いっしょにいこう

ひとりでもりにいこう！

　ぼくはしばいぬ。きょうはもりにいくよ。むしかごとむしあみをもって、ぜったいにヘラクレスオオカブトをゲットするぞ！
　さっそくやってきたもりのなか。あ、あれはセミだ。めあてのむしじゃないな。けどつかまえよう！
　あ、あれはナナフシだ。めあてのむしじゃないな。けどつかまえよう！
　あ、あれはちょうちょだ。めあてのむしじゃないな。けどつかまえよう！
　あ、あれはクワガタだ。めあてのむしじゃないな。けどつかまえよう！
　あ、あれはカブトムシだ。でもめあてのむしじゃないな。けどつかまえよう！
　あ、あれはヘラクレスオオカブトだ。やったー、とうとうみつけたぞ。つかまえよう！
　もうむしかごはいっぱいだ。そろそろおうちにかえろう！
　そのとき、シカとであった。
「おや、しばいぬさん。どうやらこのもりのむしたちをつかまえたみたいだね。でもそのむしたちは、このもりでいきるのがしあわせなんだ。どうかできれば、そのむしかごのなかからだしてあげてくれないか？」
　えー、どうしよう。つかまえたむしたちをみる。でも、たしかにむしかごのなかはきゅうくつそうだ。それにきっと、このもりにかぞくがいるはずだ。
「わかった、むしたちをにがすよ！」
　せっかくつかまえたけど、またここにくればあえるもんね。むしかごをあけると、むしたちはげんきよくとびさった。
「しばいぬさんはよいこだね。そうだ、せっかくだから、これからぼくのなかまたちとえんそうをしないかい。ここにちょうどあるカスタネットをかしてあげよう」
「わあ、ありがとう。ぼく、カスタネットつかう！」
　シカのあとをついていくと、もりのひろばにきて、フルートをもったフラミンゴ、オルガンをもったサル、もっきんをよういしたリスとであった。シカはヴァイオリンをじゅんびする。ぼくはカスタネットをたたくぞ！
　ついにはじまったもりのえんそうかい。あかるくきれいなおとのハーモニーがもりにひびきわたる。するとあらふしぎ、もりのあちこちから、セミが、ナナフシが、ちょうちょが、クワガタが、カブトムシが、ヘラクレスオオカブトがあつまって、ぼくたちのえんそうをききにきた！
「あーたのしかった！」
　えんそうがおわったら、ぼくはシカたちにおれいをいった。シカたちはえがおでこたえる。ああ、きょうはさいこうのいちにちだった！