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第3章 魔王編

お願いだからゆっくりさせて欲しい

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朝ご飯を食べて今日1日はゆっくり休む予定になった。

罠の仕掛けは終わっており参加した生徒達は避難を始めている

サーニャとアリーさんは一緒に隣町に避難する事にしてもらう

「私も戦う!」

サーニャは海斗に懇願するが

「ダメだ、今回は俺も他を気にしながら戦うのは難しいかもしれない。だからサーニャはアリーさんと一緒に避難してくれ。それに隣町までアリーさんを守ってやらなきゃいけないだろ?」

「・・それは」

流石に今回は納得してくれなくても避難させるつもりだ。こんな小さい子を戦場に立たせる訳にはいかない。

レオン達も賛成だ。一緒に説得してくれている

「サーニャ、海斗さん達の言う通りにしましょ。お母さんも貴方の心配をしながら待つのは辛いわ」

アリーさんには昨日の内に話してある。なので固執するのなら説得して欲しいとお願いしていた

「うぅ、分かった。お母さんと一緒に避難する。けど私が居ないからって絶対負けちゃ駄目なんだからね!

1人も居なくならないで勝たないと許さないから」

また中々に無茶を言う。ま、それくらいの気概がなきゃ勝てるものも勝てないよな

「分かった、皆んなで勝利の報告をしに行くから。ちゃんとアリーさんと避難してるんだぞ!」

「うん」

サーニャとアリーさんは他の手伝いに来た生徒達や村人と一緒に隣町へと避難していった


家はそのまま使っても良いと言われたので有り難く使わせてもらう事にする

「海斗君、今いいかな?」

サーニャとアリーさんを見送ってから家で準備をしているとアルフさんがやって来た

「明日の隊列や配置について伝えておこうと思ってね」

軍と冒険者、そして学園都市の先生達が何処に配置されるのかをアルフさんが持ってきた地図を広げながら説明してくれる

「と、まぁこういう形になったんだけど君達は冒険者の中に入って戦うのかい?」

皆んなで顔を見合わせて意見を出し合う

レオンとメアは冒険者の場所で構わないそうだ

でもなぁ、東堂兄妹は集団戦向かないと思う。明らかに周りを巻き込んでいきそうな魔法ばかりだし

俺も出来れば全体を見渡せる場所が良いかな。そうだ!

「アルフさん、もし良かったら隊列の後ろに全体を見渡せる高台とか作れますか?」

「土魔法を使えば可能だけど・・もしかして昨日見せてくれた魔法関係かい?」

ほんと鋭いなこの人

ついでに明日何をするのかを説明しておいて動揺や混乱が無い様に通達をしてもらおう。後は東堂兄妹もその高台から攻撃してもらう事も説明しておく


「え?俺達もか?」


「そりゃそうだろう、2人の魔法は味方を巻き込みかねん」

レオンに言われてショックを受けていた。

「違うんだ、つい出来心で魔法を使ったわけで細かい魔法も使えるんだ」と言い訳をしていたけど結局爆発系使うんだよね?って聞いたら目を逸らされた

「ふふふ、君のところは面白い事ばかり起こるんだね。それに海斗君の言った事が本当なら確かに全体を見渡せる方が良さそうだ。楽しみにしているよ」

アルフはそう言ってもう少し話を詰めて他の準備を進める為に出ていった

それから大して時間もかからずにお昼になったので皆んなにリクエストを聞いてみた

「俺はガッツリ食いたい」

「私はかつ丼でしたっけ?アレが食べたいです」

レオンとメアはかつ丼にしようかな

「え!?そうか!海斗さんがいれば日本食が食べれるんだった!何にしようかなー」

「私、ケーキが食べたい」


「いや、ご飯を聞いたんだけど・・」

東堂兄妹はその後暫く唸りながらメニューを吟味している

日本食に飢えていたんだね。凄く悩んだ挙句に2人ともラーメンを所望してきたよ。何故に!?

皆んなでワイワイとご飯を食べてデザートにケーキとお菓子を出してあげる

特にメアとスミレが目を輝かせながら食べていた。どこに入っていくんだろうと見ていたが後が怖いので言わないでおいた


午後からは何もする事もなくなり明日まで自由時間として1人町を散策していると、なにやら言い争いをしている集団を見つける


「何故ダメなんだ!」

「「そうだそうだ!!」」

「足手まといに決まっているだろうが!」

「そんな事はない!俺達なら大丈夫だ」

何をしているんだろうか?と好奇心を出さなければよかったと後悔した

言い争っていたのは学園都市の生徒と先生達

結局付いてきた生徒達が明日の戦いに参加すると言い出してゴネているのを先生達が却下している状態で揉めているようだ

うわぁ・・これは近づかなきゃよかったかも

「あ!海斗さん!」

見つかってしまった。

「誰だ?」

「馬鹿!知らないのか!?あのアルフ先生と互角に戦ってた人だぞ!」

「なっ!?」

「俺、観てたよ。化け物だった」

騎士学校の人達も見に来ていたから色んな人に知れ渡ってしまったんだね。

なんか怖がられているんだけど

「ふん、何びびってんだよ!なら俺がコイツに勝てれば参加させてくれるんだよな?」

生徒達の中から1人出て来て剣を抜いた。

「おい!止めろって!お前は観に行ってないから知らないんだ。そいつはマジで化け物なんだぞ!」

「化け物っていうなら名前と顔が広まっているだろう?けど俺はこんな奴知らねーよ。どうせアルフ先生が派手に魅せて手加減でもしたんだろうぜ」

止めようとする生徒達が大半だけど一部の生徒がニヤニヤしながら援護して来た

「先生、そんなに彼が強いならアッシュが勝てば参加させて下さいよ」

「そうだそうだ!」

「アッシュ!そいつに勝てればアルフ先生よりも強いって事になるぞ!」


「なら勝ったら騎士団の隊長にでも推薦してもらおうかね」


あ!どこかで見た顔だと思ったら学園都市に来た時にウルフに向かっていった生徒達じゃないか!

