僕と間の人達

ルート

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2.いなくなった理由

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あれから数日、普は眠っていた。
何人も様子を見に来ていた。2年前より成長した普と早く会話がしたいのだろう。それに誰かがあの部屋の事を聞かなければならない。

上の者たちは困っていた。
最初は皆様子を見に行っても少し経てば自分の持ち場に戻っていた。たった数日の間に交代で部屋に持ち込んで見守りながら仕事するとは思わなかった。仕事してるから文句言えないし、でも何かあったときの責任全部私達なんだよなぁと。

普の手が動いたと連絡を受け伊藤は走って向かうと知り合いの古株の簡単な質問に受け答えをしていた。こちらに気づくと真顔のままボロボロと泣き始めどこか痛いのかと古株に聞かれると違うのだと首を横に振った。側に行くと
「約束を守れなかったは違う」
泣きながらもはっきりとした声で言われたが頷くことはできない。
「相談しようって思ってもらえるほどの人にはまだなれていなかったんだ。あまり気にしなくていいよ普ちゃん」
少しして頷いてくれたので手に触れ安心させながら今後の流れを簡単に説明した。そしてあの部屋についても聞くことを伝えると
「あれは早く終わるはずの依頼だった。信頼できる人が相手であれば明日話すよ。良貴がいてくれると嬉しい」
と言い聞いているであろう人のいる場所を見た。思っていたより早くあの状況についてわかるとなると見つめた先にいた人たちは早速予定合わせを始めた。
眠った普を今日も見守ると仕事やら本やら持ってきた知り合いに任せ廊下に出るとスーツを着た銀髪オールバックの男が立っていた。こちらを向くと
「良貴さんまだ私は会う勇気はありません。信頼できる人にはなれないと近くで話を聞くのは断りました。部屋の方で聞きますのでよろしくお願いします」

「聞く勇気はあるんだ。明日を越えられれば会う勇気も出るだろう。無理はするなよルート」

少し困ったような顔をしながらもルートという尋問官は頷いた。



次の日、伊藤良貴を含めた数人の信頼できる者との話が始まった。
軽い雑談からしようかと話しかけるが微妙に変わる表情の違いに気づくと本題に入ることを望んでいると判断し
「本題に入ってもいいのかな?」
と聞くと頷いたのでまず話しやすいとこからで構わないから話しておくれと言うと
「影じいが死んですぐに4人の男が家を訪ねてきたんだ」
と普はゆっくり話し始めた。
影じいに依頼があると言うから死んだことを伝えたんだけどとても困ったような悲しいような色んな感情が混じった顔をしていてなんだか自分を見ているみたいに感じたんだ。依頼はなにかと聞いたら君には難しいというから答えてくれなくて影じいの仕事を手伝ったときに殺したことがあると言ったらどのぐらいか考えていたけど君は安楽死と銃殺は可能かと聞かれて物が用意できているならと答えた。その場で話し合った結果あの大きな建物に用意ができてるというから付いて行った。無事に建物に着いてからアルフレッドが言ったんだ
「君さえ良ければ少しだけ家族ごっこをしないか?」
ってさ。良貴やおじちゃんたちが少しの間でも面倒な力を持った僕を世話しなくてもいいのは楽なんじゃないかって思った。心配はされるだろうけど家族ごっこをすることに決めたんだ。
彼らはもしかしたら生きる理由を見つけられるかもってちょっとくらいは思っていたかもしれない。
5人ですぐ見つかるだろうねなんて言ってたけど買い物したり小旅行したり、気分が悪い時はお互いにそばにいてあげたりしてあっという間に2年が経とうとしてた時見つかったって分かって決めていた計画通りやって時間を稼いで2人が薬による安楽死、もう2人は苦しむことを希望していて銃殺。それでも苦しまないように殺した。その後遺体を綺麗にして廊下に出たら人に見つかってもう大丈夫って言われたときに
「大丈夫なんてこと彼らにも僕にもなかったって思ったあたりで記憶が曖昧…そばにいるって言ったのにすまないって懐かしい声が聞こえて我に返って倒れたみたい」

俺達がいる組織は誰も引き受けられないことを引き受けることはある。個人で依頼を受けているなんて人がいる話も聞いたことはある。
だが今の時代安楽死は大体の国で認められている。

「なぜ影虎さんのときに依頼が?」

「数回引き受けたことがあるみたい。亡くなったあとどこかに頼んで家族にご遺体渡したらしくてその時とても穏やかな顔をしていたって。」

「彼らは何者だったんだい?」

「元軍人で国もバラバラでPTSDや仲間の死に苦しんでた」

話の最後に普は遺体を可能なら家族のもとにと言った。身元の調べはついていて家族に連絡すると4人とも受け入れた。遺体に会いに来た家族はやっと救われたんだ。穏やかな顔でよかった。本人の望んだ死をありがとうと。可能であればいつかお墓参りにいや会いに来てあげてほしいと伝えてほしいと言い帰っていった。


「ルート」
「良貴さんお疲れ様でした」
伊藤はタバコを吸わない。ルートが耐えられないことがあると少しの間タバコを吸う事を知っている。だから吸うであろう場所に来た。
「あの後無理をしてでも普さんに寄り添っていたらあんなに早く大人にさせすぎることはなかったのかと思うと」

「普の心はあの頃で止まってる。ゆっくり成長させないといつ崩れるか俺はそれが怖い」

しばらくタバコ吸い終わるのを待って言おうと思っていた事を言うことにした。
「普と菊桜所有のマンションで暮らそうかなって思ってる」

あまり驚いていないルートに

「お前なら驚かないだろうし駄目とか言わないだろうと思って「私のいる階の上に広い部屋があるはずです」」

少し驚くとルートは続けて

「今度こそ兄役をしないと虎二さんとリエンさんに怒られてしまう気がするので。少しずつ仲良くなって遊びに行ったり来てもらったりできたらなんて…」

と少し照れたルートに喜ぶだろうなと言うとそうであってほしいですと返ってきた。










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