上 下
23 / 130
第1章 最初の街

救出作戦

しおりを挟む
子供達はカレーが美味しかったのか、全員がお代わりをしてお腹いっぱい食べてくれた。

「貴重な食料なのにありがとうね。久しぶりにお腹いっぱいに食べさせる事が出来たよ」

後からミリィにお礼を言われ、照れ笑いする。

ご飯が余っていたのでふりかけ数種類とサランラップを取り出して、おにぎりの作り方を教えて朝ご飯にしようと提案する。

これもミリィから好評を貰えた。お腹に溜まるし美味しいもんね!

これで少しは待遇が良くなればなぁと少し打算的な気持ちもあったが、手縄が前になったままでちょっと見張りの人数が減ったくらいだった。

ちくしょう・・

そんなこんなで夜も更けてきて救出作戦の情報が集まってきたみたいだ。

人質の位置は変らず地下にいるみたいで、前回より警護の人数が多いみたいだ。

冒険者に探りを入れた人達によって海斗がギルドの人間だという事は確認出来たみたい。

だけど海斗の人相が変わっていて食い違いが出てるみた。

なので確信にはいたらないので解放はしてくれないのだ。

ここに来て弊害がでるとは・・

まぁ、明日になれば解放してくれると言ってくれたので大人しく捕まっておこうと思い、従っている。

お昼を過ぎる頃には子供達にも懐かれ人質としての扱いもかなり緩和されていた。

朝ごはんのおにぎりと、おやつとして出したお菓子が非常にウケたみたいだ。

食べ物って凄いね。距離を縮める最強のアイテムだ。

グレンも子供達の笑顔に喜んでいる。

やっぱりいい人なんだなぁと思い、ゴンズの警護で邪魔をしてしまった事を後悔していた。

ミリィも子供達にお菓子を配りながら笑顔で接している。

その様子は姉であり、母であり優しさで溢れていた。

お菓子を出した時に毒味として、食べた時の子供の様な驚き顔といい、海斗の視線はミリィを追っていた。

「どうした?ミリィが気になるのか?」

ニヤニヤしながらグレンが聞いてくる

「い、いや、そんな事ないよ。そ、そんな事より救出作戦は大丈夫なのか?」

グレンは眉間に皺を寄せる

「前回の失敗で警護が厳しくなっている。難しいだろう。
それにまた変な武器を使ってきた奴が居るかもしれないからな。

そうなればかなりの確率で失敗する。

今の所アイツが居るという情報はないが、急に現れる可能性もある。」

・・ホント、本当にごめんなさい。

居たたまれなくなり目を背けてしまう。

邪魔はしないよ。むしろ申し訳無さ過ぎて、手伝いたいくらいだよ

今度は真夜中になる時間帯を狙って襲撃するみたいだ。

救出作戦の準備を始め全員に緊張の顔が出ている。

海斗には見張りが2人だけ残し襲撃の人数を少しでも増やしていくつもりだそうだ。ちなみに前回の怪我が大きい人は待機になったそうだ。
魔物を従えられる人も怪我を負って待機に回されている。

最後まで海斗の手伝おうか?という提案にも首を横に振り

「この2日相手して、あなたがスパイやこちらに不利益を出すような人間じゃないとは分かってる。
子供達と相手してもらってる姿を見てそう思えたよ。

だけど、どうしてもこの作戦は失敗が出来ないんだ。

だから不安は少しでも減らしておきたい。
貴方には感謝してる。ごめん」

ミリィは申し訳なさそうに言って部屋を出ていった。

そりゃそうだよね。2日間で不審者を信頼する事は出来ないし、仲間の命がかかっていたら不安要素は減らしたいはず。

頭ではわかっているんだけど、やっぱりちょっと悲しいかな。

救出作戦のメンバーは前回と同じ、そして今度は一点突破で短時間で救出する事にしたそうだ。

海斗は何も出来ない自分に歯噛みしながら皆んなの無事を祈るように天上を見つめていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。

夢草 蝶
恋愛
 侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。  そのため、当然婚約者もいない。  なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。  差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。  すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜

よどら文鳥
恋愛
 フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。  フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。  だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。  侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。  金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。  父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。  だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。  いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。  さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。  お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

処理中です...