マジかー、あれだけやらかしといて反省してなかったのかよ

残念過ぎる


先生達の怒りが頂点に達しそうだったのでこれ以上のトラブルは面倒臭くなると思い

「いいよ」

「「「え?」」」

「俺に勝ったらアルフさんに君達を参加させるように伝えてあげるよ」

驚く先生達を他所に生徒達に向かって約束する

「はっ!約束は守れよ、負けたからって反故にすんじゃねーぞ!ここにいる全員が承認だからな」


「はいはい、いいからかかってこい」

やる気のなさそうに立ち右手を前に出し、手のひらを上に向けて手招きする。

完全に馬鹿にした挑発行為だ。案の定引っかかって


「ばっ、馬鹿にしやがって!」

剣を思いっきり振りかぶり攻撃してきた。

ウルフの時に見ていたからどれくらい強くなったのだろうか?と思い、スローモーションとSCで対応しようと思っていたけど

全く成長していなかったみたいだ

全然避けられる。当たり前だけどウルよりも弱いし、剣も拙い感じだ。余裕を持って避けられる

「くっ、クソ!なんで当たらないんだ!こんな筈では」

ほんと馬鹿なの?デジャヴだよ

焦って剣を振ってくるもんだから単調になってきて避けやすくなる

ニヤニヤしていた生徒達から笑顔が消えていき、止めようとしていた生徒達からは諦めの溜息が聞こえてきた

「クソ!クソ!おい!お前らも手伝え!

卑怯だなんて思うなよ、1対1でとは言ってないからな!」

「はいはい、どうぞどうぞ」

またもやる気のないように返事をする

アッシュの顔が真っ赤になり

「おい!コイツにこんなに馬鹿にされていいのかよ!来い!いつもの連携で倒すぞ!」

ニヤニヤしていた生徒達、4人が加わって攻撃してきた。

うーん、遅い。めちゃくちゃ遅い。アルフさんが化け物だって事がよくわかる

剣の腹に手を添えながら剣を逸らし、避けていく。アルフさんやウルの剣を見ていたからなんだろうか?慣れたもんだ

暫くそうして躱していると彼等は肩で息をし始めてくる

そろそろかな?NFAを起動してビームサーベルを装着する。

武器を出した事に怯んだのか距離をとってきた。

そして海斗はビームサーベルを起動させて5cmだけ刃を出す

「な!?ば、馬鹿にしてるのか!!」

「そうだよ?気付かなかったの?」

彼等は逆上して向かってきた

だから頭に血が上ったら単調になるんだって

避けながら剣を根本から切っていく。流石に武器が無くなれば参加出来なくなるだろう

剣を切られた生徒達は愕然とし、その場に倒れ込んだ

「さて、まだやりたい人はいる?」

他の生徒達は首を横に大きく振ってくれた

「じゃあ後は先生達にお願いしますね」

「「「あ、はい・・」」」

呆然とする先生達に押し付けてその場を離れる



はぁ、前日なのにゆっくり出来ないんだけど

「ふふふ、海斗君。見ていたよ」

うわっ!?ビックリした!?何処から現れたんだよ!急に背後に立たないでください

「いやぁ、海斗君と生徒達の戦いを見ていたら興奮してきてね。ねぇ、あの時の続きといこうじゃないか?」

アルフさんが言い終わる前にSCに切り替えて瞬動を使い全力で逃げた

そりゃもう脱兎の如く

建物に隠れながら撒いたことを確認して安堵する

何で明日は嫌ってほど戦える筈なのに来るんだろうか?バトルジャンキーだよ

・・ゆっくり休めない


もう家に帰ってじっとしていよう


隠れながら家を目指す


「ちょっと待ちたまえ!」


もぅ、今度は何だよ?


振り返ると神官が3人立っている。かなり高圧的な態度だ

「お前、昨日あの家にいたな?」

ん?ああ!よく見たらアリーさんの治療を断った奴か

「で?」

「冒険者風情が!口を慎めろよ。」

一言しか言ってないんだけど、どう慎めと?無視して歩き始める

「おい!待てと言ってるんだ!」

立ち止まってまた「で?」と答える


「貴様!ふざけているのか!」

神官達はプルプルと震えながら顔を赤くしていく

「だから何の用ですかと聞いてるんですけど?文句だけなら帰るけど」

コイツらはサーニャとアリーさんの事がある。対応も杜撰になっていく

「貴様・・おい!昨日の神聖魔法は誰が使ったんだ!教えろ」

何でこんなに上から目線なんだろうか?

「知らないね」

「な!?」

「答える必要性がない」

「貴様!我々を誰だと思っている!」

「俺にとっては知らないおっさんだよ」

「なっなっ」

怒りに震えいる神官を他所に歩き出してその場を離れる

後ろでなんか喚いているけど無視

やっと家に戻るとレオン達も帰ってきていた

話を聞くと昨日の神聖魔法の事で神官や冒険者達に追っかけ回されたそう

申し訳ない

晩御飯を豪華にしてあげて皆んなに振る舞った

女性には食後のアイスも渡してあげる

喜んでくれたので良かったよ

あれ?今日何だかんだで1日中動いてないか?

はぁ、ほんとゆっくり休ませて欲しかったよ
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