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第5章 教会編

あれ?またおかしな方向へ

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やって来ましたよ、学園都市!

サーニャは今から学校の時間だろう、挨拶は後からでいいかな

海斗はキキと連絡を取り付けるべくマツキヨさんの商会へと足を運ぶ

「こんにちはー」

マツキヨ商会に着いた海斗は店員さんにマツキヨさんを呼んでもらう

「おお!海斗さん、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」

「ええ、マツキヨさんも」

マツキヨさんと握手を交わしながら軽く近況を話し合う

「中々濃い日々を送られているようで、此処へは何用で参られたのですか?」

「実はまた第2魔道具科学校にお願いが有りまして、取り次ぎをお願い出来ないかと」

海斗が申し訳なさそうに尋ねてみるが

「おお!もしかしてまた新しい魔道具を開発されるのですかな?それは素晴らしい!
あれから海斗さんが考えた商品が飛ぶように売れて、最近では個人移動手段はキックボードで、学園都市の定期便にバギーボード、冒険者の必須アイテムに海斗さんの魔道具が選ばれているのですよ!」

わー、思ってた以上に広まってるや。来るときに見たキックボードの多さは目の錯覚ではなかった訳だ

あれ?そういえば商品化の話はキキに丸投げしていたはず・・・

「いやぁ、海斗さんのおかげで商品が売れに売れまして、今度お店を大きくして2店舗目を検討中なのですよ」

マツキヨさんが非常に良い笑顔で疑問に答えてくれた。

畜生、こんなことなら利権を主張しておくべきだった。今からでも間に合うか?

海斗が思考していると

「勿論、売上の1部は海斗さんの分になります。
しかし海斗さんが何も言わず、権利も主張されませんでしたので私が意を汲み、サーニャさんの母親であるアリーさんにお渡ししております。
聞いたところアリーさんは今まで病弱でキチンと働けて無く、中々就職先が見つからないと聞きました。
なので海斗さんの売上を渡そうとしたのですが、無償で住まわせてもらっているのにこれ以上受け取れないと固辞されてしまいまして。
ならばと私の商会で働いてもらい少し多目に給料をお渡しする形で支払ってます
こんな形で宜しかったですか?」


うぐっ!?これじゃあもう何も言えないじゃないか

「・・あ、りがとうございます。流石マツキヨさんですね」

マツキヨさんの爽やかな笑顔に罪悪感たっぷりの海斗であった

それにしてもマツキヨさんには頭が上がらないなぁ、アリーさんのその後のフォローを考えてなかったし、知り合いになっていて本当に良かった

「いえいえ、これくらいお安い御用です。第3魔道具科学校への出入り許可の件ですが・・・海斗さんはもう顔パスだと思いますよ」

「へ?」

「あれだけの開発ラッシュの立役者ですよ?今じゃ第1と2が霞んで見える位飛び抜けているんですから。
魔王の件が無ければ入学の打診が来てましたよ」

「マジですか!?」

どうしよう・・・車ついでに他のも作ってもらおうと思ってたのに、止めとくべきなのだろうか

「キキも今学校におりますので、とりあえず行ってみては?」

マツキヨさんにお礼を言って第3魔道具科学校へと向かう

門の所で警備員さんに挨拶すると直ぐにキキを呼び出してくれた

顔を覚えていてくれたみたい、数日しか居なかったのに凄いなぁ

「あれだけ目立てば仕方ないと思いますよ?」

背後からキキの声が聞こえて驚き振り返る

「お久しぶりです、海斗さん」

「久しぶり、急に来てごめんね」

「大丈夫ですよー、最近は発注も落ち着いて来て手が空いてますので」

笑顔で答えるキキは相変わらずツナギを着ており、手にはスパナを握っている

「今日はどうされたのですか?」

「ああ、ちょっと作って欲しい物があるんだけーー」

「!!?何ですか!どの様な用途ですか?形は?設計図はあるんですか?私も手伝っていいですか?」

キキが矢継ぎ早に質問しながら海斗に詰め寄る

キキはやっぱりキキだった

一緒に教室へ向かいキックボードを作った時の先生を交えて車の話をしていく

「ふむ、話は分かった。それはバギーボードではダメなのかね?」

「バギーボードは風の魔石を使って回してるんですがどうしても重量制限とトルクの問題が出てくるんです。
荷物と人を乗せた状態で馬力を出すならどうしても心臓部分を強力にするしか無いんですよ」

