上 下
76 / 130
第3章 魔王編

魔王2

しおりを挟む
転移したのはスーパーの店の中

見渡してみると店の中は荒らされたかのように散在している

東堂兄妹が言ったように他の人達と暫くの間留まったのだろう、生活の跡が残っていた

「懐かしいな・・」

海斗が呟く

「久しぶりに来たけど、ココにはあんまりいい思い出は無いな」

「そうだね、お兄も私も他の人達もギスギスしてたもんね」

東堂兄妹は残った人達と何かあったんだろうか?表情が暗い

まあ、この荒れ具合を見れば容易に想像出来る。俺は直ぐこの場を後にしたからね、訳も分からない所に集団で飛ばされたら絶対に荒れるだろうな

東堂兄妹は迷いその場に残る事を選択したんだろう。その選択も間違いないとは思うけど、文明に慣れた人達がいきなりサバイバルに投げ込まれるんだ。

ストレスからトラブったりしてしまうものだ。だから俺は早めにスーパーを出る選択をした。


レオン、メア、アルフさんは初めて見る物だらけに驚き、不思議そうな顔で歩き回っている

「海斗君、ここは一体?」

あ!3人にはこの場所の事言ってなかったよ。

「外に出たらあの映像に映っていた塔があるはずなんだけど」

そう言うと3人は外へ飛び出し巨大な塔を見上げていた

海斗と東堂兄妹はひと通り見回した後、何も残っていない事を確認し外に出る。

隣には巨大な塔、ここに来てから建てたにしては大き過ぎる。時間的にはあり得ない

ならばこの塔は魔王の力で造られた可能性が高い。どんな能力なのだろうか?また聞き出さなければならない事が増えたね

「このどこかに魔王がいるのか」

レオンはゴクリと喉を鳴らして緊張感を高めていく

入り口が見当たらない。たしか映像に映し出されていた場所に入り口みたいなものが見えていたので、取り敢えずその場所を目指して他にも入り口が無いかを確認しながら行こうという話になり

映像で見えた角度に差し掛かると大きな門が見えてきた

「多分あれが入り口で間違いないようだね。他には無さそうだし」

入り口の手前で話し合っていると門の上にモニターが現れて電源が入る

モニターはアナログ放送の様に砂嵐が流れていた

海斗達は警戒しながら見やすいようにちょっと離れてモニターを凝視していると画面が切り替わり昨日の広間の映像が流れた


『え?昨日の今日でもう来ているの?違う人じゃなくて?

え?映ってる?ちょ!?ちょっと待って!?』

モニターの向こうでは慌てた様子で広間の椅子に駆け上がっていく1人の男が映し出されている

椅子に掛けていたツノを装着して座り、足を組み頬杖をついた

『な、中々早かったではないか!よ、よくぞここまでやって来たな』

完全に放送事故やん

たまに生放送で流れるハプニングで見るやつ!

あまりにも早く来すぎたもんだから完全に気を抜いていたんだろうね。なんかごめん

『我が魔王城を見つけここまで来た事を誉めてやろう!ここに来るまでに色々な罠を仕掛けていたのだがこんなに早く突破されるとは思いもしなかったぞ・・


え?突破されていない?急に現れたって?何で?どうして?』


魔王は近くにいた人型の魔物から耳打ちされて素っ頓狂な声で聞き返していた

罠とか仕掛けていたんだ、ナビじゃ無くて転移で良かったよ

「何だろう、凄い間抜けな人に見えてきました」

メア、辛辣な一言だね。

普通に進行して来ていたのなら罠に引っかかったり時間を取られたりして怪我や疲労を蓄積しながら門まで来ることになっていたのだろう

そして余裕を持った魔王がドヤ顔で語るという事が予定だったんだろうね

まさか相手がスーパーに転移出来るなんて思いもしなかっただろうに

次々と予想外の事が起きるとパニックになるわな

『ま、まぁよい。この魔王城は我が力と技術の粋を集めた自慢のダンジョンとなっておる!』

おお!塔の形をしたダンジョン形式になってるんだ!

「ちっ、ダンジョンか・・厄介なものを」

レオンはダンジョンと聞いて眉間に皺を寄せた

普通ダンジョンといったら罠を解除したりや魔物を倒して地図を作成しながら時間をかけて踏破を目指すものだそうだ

ただでさえ巨大で高い塔だ。どれくらいの時間がかかるのだろうか?

「ふむ、これは少々早まったかもしれない。一旦情報を持ち帰って対策を考えた方がいいのかもね」

アルフさんは情報の取得が主で、あわよくば奇襲を仕掛けれれば御の字だったようで撤退をすぐさま選択してきた

ま、脳筋みたいに取り敢えず突撃をかますという無謀なことが無くて良かったよと、ホッとする海斗

『ふふふ、どうだ!凄いだろう!我の自信作だ。攻略出来るものならしてみるがいい!フハハハハ!』

「ちくしょう!ムカつくけど何も対策が浮かばねー」

「このダンジョンはやっぱり昨日のような魔物がウヨウヨしてるんでしょうか?罠もどんなのがあるか予想出来ないですし、通路の構造も分からなさそうですね」

東堂兄妹も悔しそうにモニターを見つめていた

流石に今回は撤退するという事に賛成し、撤退の準備と次の作戦の為に話し合っていると

『我がダンジョンは100階層になる。1つ1つの階層には凶悪な罠やボスモンスターを配備していて、上に登る為の階段は一つだけ。そして中は迷宮の様になっておる!そう簡単に攻略出来ると思わない事だな

にあるこの場所の我の元へと来れるか楽しみにしておるぞ。フハハハ!』


「100階だと!?大型ダンジョン並みじゃないか!」

「これは・・ちょっと予想外だったかな」

「作戦の練り直しどころじゃないような・・」

「ちくしょう!ここまできて」

「・・海斗さん?」

スミレが画面を見て呆けている様子の海斗に気付いた

海斗は徐ろに動き出したかと思えば昨日見たのとは別の逆手持ちバズーカ を構えた。

「「「!!?」」」

全員が海斗の行動に気付き海斗と塔から全力で離れる


海斗の持つバズーカの形が少しゴツくなったかと思うと音声が聞こえてきた



安全装置解除セーフティドライブ


海斗が引き金を引く


全てを飲み込みますブラックホール


そして塔の上だけを残して全てが黒い塊の中へと吸い込まれていった
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

何故、わたくしだけが貴方の事を特別視していると思われるのですか?

ラララキヲ
ファンタジー
王家主催の夜会で婚約者以外の令嬢をエスコートした侯爵令息は、突然自分の婚約者である伯爵令嬢に婚約破棄を宣言した。 それを受けて婚約者の伯爵令嬢は自分の婚約者に聞き返す。 「返事……ですか?わたくしは何を言えばいいのでしょうか?」 侯爵令息の胸に抱かれる子爵令嬢も一緒になって婚約破棄を告げられた令嬢を責め立てる。しかし伯爵令嬢は首を傾げて問返す。 「何故わたくしが嫉妬すると思われるのですか?」 ※この世界の貴族は『完全なピラミッド型』だと思って下さい…… ◇テンプレ婚約破棄モノ。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

処理中です...