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第1部 一八六二年 春
忠臣蔵 其二
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芝居小屋に着くと、呼び込み役の者にチラシを渡される
近藤は其れを受け取ると、三吉達を置き雷鳴の如く小屋に入って行く
「かっちゃん!ちょっと待てよ」
土方が慌ててその後を追うのだが、
「近藤さん、嬉しそうですね。確かに近頃そわそわしていましたけど、これが原因だったんですね」
「いやァ、予想もつかなんだ!」
「忠臣蔵、か!いいな燃えるな!」
「三吉、芝居なんて俺初めて観るんだ!楽しみだぜー」
「俺もだよ。赤穂浪士のだんだら羽織憧れるよな」
わらわらと三吉達も続く
それぞれに席に着くと、またもや近藤がそわそわし始めた
「近藤様、楽しみですね」
三吉は満面の笑みで語り掛ける
「ああ。も、もうそろそろ始まる様だぞ」
暫く近藤の様子を見守る一同も、飽きてきた頃芝居が開演された
ちらりと近藤に目を向けると、震えながら涙を流しているので思わず吹き出しそうになったが、其れは原田も同様の様であった
芝居が終わり、試衛館への帰りの間ずっと
「いやぁ。死ぬまでに一度は観たいと思っていたが、よもやこの歳で叶うとは。今日のことは一生の宝だ」
などと延々と繰り返している
藤堂までもが目を輝かせて
「ああ!俺も、赤穂浪士みたいに忠義を尽くしてみたいなあ!」
と刀で斬る仕草をする
終いには
「平助、忠義を尽くすには、先ず腹ごしらえが大事だ。よって、皆さん甘味処へ寄って帰りましょう」
沖田までもがこの様子
三吉はこじつけにも程があるなどと内心苦笑いしながらも、自分も腹が空いたので後に続く
この“忠臣蔵”が後に新選組に影響を与えたことを彼らは知る由もない
近藤は其れを受け取ると、三吉達を置き雷鳴の如く小屋に入って行く
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「三吉、芝居なんて俺初めて観るんだ!楽しみだぜー」
「俺もだよ。赤穂浪士のだんだら羽織憧れるよな」
わらわらと三吉達も続く
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芝居が終わり、試衛館への帰りの間ずっと
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沖田までもがこの様子
三吉はこじつけにも程があるなどと内心苦笑いしながらも、自分も腹が空いたので後に続く
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