上 下
126 / 130
第5章 教会編

いざ教会本部へ

しおりを挟む
勝負の決着がついてから数日間、海斗は暁月組の行動を確認していた

前とは違い地図の範囲も広い、何が起きても対処出来る

そう思い常時暁月組を監視していたのだが

グレンが話していた通り、暁月組は荷物を纏めて街を出て行った

少し肩透かし感はあったが、商人達の信頼が得られないのであれば、この辺りで商売をする事は不可能と判断したのだろう

また別の土地で頑張ってほしいものだ。他の人に迷惑をかけない程度に

その間にグレン達には車の使い方や構造の説明を指南し、学園都市のマツキヨさんに転移で紹介しに行ったりしていた

そんなこんなでそろそろ帝国に戻る日になりグレン達と別れの挨拶を交わす

「海斗さん、もう行っちゃうんですか?」

「ごめんねアニ、やらなきゃいけない用事があってさ。
でも出禁は解除されたからまた来るよ」

「約束だからね」

アニと日本の約束するおまじない、指切りを教えてあげる

意味を聞いたアニの眉間が凄いことになってしまったけど

「海斗、また助けられたな」

「いいって、ヨシユキの貞操の危機だったし、下手したらブラコンパワーでこの街が氷漬けになるのを阻止できたん、ぐほっ!?」

グレンのお礼に余計な一言を添えた海斗

スミレの氷の塊が海斗の脇腹にめり込んだ

「ブラコンでは無いですよ」

「ぁ・・はい、ずびばぜん」

笑顔なのに目が笑ってないよ、スミレさん

「だ、大丈夫か?」

「な、なんとか」

「それにしてもミリィの妹の手掛かりが教会にあったなんてな」

「仕方ないよアニの事を考えると教会から離れ接触を避けるしかない
後はこの腕輪だね、もし向こうの腕輪が本物なら」

「ああ、腕輪に魔力を流したら共鳴してお互いの宝石が光ると言っていた」

「分かった、試してみるよ」


グレンは渋い顔をしながら海斗に忠告してきた

「海斗気を付けろよ、俺の調べた限りではゴンズがしていた人身売買の売り先の一つに教会の名前があったんだ」

「何だって!?」

「少なくとも司祭クラスの人間が関わっていたらしい、下手したら海斗の事もバレる可能性がある。慎重に行動しろよ」

「分かったよ」

「大丈夫だ、俺がちゃんと見張っておく」

「えぇ、レオン俺は慎重派だよ?」

「「何処がだ!」」

おおう、グレンもレオンも声を揃える位仲良くなったんだね

あれ?何でそんな被害者みたいな顔してるのさ?

後やっぱりグレン達との別れは締まらなかったよ



笑顔で手を振り海斗達は帝国へと転移した


帝国に戻った海斗達はアッシュのいる部屋へと向かう

「海斗さん、お帰りなさい。用事は済みましたか?」

アッシュは就任式で帝国を空ける為、山のような書類を母親のユイさんと共に捌いていた

これに関してはいち冒険者の俺が手伝う事が出来ない、何かするつもりも無いけど国の機密があるからね

アッシュによると新しい大臣達や宰相も少しずつ仕事に慣れてきたので、そろそろ任せられそうとの事

アッシュの仕事がひと段落し、会議室に就任式に向かう為人選し集めたのだが

「陛下に従いクーデターに参加しただけではなく就任式にも付いてくるつもりなのか?陛下、冒険者をつけ上がらせてはなりませぬ」

アッシュに意見するのは新しく大臣に就任したカムリと言う貴族

反政府として戦ってきた古参の人物だ

アッシュ曰く頭が固く、金で動く冒険者は信用出来ないと言っているそう

「カムリよ、彼等は絶望的であったクーデターを成した立役者だぞ。アッシュ陛下の命の恩人でもある、口を慎め」

カムリを窘めるのは新しい宰相であるジット

良かった、こちらは友好的なようだ。

こちらは柔軟な思考の持ち主らしく、反乱分子として剣聖であるノブヒロに自領の私兵を半数も惨殺され、家族を人質に取られていたらしく、ノブヒロを倒してくれた事に感謝しているらしい

「ふん!」

不機嫌を隠さないカムリはそのまま部屋を出ていく

「申し訳ない海斗殿、彼奴は1度言い出したら陛下の言葉も聞かぬ石頭での」


「いえ、私達は冒険者でしかも他国から来ているので仕方ないと思います」


「ブリッツ王国とは和平協定を結んでおる、海斗殿はその中心人物ですぞ。」

「あはは、ありがとうございます」

その後、話し合いの結果海斗達5人がアッシュとジットの近くで護衛し、その周りをジットの選抜した近衛兵が固める事になった

カムリは自身の私兵を出してアッシュ陛下を守りますと言い、先頭を走るとの事

理由は先頭を走る事によってアッシュ陛下の露払いをするのは自分達帝国兵だからだって

頑固と言うか不器用と言うか

アッシュを敬ってくれているのは分かるのでこちらから拗らせる事はしないでおこう

出発にあたって海斗のアプリCCは使わないように言われた

まぁ空から飛んでくるって警戒心ぱないよね

でもアッシュの長旅を快適に過ごせる様に移動は車にしよう


「と、言う訳で今からアッシュ専用車を作りたいと思います」


「海斗さん、出発は明日だよ?間に合わないんじゃない?」

ヨシユキの疑問にレオン達も頷く

「大丈夫大丈夫、シャーシはあるから後は車体のパーツを好きな様に組んでいくだけだから」

海斗はシャーシをリリースし、基礎となる車体のパーツが載っているカタログを皆んなに渡す

「へぇ、色々作れるのか」

「この小ちゃいの可愛いです」

「俺、アッシュにはスポーツカーが似合うと思うんだ」

「それお兄の趣味でしょ?私はこのバスが合理的だと思います」

4人は意見を出し合い、好き好きにデザインを決めていく

海斗のデザインも入れ、最終決定をアッシュに決めてもらう事にした

「うーん、僕は海斗さんのが良いと思います」

「よっしゃあ!」

チッチッチ、皆んな自分の好みを入れ過ぎてアッシュの事を考えて無かったのが敗因だったのさ

帝国の陛下が乗るんだよ!高級車にしなきゃ

レオン達の恨み節をスルーして早速組み上げていく

プラモデルみたいに組めるのが面白くヨシユキが組立に結構ハマっていた

そして出発の日

「これが!?僕の車ですか?」

「そう、アッシュ専用車リムジンだ」

シャーシは統一しているので車高が高くバンっぽい感じにはなったけど、高級感は出せたと思う

内装もヨシユキとスミレ、メアが凝りに凝ったのできっと気にいる筈

「わぁ!」

車内に入ったアッシュは内装に感嘆の声を上げる

「ほほう、コレはまた見事な!今まで見た馬車より数段豪華ですな」


一緒に乗ってきたジットも感動し、ヨシユキ達はガッツポーズする


運転は最初に海斗がして、隣で次に運転をする予定の御者を乗せ実践がてら説明する事になった



「それじゃあ出発しましょうか、いざ教会本部へ!」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?

ファンタジー
ルスダン王国の王、ギルバートは今日も執務を妻である王妃に押し付け後宮へと足繁く通う。ご自慢の後宮には3人の側室がいてギルバートは美しくて愛らしい彼女たちにのめり込んでいった。 世継ぎとなる子供たちも生まれ、あとは彼女たちと後宮でのんびり過ごそう。だがある日うるさい妻は後宮を取り壊すと言い出した。ならばいっそ、お前がいなくなれば……。 ざまぁ必須、微ファンタジーです。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...