「成る程、それでこのモーターという物を使うのだね」

設計図を作成して動力部はミニ四駆を参考にしギヤ比をレバーで何段階かに変えられる様に皆んなで意見を出し合う

暫くするといつの間にか人数が増えている。

あれ?おかしいな落ち着いてきたとは言っても注文は一定数有るって聞いたんだけど?

しかし流石は魔道具科学校の先生達と生徒達、どんどんアイデアが出てくる

モーターの強化にギヤの切り替え用の設計図が出来てしまった、しかし

「駄目だ、どうしてもこれ以上馬力が出ない」

「うーん、これだけの荷を積める様にするのなら本体の強度も上げないとダメだよ」

「けど強度あげたら重すぎて遅くなる!これなら馬車とそんなに変わらない」

「それに魔力も持たないよ。もっと効率化しないと」

「いやいや、これ以上は魔石からの変換器が大き過ぎる。もっと小さくしなきゃ」


・・・うーん困った、行き詰まってしまった

聞くと属性の付いて無い魔石を変換器で電気に変換しモーターへ接続しているのだが、その変換器が大き過ぎるようで場所を取る

そして荷物と人を乗せる場合、車体の強度を上げなければならないのだが、比例して重くなるので馬力が出なくなるそうだ

「先生、雷の魔石ってないんですか?」

「いや、雷の属性が付いた魔石など今まで見た事はないね」

そうなのかと属性の付いて無い魔石を手に持ちながら考える

属性が付いて無いのなら付けてしまえばいいのではないか?

海斗は魔石を保存しコソリと部屋を出て、誰もいない事を確認してから魔物軍討伐戦を行ったクマランの広場へ転移する

誰も近くにいない戦闘後の場所に1人、アプリからCDを選択し変身、そしてNFAのグローブを装着する

スライドを動かし雷のエフェクトが迸る

海斗はそのままエフェクトをカメラで保存してみた

目論見は成功し、編集で無属性の魔石を雷属性に変える事が出来た

「やった!これで先ずは1つ」

アプリを解除して、学校へと戻り先生に雷の魔石を見せる

「こっ、こっ、これは!?」

「これで変換器を小さく出来ますか?」

「勿論だとも、これならば効率も上がり馬力も上がるだろうが、こんな魔石は初めて見たのだが一体どうやって・・」

「まぁ企業秘密ってやつです、これだけ有れば大丈夫ですか?」

コピーした雷の魔石を50cm四方の箱いっぱいにして机の上に置く

「見た事も無かった魔石がこんなに沢山・・・」

先生が魔石に集中している間にネットショップからステンレス鋼板を購入、保存し編集で強度を上げ重量を限界まで軽くしてみた

保存から取り出すと1mX2mの大きなステンレス鋼板で強度は5倍、重さは1kgという有り得ない金属が出来てしまった

因みに魔剣の性能は入れていない、ミスリルは豪華過ぎて別の意味で危険がありそうだし、修復機能も操手も持ち手の魔力を使う

剣位の大きさならそれ程苦にはならないが今回は馬車だ、消費量は比較にならないだろう

この強化板ステンレスを使用し、設計図通りに海斗の編集で車のパーツを作っていく

ただし、車が壊れた時に海斗しか修理が出来ない状態になってしまうので、プラモデル式にしてパーツ交換出来るように在庫を沢山用意した

もし無くなったとしても強度は下がるが他の材料で代用出来る様に

そしてとうとう第3魔道具科学校全体を巻き込んで色んなデザインの車を作成していくのだが

基本シャーシを統一しカスタムパーツをリクエスト通りに作りまくっていたせいで皆んな自由にカスタムし過ぎ!

おかしな方向へと向かっていった事に後から気付いた海斗だった




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