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第5章 教会編
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「よう、中々早かったじゃないか」
「どうしてアンタがアタイ達よりも早く此処にいるんだい!?」
帰ってきたリディア達はボロボロの状態で明らかに疲弊しきっていた
いやぁ、ちょいとやり過ぎた感が否めない
スミレが手伝ってくれたおかげでかなりリアルに出来たけども失敗だった
スミレさんが暴走しそうになるんだもん
止めるのに必死で二重に疲れたよ
海斗の苦笑いを余所にグレンの対応は素っ気なく
「何故と言われてもな、お前より早く納品して戻ってきたからに決まっているだろ」
「そんな・・馬鹿な話があってたまるもんか!大体いつ戻ってきたんだい、明らかにアタイ達より遅く出た筈なのに!」
「確かに遅く出たのは間違いないが、昨日の昼頃には帰ってきたぞ。」
グレンの答えに納得のいかないリディアがプルコ商会の商人を見る
「はい、確かに昨日のお昼頃グレンさんは納品書を持ってこの街に帰られました。
いやぁこんなにも早いとは思いもしませんでしたよ!
これからも是非ご贔屓にさせて頂きたい」
プルコ商会の商人がグレンを褒め称える光景を唖然と見ていたリディア
「な、な、何かの間違いだ!そうだ、何か不正を行ったに決まっている!」
「そんな事する訳ないだろう、至極真面目に配達しただけなのだが?」
「いいや、不正以外あり得ない!アンタ達の馬車は使えないように前日までに壊したし、次の街で下剤まで用意してたんだ
なのに昼にこの街を出た挙句次の街にも寄らずジーナの街にその日の夕方に着いたって?
そんなの不正してなきゃ物理的に不可能じゃないか!そうだろ?アルバさん!」
リディアがプルコ商会の代表であるアルバに問いただした、しかし
「いいえ、グレンさんは不正を行なっておりませんよ、それは私が保証いたします」
おー、アルバさんがリディアの意見をピシャリと切り捨てたよ
「な!?何で・・何でだい?」
「簡単な事です、私もグレンさん達と一緒にジーナまで乗せてもらったのですから」
「は?」
「それにしても、まさかこの対決で暁月組がそのような不正を行なっていたとは思いもしませんでした
荷物を預かるという信用が大事な商売でそのような事をなさる方にはこの先任せられそうにはありませんね」
あーあ、まさか自分から墓穴を掘りにいくとは思ってもなかったよ。
アルバの冷たい言葉と、周りの商人達の視線に気付き血の気が引いていくリディア
「グレン・・アンタ一体・・・どんな手品を使ったんだい」
「手品って程の事じゃないけどな」
そう言いグレンが海斗の肩を叩く、海斗は保存から車をリリースしてリディアの目の前に置いた
リディアは見た事も無い乗り物が現れ今までにないくらい狼狽し目を見開いている
「こ、こ、こ、これ、は」
「これは車って言う名前で馬の要らない別の動力で動く乗り物だよ
ちなみに速度は馬車とは比べ物にならない程速いね
だからグレンは街に寄る必要がなかったんだ」
「そ、そんな乗り物どうやって手に入れたって言うんだい?」
「俺がグレン達の為に造ったんだけど」
「なっ!?」
「いやー、当日まで隠しておいて正解だったよ。壊されずにすんだし」
「ぐっ、だがグレンは馬車で街を出たと聞いたよ!」
「それは護衛達の報告かな?幻でも見たんじゃない?」
実際にはリディアが出ていった後、俺が護衛2人を写真で保存してからグレン達を出発させて、護衛には幻術で作った馬車を追いかけて貰った
「2人揃ってそんな事ある訳ないじゃないか!」
「そんな事言われてもねぇ、起きた事は事実だから」
「くそっ」
リディアが四つん這い状態で地面をおもいっきり叩く
「さて、勝負の結果は言わなくても分かるよな?」
グレンがリディアに最終通知を言い渡すと
「ま、待ってくれ!何かの間違いなんだ!もう一度、もう一度勝負をしてもらえれば」
「そう言われましてもこの乗り物に勝てる見込みはあるんですか?」
アルバさんの一言に顔を顰める
「それ・・は」
「あぁ、今度はこの車を動かせなくさせるつもりですか?」
「うっ!?」
「いくら対決をしても暁月組の信用は取り返しのつかない所まで落ちてますので」
「そんな!?」
「この先この街、いえ、この国で貴女方を雇う商会は無いと心得て下さい」
「そん・・な」
がっくりと項垂れ力尽きたリディアは部下に支えられてその場を後にした
その日の夜
海斗達はアジトで祝勝会をあげていた
「海斗、今回は助かった」
