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第1章 最初の街
救出作戦 その後
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真夜中の襲撃は流石に大騒動となりギルド職員が大勢繰り出してきた。
冒険者も警護に加わっていたので被害の確認、状況の証言を聞いたりして走り回っている。
ギルドの職員の1人が、冒険者から聞いた襲撃の情報からピンときていたのか、溜息をついてゴンズの部屋へと向かって行く。
部屋に入って他の職員に確認をするとゴンズは気絶しており証言が取れない。
他の私兵達もボコボコにされており唸っていて、証言が取れない状態だった。
何より左頬に傷のある男には見覚えがあった。
死神のガウスと呼ばれた男だ。
キナ臭い噂をよく聞く男だが、代名詞と言われた魔剣が無い。
見間違えじゃなく本人だと思う。頬の傷は間違えないし、体格からしても本人だろう。
ただ、ボロボロになったコレは、辛うじて生き物だった物に成り果てていて、反応がないので証言が取れない。
とりあえず全員を集めて軽く治療をしておくことにする。
改めて屋敷を見ると穴だらけで書斎は斬った後もある。
ガウスの魔剣で斬ったにしては切り口が焦げているのだ。
ガウスの魔剣は確か斬れ味が非常に高く、刃が欠けても折れても鞘に収めると瞬時に再生するという特性があったと聞いた事がある。
なのでこれはガウスの魔剣ではないという事だ。
しかし、どうやって斬ったのだろうか?
もしかしてあの人も魔剣を持っているのか?
そういえば報告では森の木には炎と氷が切り口にあったと言っていた。
あれは魔法ではなかったのか?もう一度報告書を見直さないといけない。
しかし、今回この書棚は燃えていない。まさか何本も持っているのだろうか?
いや、そんなはずは無いだろう。
ただでさえ数も少ないし、持っているだけで名が広まる筈の魔剣を何本も所持していれば絶対にギルドのリストに入る筈だ。
なのにあの人は冒険者ギルドに入ってすらいなかった。
あの時にちゃんと武器なども聞いておくべきだったと悔やむ
これはなんとしても聞き出さないとならない。
被害状況をメモしながらコメカミを押さえ、頭痛と格闘しながら黙々と作業を続けていく。
------------------
あれから海斗はアジトの近くまで戻る事にした。
グレンやミリィ達が連れ去られたアニ達と泣きながら抱き合っているのを、黒猫や蒼鳥で確認した後、
追っ手がいないか朝方まで見回りをしていた。
そして、大丈夫だと判断して宿に戻りその日は丸一日寝ていた。
次の日、完全に寝過ぎたと、頭の重さと身体の痛さに鞭を打ち、ギルドに向かう。
あの屋敷から書類を持ってきてしまったが、内容は分からない。
だけどゴンズにとって良くない物だろうという事は隠していた場所で理解できる。
なのでギルドに渡して判断してほしいと思い、あわよくば俺の襲撃を無かった事に出来ないかなぁと、淡い希望を持っていた。
ギルドの中にコソコソと入り、聞き耳と中の様子を伺っていると中の様子が慌ただしい。
まだ屋敷襲撃の余波が出ているようだった。
これは名乗り出るのはヤバいと判断して、書類だけをこっそり置いて逃げようと行動を開始したところで、ギルド職員の男性に背後からがっしりと肩を掴まれてしまった。
冷や汗が止まらない。
ギギギギと頭だけ振り返ると、徹夜明けなのか目の下にクマが出ている。
笑顔で「ちょっと宜しいですか?」と語りかけてきているが
目の奥が笑ってないよ。超怖い
これは逆らってはいけないと本能が訴えていた。
個室に通されて机を挟んで対面で座っている。
彼の苦労が自分のせいだろうと思うと土下座したい気分だ。
「さて、ここでは2人きりですので単刀直入にいきましょう。
・・あの夜屋敷の中にいましたね?」
「・・はい」
ギルド職員から大きな溜息が聞こえた。直視出来ない。
「何故そのような事を・・ゴンズ様は貴族なのですよ?襲撃などしたらどうなるか分かるでしょう?」
「子供が拐われていて、人身売買をしていたと聞いたら居ても立っても居られなくなって・・」
「え?」
予想してなかった言葉が出てきたのか驚愕の顔でこちらを見て固まっていた。
あれ?これはチャンスなのか?と思い保存から書類を取り出してギルド職員に見せた。
書類を受け取り読み込んでいくうちに眉間の皺がどんどん深く怒りを露わにしてきた。
「すみません、コレを預からせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。もちろんそのつもりで持ってきましたから」
とりあえず海斗の処罰は言い渡される事は無かった。
何か物凄く言いたそうな顔をされていたが、書類が衝撃的過ぎてそれどころでは無いらしい。
その日は解放され必ず明日、ギルドに来るようにと念を押された。
ギルドを後にして暫く散策した後、
アジトの事が気になって蒼鳥と黒猫を放ち、近くの喫茶店でコーヒーを頼んで様子を見てみる事にした。
皆んな笑顔で生活している。
良かった。あれから何事も無く普通に生活を送っているみたいだ。
安心してSCを解除して喫茶店を出る。
そして宿に戻って一晩を過ごし、翌日冒険者ギルドに向かった。
冒険者も警護に加わっていたので被害の確認、状況の証言を聞いたりして走り回っている。
ギルドの職員の1人が、冒険者から聞いた襲撃の情報からピンときていたのか、溜息をついてゴンズの部屋へと向かって行く。
部屋に入って他の職員に確認をするとゴンズは気絶しており証言が取れない。
他の私兵達もボコボコにされており唸っていて、証言が取れない状態だった。
何より左頬に傷のある男には見覚えがあった。
死神のガウスと呼ばれた男だ。
キナ臭い噂をよく聞く男だが、代名詞と言われた魔剣が無い。
見間違えじゃなく本人だと思う。頬の傷は間違えないし、体格からしても本人だろう。
ただ、ボロボロになったコレは、辛うじて生き物だった物に成り果てていて、反応がないので証言が取れない。
とりあえず全員を集めて軽く治療をしておくことにする。
改めて屋敷を見ると穴だらけで書斎は斬った後もある。
ガウスの魔剣で斬ったにしては切り口が焦げているのだ。
ガウスの魔剣は確か斬れ味が非常に高く、刃が欠けても折れても鞘に収めると瞬時に再生するという特性があったと聞いた事がある。
なのでこれはガウスの魔剣ではないという事だ。
しかし、どうやって斬ったのだろうか?
