上 下
127 / 130
第5章 教会編

道中は順調・・・暇だ

しおりを挟む
空は快晴、教会本部へ順調に進行中

皇帝であるアッシュの移動なだけあって結構な行列だ

前回のキャラバンより遅めの速度だが、その時より人数が多ければ仕方ないのだろう

アッシュ専用車リムジンの周りを取り囲んでいる帝国兵をぼーっと眺めながら海斗は暇を持て余していた


「暇だ・・・やる事がない」

初日は海斗が運転しながら御者にレクチャーをしていたのだが、1日もすれば完璧に乗りこなしてしまった

それならばと魔物退治でもしようと思ったのだが、帝国兵の訓練の為だと宰相のジットに止められてしまう

魔物と戦っている所を見てみたけど、色んな国と戦ってきただけあって練度が高く、手を出す必要性が無かった。逆に邪魔をしてしまう恐れがあった

という訳で何もする事の無い海斗は、念の為地図を広げながらも車の中で手持ち無沙汰を感じていた

「上がり~です」

「負けました」

「アッシュ強いな」

「数回でこんなに強くなるなんて」

「いえいえ、ヨシユキさんの教えが良かったんです」

車の中ではアッシュと東堂兄妹がトランプをしており、ヨシユキがアッシュにルールを教えながら遊んでいる

ジットは持ってきた書類を確認しておりレオンとメアは

「うーー、気持ち悪い」

「レオン大丈夫?」

低速で走っていたにも関わらず車酔いをしてしまったレオンは横になってメアに介護されていた

馬車と車では乗り心地等が違うのか、レオンには合わなかったみたい

「もう少しで休憩らしいから頑張れ」

海斗の励ましに答える元気もないのかプルプルと手を上げて返事を返す

こうして見てるとサーニャを思い出すなぁ。あっ!そういえばまだ酔い止めがあったような

暫く走り広場を見つけて休憩を取る事になった

海斗はCCで簡易休憩所を購入し設置する

見た目は完璧に海の家だ。畳みの上に倒れ込むレオン、介護しているメアに酔い止め薬を渡しておく

ヨシユキとスミレ、アッシュは車の中でトランプを散々したにも関わらず元気にカレーや焼きそばを食べている

いや、海の家って言えばそのメニューなんだけどさ

海斗はレトルト牛丼を温めてご飯の上に装っていると

「海斗殿、何やら美味しそうですな」

おっと?ジットさんは向こうで用意していたんじゃないのかな?

「その予定だったのですが、此方の方が美味しそうな匂いがしまして」

「そうなんです、海斗さんの料理はどれも食べた事なくて美味しいのです」

「成る程、陛下がそうおっしゃるのであれば是非私にも頂けないでしょうか?」

目をキラキラさせながら力説するアッシュ、口にご飯粒が付いてるよ

ジットにレトルトをいくつか並べると海斗と同じ牛丼が良いと言われたのでご飯に装って渡す

一口食べたジットはカッと目を見開き無言で牛丼をかき込み始めた

これは、美味しいということでいいのかな?チラッと目の合ったジットは満足気に頷き、またかき込みだした

えっと、うん。俺も食べようっと

休憩も終わりレオンとメアは車の横をキックボードで付いていくと言い出す

まぁこのまま乗り続けても酔いが酷くなる一方だし暇よりはいいと思う

メアはレオン1人だと寂しそうだからだってさ

リヤ充め!爆発してしまえばいいさ



出発し、広くなった車内で相変わらず暇な海斗は、思い付いたように久しぶりのガチャをする事に

「海斗さんまた無駄遣いするつもりなの?」

ぐっ!?そんな事ない・・・はずさ

ヨシユキから目を逸らすとスミレに捕まる

「大丈夫です、私がちゃんと見ておきますよ」

スミレが隣に座ってにっこりと笑顔で答えた

そんな・・・殺生な!?

今回は4万ゴールドのみとクギを刺されたのでガチャをNFAだけに絞る

ガチャを開くと期間限定SSRが目に入った

なっ!?何だってーーー!何だこの武器は!?

見た目は薄手のグローブ、バイク用とかスポーツ用に使えそうな感じだ。色は片方が黒でもう片方が白、中々カッコいい

詳細をタップすると引力と斥力と書いてある。何それ面白そう!

しかも今なら期間限定の確立が2倍だって!?

雷のグローブは封印決定だしコレをゲットしたいな

ワクワクしながら10連ガチャに挑む

・・・・

あぁ!SRが2つしか出なかった!次だ次


・・・・

よし!っあぁ~!?ショットガンのSSRじゃないんだよ!欲しいのはグローブなんだ


・・・・

何で当たんないんだよぅ!確立2倍はどこにいった!物欲か?物欲がいかんのか?

ひっひっふー、落ち着け。無心だ。今こそ無心になるんだ

・・・・

だーーー!?SRすら出てこなくなるなんて鬼畜かーー!?


ショットガンのSSR以外全く出ないままお金だけが減っていく

そして遂にラスト1回となり、手が震えボタンを押せずにいる海斗を残念な目で見ている兄妹とアッシュとジット

「海斗さん、もう諦めたら?」

「そうゆうガチャ系の2倍という数字はコンマ数%の2倍であって当たり率は低いままなんですよ?」

ぐはっ!

「海斗さん、確率の低いギャンブルは身を滅ぼすだけかと思います」

年下のアッシュにトドメを刺された海斗は座席に倒れ込む

「あっ!」

突っ伏している海斗の横でスミレが慌てた声を上げる

何事かと顔をゆっくり上げるとスミレが画面を見ながら指を指していた


「ごめんなさい、まさか押せるとは思ってもいなくて」

「えっ!?」

急いで画面を見るとガチャが動いている

まさか他の人も押せるの!?そう言えばネットショップは誰でも触れてたな

考えている間にもガチャは次々と開けられていく

現在8つ中SRが3という素晴らしい成果だが望みのSSRには届かない

「後2つ」

押した責任かスミレが祈る様に画面を見ている

9つ目、出てきたのはR、これで後1つ

ラストはアッシュとヨシユキも祈りに加わってくれて4人で画面の前で祈る

すると確定演出がかかりキラキラさせながら黒と白のグローブが現れた


「「「やったーーーーーー!」」」

車内に歓喜の声が上がり外にまで聞こえたのかレオンが「どうした!?」と心配されてしまった

早速グローブを見ながら過剰にならない様に強化していく

期間限定なだけあってこの武器は威力調整が出来るみたい、流石は期間限定

ワクワクと弄っていると外にいたレオンが窓を開けて欲しいとジェスチャーしてきた

「どうしたの?」

窓を開けレオンが空を指差しながら

「なぁ、何か天気がおかしくないか?」

空を見上げて見ても雨が降りそうな感じは見られない

「何となくなんですが風がいつもと違うんです」

メアの言葉を聞いても違いがよく分からなかったのでスマホの天気予報を確認してみる


「えっ!?」


台風が近づいてきてるよ・・・



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

処理中です...