グレンが改めて海斗にお礼を言う
「いいよ、それで暁月組はどうなったの?」
「あぁ、アイツらはこの街から出ていくそうだ。配達業は出来ないから別の仕事をするとは思うが、世間の目は厳しいだろうな」
それはそうかも、この国の商人達に暁月組の事が広まるのは時間の問題だし
どんな職業にしても大変だろうな、もしかしたら別の国に行った方が早いのかもしれない
「海斗、あの車なんだが・・」
グレンは俺が持ってきた車の性能に非常に驚いていた
馬車より速く、揺れも少ないし大型マジックボックス付き
荷物も人も安全に速く運べるのはグレン達の利点となり引っ張りだこになる事請け合いだろうね
車の価値を分かったからこそ、貰っていいのか躊躇しているんだろう
「勿論グレン達の為に造ったんだから使って貰わないと困るよ
取り敢えず3台置いていくから、故障したり困った事があれば学園都市のマツキヨ商会に連絡してくれれば良いよ」
「何から何までありがとな」
「どう致しまして」
グレンと2人話し合っているとレオンが話に入って来た
「海斗、街の出禁も解除できてグレンの手助け出来たのはいいが、何か用事があったんじゃなかったのか?」
・・・・・・
「忘れてた」
グレンとレオンが同時にズッコケる
「いやぁ、色々あったからさ。言い出せなくてズルズル引き延ばしていたらスッカリ」
「おいおい・・」
「俺が巻き込んじまったからな、すまんかった」
「いいよ、ヨシユキの貞操も守られた事だし」
「ははっ、それで?何かあったのか?」
本題を言う為に座り直し、グレンと真剣に向き合う
「ミリィの夢が叶うかもしれないんだ」
海斗の言葉に驚くグレン、徐に海斗の両肩を掴み
「それは本当か!」
「確証は無いけど多分」
グレンは肩から手を離しひと息つく
「そうか、意外と早く見つかりそうだな」
「・・すまん、話が見えないんだが?」
置いてきぼりのレオンは疑問を浮かべ、結局分からなかったので直接海斗に聞いてみる事にした
「ミリィには小さい頃、生き別れた妹が居るらしく、何処に連れて行かれたかは分からなかったみたいなんだ
妹の手掛かりは金の髪とこの腕輪、同じ物を妹も持っているという事だけ
だからミリィは世界を周る夢を持ったみたいなんだ」
「成る程な・・・!?もしかしてあの司祭か!」
「そう、あの司祭はミリィの腕輪について聞いてきた。て事は司祭の近くに妹の事を知っている人がいる筈なんだ。
もしかしたら妹本人の可能性もある」
海斗の説明に納得するレオン
「で、グレンに聞きたいんだけど、もし妹に会ったら此処に連れて来てもいいかな?ミリィが住んでた時の話やお墓参りをさせてあげたいと思うんだけど」
「勿論、構わないぞ」
海斗の質問に笑顔で答えるグレン
「ミリィが死んだ時の事は包み隠さず伝えるつもりだ。それで責められても受け入れるつもりだよ」
「アレは海斗のせいじゃ無いと言っただろう!あれは誰にも予想出来なかったんだ」
グレンは語気を少し強める
「海斗、俺はこの件に関しては部外者だが、今まで話を聞いている限りではどうしようもなかったんだろう?」
「でも、あの時俺がゴンズを殺しておけば」
「アイツは腐っても貴族だ、後で不正が分かったとしてもお前は今頃犯罪者扱いになって、国に追われていたんだぞ
あの時はあれが最善だった。その後の事を予想出来る人間はいない
もし、妹が何か言ってくるのならここに連れて来い。俺達が妹を説得してやるよ。
それでも何か言ってくるのなら俺達も同罪だ、一緒に謝るしか無い」
「グレン、ありがとう」
「おう」
「しょうがない、そん時は俺達も付き合うぞ」
「レオンはとばっちりじゃん、でもありがとう」
その夜はレオンとグレン3人で遅くまで飲み明かした
「どうしてアンタがアタイ達よりも早く此処にいるんだい!?」
帰ってきたリディア達はボロボロの状態で明らかに疲弊しきっていた
いやぁ、ちょいとやり過ぎた感が否めない
スミレが手伝ってくれたおかげでかなりリアルに出来たけども失敗だった
スミレさんが暴走しそうになるんだもん
止めるのに必死で二重に疲れたよ
海斗の苦笑いを余所にグレンの対応は素っ気なく
「何故と言われてもな、お前より早く納品して戻ってきたからに決まっているだろ」
「そんな・・馬鹿な話があってたまるもんか!大体いつ戻ってきたんだい、明らかにアタイ達より遅く出た筈なのに!」
「確かに遅く出たのは間違いないが、昨日の昼頃には帰ってきたぞ。」
グレンの答えに納得のいかないリディアがプルコ商会の商人を見る
「はい、確かに昨日のお昼頃グレンさんは納品書を持ってこの街に帰られました。
いやぁこんなにも早いとは思いもしませんでしたよ!
