってないよと笑っていたけどそれはそれで心配にはなる。
遊びに来たよと今日も元気なエリザが部屋に入ってくる。椅子と飲み物を用意すればありがとうと言い嬉しそうにしている。まだ慣れないが会話は出来るようになってきた。
普が心配しているのに気づいているからかなのかこの仕事で辛いと思ったことないんだ前の方が辛かったかなと言うので別の仕事をしていたの?と聞けば軍にいたんだよとエリザは話し始めた。
体力にはとても自信があった。スポーツ以外で体を使う仕事がしたくて軍を選んだ。最初は規律が厳しくて沢山体を動かせてここに来てよかったなんて思ってた。でもだんだんそう思わなくなった。
パソコンや書類とにらめっこして1日が終わったり
人がいなくなったり、いじめ、泥棒、なすりつけ合い…規律はどこにいったのか。体力勝負の仕事ではなかった。
私でもストレスは溜まる。たまたま参加した訓練でやる気のない相手に腹がたって止めに入った人まで殴り倒して我に返ったときには何人も倒れてたし離れていた仲間には怯えた目で見られた。
数日部屋にいなさい処分を考えると言われてベットに横になって1日ぼーっとしてた。いつもなら動きたいのにそうならなかった。数日も経たずにある部屋に呼ばれたから処分ってこんなに早く決まるんだって思いながら向かった。
「うちに来ませんか?」
「どういう…」
「体力があって強いが座り仕事は苦手…うちは報告書以外はみんなで話し合ったり専門の人がやりますから。命がけの仕事ではありますが体力が尽きるまで思う存分暴れてもらって構いません。」
「魅力的」
「もう天職だよ」
報告書の書き方何度聞いても教えてくれるし難しい座り仕事しなくていいし、体沢山動かせるし、手合わせしてくれる人も多いし、仕事の緊張感たまらなくいいと天職について語るエリザにいろんな過去があるんだなと思った。
「ここに来て良かった任務は?」
「1日山の中休まず追い掛け回したやつかな」
「…おばけだ」
「いやー楽しかったよ。」
体力はエリザに勝てないなと言えば私と体力づくりしようと言われたので今は手合わせだけでと答えた
伊藤と虎二とエリザ
「エリザは接近戦と長期戦が得意だね」
「はい!」
「任務のとき相手がすぐ倒れてしまうと仲間の相手に手を出し始めるからな」
「だって体動かし足りなんだもん」
「訓練のときはエリザには数人相手を用意しているが足りないのか?」
「相手によるけど足りないことが多いかな」
「山で追いかけっこするかい?」
「いいんですか!!」
「…喜ぶのはエリザぐらいだな」
伊藤と追いかけっこ…訓練というよりは罰に近い。山の中で気配なく近づいてくる伊藤から逃げるのだ。緊張と恐怖でいっぱいの中1~2日間逃げる。このときの伊藤は笑わないから怖い…笑ってたらそれはそれで怖い。
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