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一学期

おまけの裏話(伯父一家編)

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~SOSを受けた従姉弟達~

【凪の場合】

 GWの帰省中、疎遠になっていた叔父一家と久しぶりに再会した。

 幼い頃、一度だけ遊んだ従妹の莉子はもう小学6年生になっていたけど、弟しかいない凪にとっては新鮮で、とても可愛く思えた。
 最近、弟の奏の生意気な言動が目立つようになってきただけに、莉子の素直な言動は凪の姉心をくすぐり、日常の疲れを癒してくれた。
 そんな楽しかった思い出と共に、学生寮の自室で課題に取りもうとしていた時、ピロロンと携帯が鳴る。

「あ、莉子ちゃんから、メールだ! どれどれ?」



 凪ちゃんへ

 凪ちゃん、GWはすごく楽しかった! ありがとう! 凪ちゃんはその後、変わりありませんか?
 もう学校の寮へ移動したのかな?
 わたしは学校が始まったんだけど、ちょっと毎日バタバタしてて、全然勉強出来てないの。
 ちょっとピンチだよー(T_T)
 凪ちゃん、良かったら、良い勉強方法とかアドバイスもらえないかな?
 凪ちゃんの時間のあるときにでも、よろしくお願いしますm(_ _)m

 PS.コレ、パソコンで打つのに1時間もかかっちゃったよー(泣)



「あはは、それは大変!」

 凪は可愛い従妹の顔を思い出しつつ、自分を頼ってもらえたことが嬉しくて、ササッと携帯で自分が中学受験の時に編み出した、勉強方法やコツを打ち込む。

「莉子ちゃん、頑張れー! さ、私も切り替えて、課題を頑張ろうっと。姉貴分の面目を保たないとね!」

 そして、難関の医学部へ入るために、また気合いを入れて自分の勉強へと戻るのだった。


【奏の場合】

「奏ー、莉子ちゃんから、お手紙来とったよー!」

 学校から帰って、母から手紙を受け取った奏はすぐ、ドキドキしながら莉子からの手紙を読んだ。

 GWに再会した従姉の莉子は奏の1つ上だけど、一人っ子だけあってのんびり気質。
 おおらかで奏が何をしても素直に喜び、ほめてくれたりもする女の子だった。

 外面は良いけど、実は好みが激しく、気難しい気質の奏ともナゼかとても相性が良く、不思議とすぐに仲良くなり、とても楽しい時間を過ごすことが出来た。
 一緒にいて心地良いとも感じる、貴重な人材だ。

 心の緩んだ奏がつい、「将来、農業か林業に関わり、研究者になりたい」とポロリとこぼしてしまった時。
 そんな時も揺るがず、「もう将来のことを考えていて、すごいねー!」と裏表なく称賛し、応援してくれる姿は、もう奏の心の中へとしっかり入り込んでいる。

「莉子、ぼくを頼ってくれたんだね! よぉし、任せて」

 奏は一生懸命、莉子の問い合わせに答えるべく、資料をまとめる。
 自分の興味のある分野で頼ってくれたことが、嬉しくてたまらない。
 
 丁寧にまとめたその資料が莉子から絶賛され、心のこもったお礼の手紙がまた奏の手に届くのまで、あと少し――――こうやって、順調に従姉弟交流は続けられ、深まっていくのだった。
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