これからも是非ご贔屓にさせて頂きたい」
プルコ商会の商人がグレンを褒め称える光景を唖然と見ていたリディア
「な、な、何かの間違いだ!そうだ、何か不正を行ったに決まっている!」
「そんな事する訳ないだろう、至極真面目に配達しただけなのだが?」
「いいや、不正以外あり得ない!アンタ達の馬車は使えないように前日までに壊したし、次の街で下剤まで用意してたんだ
なのに昼にこの街を出た挙句次の街にも寄らずジーナの街にその日の夕方に着いたって?
そんなの不正してなきゃ物理的に不可能じゃないか!そうだろ?アルバさん!」
リディアがプルコ商会の代表であるアルバに問いただした、しかし
「いいえ、グレンさんは不正を行なっておりませんよ、それは私が保証いたします」
おー、アルバさんがリディアの意見をピシャリと切り捨てたよ
「な!?何で・・何でだい?」
「簡単な事です、私もグレンさん達と一緒にジーナまで乗せてもらったのですから」
「は?」
「それにしても、まさかこの対決で暁月組がそのような不正を行なっていたとは思いもしませんでした
荷物を預かるという信用が大事な商売でそのような事をなさる方にはこの先任せられそうにはありませんね」
あーあ、まさか自分から墓穴を掘りにいくとは思ってもなかったよ。
アルバの冷たい言葉と、周りの商人達の視線に気付き血の気が引いていくリディア
「グレン・・アンタ一体・・・どんな手品を使ったんだい」
「手品って程の事じゃないけどな」
そう言いグレンが海斗の肩を叩く、海斗は保存から車をリリースしてリディアの目の前に置いた
リディアは見た事も無い乗り物が現れ今までにないくらい狼狽し目を見開いている
「こ、こ、こ、これ、は」
「これは車って言う名前で馬の要らない別の動力で動く乗り物だよ
ちなみに速度は馬車とは比べ物にならない程速いね
だからグレンは街に寄る必要がなかったんだ」
「そ、そんな乗り物どうやって手に入れたって言うんだい?」
「俺がグレン達の為に造ったんだけど」
「なっ!?」
「いやー、当日まで隠しておいて正解だったよ。壊されずにすんだし」
「ぐっ、だがグレンは馬車で街を出たと聞いたよ!」
「それは護衛達の報告かな?幻でも見たんじゃない?」
実際にはリディアが出ていった後、俺が護衛2人を写真で保存してからグレン達を出発させて、護衛には幻術で作った馬車を追いかけて貰った
「2人揃ってそんな事ある訳ないじゃないか!」
「そんな事言われてもねぇ、起きた事は事実だから」
「くそっ」
リディアが四つん這い状態で地面をおもいっきり叩く
「さて、勝負の結果は言わなくても分かるよな?」
グレンがリディアに最終通知を言い渡すと
「ま、待ってくれ!何かの間違いなんだ!もう一度、もう一度勝負をしてもらえれば」
「そう言われましてもこの乗り物に勝てる見込みはあるんですか?」
アルバさんの一言に顔を顰める
「それ・・は」
「あぁ、今度はこの車を動かせなくさせるつもりですか?」
「うっ!?」
「いくら対決をしても暁月組の信用は取り返しのつかない所まで落ちてますので」
「そんな!?」
「この先この街、いえ、この国で貴女方を雇う商会は無いと心得て下さい」
「そん・・な」
がっくりと項垂れ力尽きたリディアは部下に支えられてその場を後にした
その日の夜
海斗達はアジトで祝勝会をあげていた
「海斗、今回は助かった」
グレンが改めて海斗にお礼を言う
「いいよ、それで暁月組はどうなったの?」
「あぁ、アイツらはこの街から出ていくそうだ。配達業は出来ないから別の仕事をするとは思うが、世間の目は厳しいだろうな」
