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第4章 帝国編

クーデター

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「ま、何とかしてみるしかないよね。名付けて!

『電光石火!将を射んと欲すれば将ごとひっくるめて射ってしまおう』」

皆んなの前で矢を射る動作をしてみると呆れた顔で見られてしまう

「海斗さん・・」

「それは作戦とは言えないです」

「それってチートでごり押しって事?」

「海斗、流石に帝国を舐めすぎだ!相手は国だぞ!」

それくらい分かってるよ。頭悪い子扱いやめてくれる?こう見えて大学生だよ?

「向こうが報告を受けて準備をしているゴタゴタを狙ってこっちから皇帝側の上層部だけをピンポイントで狙っていくんだよ。

帝都を混乱状態にしておいて、その間に城を皇帝と一緒に潰してしまおう!

向こうの戦力が整う前ならなんとかなりそうじゃない?」


「えっと海斗さん、それって物理的にって事?」

「そう!物理的に」

あれ?何で引いてるかな?城ごとなら手っ取り早くない?

「あー、そう言えばアッシュの家でもあるのか。流石に家無くなると拙いよね?」

海斗の提案に呆然としていたアッシュが立ち直り首を横に振ってくる

「いえ、僕とリナは城に住んでいなかったので特に思い入れはないです」

聞くと産まれた時からずっと離れの屋敷に軟禁されていたようだ

一応王族なのだが駒として使い道があるかもという事で力を削いだ状態で目の届く所に置いておく意味合いだったそう

海斗の中で兄妹だから少しは遠慮しようかなと思っていたがその気持ちが一瞬で消えさった

「それで、人質の皆んなはどうするんだ?」

レオンの言う事は最もだよね。彼等を連れてクーデターとか、そんな危険な事はさせたくない。それに早くミックにアリスを合わせてやらなきゃいけないし

「取り敢えず地図には登録されているから転移して一旦戻ろうか」

皆んなに了承を得て地図を開いて転移する

アッシュ達はいきなり目の前の景色が変わったのでかなり驚いていたが、人質の皆んなが自分の街だと気付き足早に中に入っていく

海斗達はアリスとアッシュ、リナを連れてミックの待つ家へと向かう

「お姉ちゃん!」

「ミック!」

2人はお互いに駆け寄り泣きながら抱きしめる

「お兄ちゃん達!お姉ちゃんを助けてくれて有り難う」

満面の笑みを浮かべてお礼を言い、アリスも隣でお辞儀する

「助けることが出来て良かった、これから俺達はまた帝国に行かないといけないんだ。もし良かったらなんだがこの2人を暫く住まわせてくれないか?」

そう言いながらアッシュとリナをお願いしてみた

「あ、はい。いいで「僕は連れて行って下さい!」です・・よ?」

アリスの返事に食い気味にアッシュが割り込んでくる

「僕が行かないといけないんです!僕が兄様を止めなければ」

「アッシュ、不測の事態になった時に君を護れない事も起こり得るんだ。怪我だけじゃすまない、死んでしまう可能性だってあるんだよ?」

それでも頑に意思を曲げようとはしない

「・・・仕方ない、海斗俺達の負けだ。置いて行ってもアッシュは追いかけてくるだろう。何か起こる前に目の届く所に居てもらうのが1番安全だと思うんだが」

はぁ、レオンの言い分は最もだ。対策としてスミレとメアに護衛として後衛に入ってもらいヨシユキとレオンはペアで動いてもらう事にした

そしてリナを預かってもらおうと再度お願いしたのだが

「この子王族ですよね?ウチは両親と私と弟の3人暮らしで家もボロいんですけど大丈夫でしょうか?」

取り敢えず家を見てからと言う事で家へと案内してもらった

あー、趣きのある家だね・・

「雨が降ると漏れてくるんです、けど両親と私のお金ではここが精一杯で」

ここに泊めても大丈夫なのだろうかと、申し訳なさそうに聞いてくるアリス

幼いリナを1人宿に泊めるのは非常に不安だ。アリスとミックはしっかり者だから是が非でもお願いしたい

暫く悩んでいると閃きの神様が降りてきた

「ゴメン!チョット待っててもらえるかな?」

皆んなの?顔を他所にその場を離れ、30分後戻ってくる

「海斗、何してたんだ?」

「まあまあ、いい事思いついたんだ!思ってた通り溜め込んでいたからさラッキーだった

アリス、ミック、この家に思い入れはあるかい?」

2人はお互いに見合った後首を横に振る

「いえ、此処しか無かったのでこの家に住んでるんです。特に大事と言う訳では」

よーしよし、それなら話は早い。

アリスとミックに家の中を案内してもらいながら必要な家財を片っ端から保存の中に入れていく

全て確認してもらい外に出ると皆んなを下がらせて家を丸ごと保存した

「オイオイ、一体何をするつもりだ」

皆んなが不安になる中、海斗はアプリ、シティ・コントラクションを立ち上げる

様々な種類から選んだのは建設工場、丁度アリス達の家の後ろに広い空き地があったのでそこに設置する事にした

10m四方の半透明な工場が現れ成形されていく。そしてシャッターがゆっくりと開き、中から様々な重機が次々と出て来て工事を始めていった

「海斗さん、まさかと思うんだけど」

「家を1から建てるつもりだよ!いやぁ、このアプリ取っておいて良かった」

「いや、そうゆう問題じゃなくて」

「あ!大丈夫。資金はさっき砦からゴッソリと拝借してきたから。これくらい今までしでかした事を考えれば貰っても構わないだろうし」

「家を1から造る事が・・もう何を言っても遅いか。なら家が建つまでどうするつもりだ?」

「あぁ、それなら明日の朝には出来るよ」

「「は?」」

「いやいや、何言ってるんだ、家って言うのは何ヶ月もかけて・・って基礎工事が終わってやがる」

唖然とした様子で建設現場を見続ける、それはまるで早回しの様に進んでいく

「そうだったな、海斗に常識を求めるのがそもそも間違いだった」

なっ!?俺はまだ常識あるチートだぞ!・・ある方だよな?あれ、不安になってきた

過ぎた力を持っていくとそれが当たり前になって鈍感になるのか?

ちょっと落ち込みながら空き地の一画にホームを設置して、今日はそこに全員泊まる事になった
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