もしかしてあの人も魔剣を持っているのか?
そういえば報告では森の木には炎と氷が切り口にあったと言っていた。
あれは魔法ではなかったのか?もう一度報告書を見直さないといけない。
しかし、今回この書棚は燃えていない。まさか何本も持っているのだろうか?
いや、そんなはずは無いだろう。
ただでさえ数も少ないし、持っているだけで名が広まる筈の魔剣を何本も所持していれば絶対にギルドのリストに入る筈だ。
なのにあの人は冒険者ギルドに入ってすらいなかった。
あの時にちゃんと武器なども聞いておくべきだったと悔やむ
これはなんとしても聞き出さないとならない。
被害状況をメモしながらコメカミを押さえ、頭痛と格闘しながら黙々と作業を続けていく。
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あれから海斗はアジトの近くまで戻る事にした。
グレンやミリィ達が連れ去られたアニ達と泣きながら抱き合っているのを、黒猫や蒼鳥で確認した後、
追っ手がいないか朝方まで見回りをしていた。
そして、大丈夫だと判断して宿に戻りその日は丸一日寝ていた。
次の日、完全に寝過ぎたと、頭の重さと身体の痛さに鞭を打ち、ギルドに向かう。
あの屋敷から書類を持ってきてしまったが、内容は分からない。
だけどゴンズにとって良くない物だろうという事は隠していた場所で理解できる。
なのでギルドに渡して判断してほしいと思い、あわよくば俺の襲撃を無かった事に出来ないかなぁと、淡い希望を持っていた。
ギルドの中にコソコソと入り、聞き耳と中の様子を伺っていると中の様子が慌ただしい。
まだ屋敷襲撃の余波が出ているようだった。
これは名乗り出るのはヤバいと判断して、書類だけをこっそり置いて逃げようと行動を開始したところで、ギルド職員の男性に背後からがっしりと肩を掴まれてしまった。
冷や汗が止まらない。
ギギギギと頭だけ振り返ると、徹夜明けなのか目の下にクマが出ている。
笑顔で「ちょっと宜しいですか?」と語りかけてきているが
目の奥が笑ってないよ。超怖い
これは逆らってはいけないと本能が訴えていた。
個室に通されて机を挟んで対面で座っている。
彼の苦労が自分のせいだろうと思うと土下座したい気分だ。
「さて、ここでは2人きりですので単刀直入にいきましょう。
・・あの夜屋敷の中にいましたね?」
「・・はい」
ギルド職員から大きな溜息が聞こえた。直視出来ない。
「何故そのような事を・・ゴンズ様は貴族なのですよ?襲撃などしたらどうなるか分かるでしょう?」
「子供が拐われていて、人身売買をしていたと聞いたら居ても立っても居られなくなって・・」
「え?」
予想してなかった言葉が出てきたのか驚愕の顔でこちらを見て固まっていた。
あれ?これはチャンスなのか?と思い保存から書類を取り出してギルド職員に見せた。
書類を受け取り読み込んでいくうちに眉間の皺がどんどん深く怒りを露わにしてきた。
「すみません、コレを預からせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「あ、はい。もちろんそのつもりで持ってきましたから」
とりあえず海斗の処罰は言い渡される事は無かった。
何か物凄く言いたそうな顔をされていたが、書類が衝撃的過ぎてそれどころでは無いらしい。
その日は解放され必ず明日、ギルドに来るようにと念を押された。
ギルドを後にして暫く散策した後、
アジトの事が気になって蒼鳥と黒猫を放ち、近くの喫茶店でコーヒーを頼んで様子を見てみる事にした。
皆んな笑顔で生活している。
良かった。あれから何事も無く普通に生活を送っているみたいだ。
安心してSCを解除して喫茶店を出る。
そして宿に戻って一晩を過ごし、翌日冒険者ギルドに向かった。
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