それはそうかも、この国の商人達に暁月組の事が広まるのは時間の問題だし
どんな職業にしても大変だろうな、もしかしたら別の国に行った方が早いのかもしれない
「海斗、あの車なんだが・・」
グレンは俺が持ってきた車の性能に非常に驚いていた
馬車より速く、揺れも少ないし大型マジックボックス付き
荷物も人も安全に速く運べるのはグレン達の利点となり引っ張りだこになる事請け合いだろうね
車の価値を分かったからこそ、貰っていいのか躊躇しているんだろう
「勿論グレン達の為に造ったんだから使って貰わないと困るよ
取り敢えず3台置いていくから、故障したり困った事があれば学園都市のマツキヨ商会に連絡してくれれば良いよ」
「何から何までありがとな」
「どう致しまして」
グレンと2人話し合っているとレオンが話に入って来た
「海斗、街の出禁も解除できてグレンの手助け出来たのはいいが、何か用事があったんじゃなかったのか?」
・・・・・・
「忘れてた」
グレンとレオンが同時にズッコケる
「いやぁ、色々あったからさ。言い出せなくてズルズル引き延ばしていたらスッカリ」
「おいおい・・」
「俺が巻き込んじまったからな、すまんかった」
「いいよ、ヨシユキの貞操も守られた事だし」
「ははっ、それで?何かあったのか?」
本題を言う為に座り直し、グレンと真剣に向き合う
「ミリィの夢が叶うかもしれないんだ」
海斗の言葉に驚くグレン、徐に海斗の両肩を掴み
「それは本当か!」
「確証は無いけど多分」
グレンは肩から手を離しひと息つく
「そうか、意外と早く見つかりそうだな」
「・・すまん、話が見えないんだが?」
置いてきぼりのレオンは疑問を浮かべ、結局分からなかったので直接海斗に聞いてみる事にした
「ミリィには小さい頃、生き別れた妹が居るらしく、何処に連れて行かれたかは分からなかったみたいなんだ
妹の手掛かりは金の髪とこの腕輪、同じ物を妹も持っているという事だけ
だからミリィは世界を周る夢を持ったみたいなんだ」
「成る程な・・・!?もしかしてあの司祭か!」
「そう、あの司祭はミリィの腕輪について聞いてきた。て事は司祭の近くに妹の事を知っている人がいる筈なんだ。
もしかしたら妹本人の可能性もある」
海斗の説明に納得するレオン
「で、グレンに聞きたいんだけど、もし妹に会ったら此処に連れて来てもいいかな?ミリィが住んでた時の話やお墓参りをさせてあげたいと思うんだけど」
「勿論、構わないぞ」
海斗の質問に笑顔で答えるグレン
「ミリィが死んだ時の事は包み隠さず伝えるつもりだ。それで責められても受け入れるつもりだよ」
「アレは海斗のせいじゃ無いと言っただろう!あれは誰にも予想出来なかったんだ」
グレンは語気を少し強める
「海斗、俺はこの件に関しては部外者だが、今まで話を聞いている限りではどうしようもなかったんだろう?」
「でも、あの時俺がゴンズを殺しておけば」
「アイツは腐っても貴族だ、後で不正が分かったとしてもお前は今頃犯罪者扱いになって、国に追われていたんだぞ
あの時はあれが最善だった。その後の事を予想出来る人間はいない
もし、妹が何か言ってくるのならここに連れて来い。俺達が妹を説得してやるよ。
それでも何か言ってくるのなら俺達も同罪だ、一緒に謝るしか無い」
「グレン、ありがとう」
「おう」
「しょうがない、そん時は俺達も付き合うぞ」
「レオンはとばっちりじゃん、でもありがとう」
その夜はレオンとグレン3人で遅くまで飲み明かした
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