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一学期
富澤先生の正体(3)
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それからの富澤先生の態度はやっぱり前と同じで、1日中、ずっと雑談やお説教のような道徳のような微妙なお話ばかりして終わった。
お隣のクラスからはもう、小笠原先生のテキパキした授業する声が響いていたけど、わたしはもう富澤先生の頭上が気になって、気になって仕方がない。
もはや、隣のクラスを羨む余裕すらなかったんだ。
だから、学校が終わると、すぐにクロと一緒に飛ぶようにしてお家へ帰った。
息せき切って帰宅したわたしを見て、お母さんはちょっとビックリしたみたいだったけど、「塾の宿題が~」というと、納得したみたいだった。
何せGW中、遊びまくっていたのを知ってるからね。
そのまま「お部屋で集中して宿題をする!」と言って、おやつと共にひきこもるのに成功!
まずは机の上に、ダミーの塾の宿題と今日のおやつをセッティングして、と。
それから、小さな声でクロにたずねる。
「……そういえば、クロ。今日は、何か食べる? このおやつ、一緒に食べてみる? 美味しいよ?」
『ぼく、しばらくは何もいらない。主になじむまでは、主の気をもらってる』
昨日と同じ答えだ。
「気――? よく分からないけど、何かいる物ができたら、教えてね。あと忘れないうちに、増やした方が良いと思った、ハンドサインを伝えておくね!」
クロは小さな見た目に反して、とても賢いみたいだ。
あっという間にわたしの意をくんで、新しいハンドサインを理解する。
落ち着いたところで、わたしは改めてクロに向きなおった。
「クロ、今日は本当にありがとう! クロがいてくれて、本当に良かった~! 一緒にいてくれて、心強かったよー!!」
心を込めて、お礼を述べる。
最初は何が何だか分からないままに、一緒にいることになったクロだけど、こんな身近にも怪異現象が起こり得ると分かった今は、ホントにありがたい味方だー!
『うん! ぼく、これからも頑張る』と機嫌良さげに左右に揺れながらも、キリッと返事をするクロ。頼もしい。
「……それでね、富澤先生の事なんだけど、アレッて何? 何で頭に花が咲いてるの?! しかも、途中で何か怪しい紫のが飛んでくるし――!」
あの異様な光景を思い出して、ブルッと身を震わせながらクロに聞くと、クロはケロッとした様子で『妖花だよ』と答えた。
「ようか……い?」
『ちがう、ちがう。怪しい花、で妖花。アレは妖花に憑かれてるの』
憑かれてるって、大変なことなのでは?!
「妖花って、何? 憑かれるとどうなっちゃうの?!」
『う~ん、妖花自体はわりとよくあるモノだよ。種子が内に入ると、その宿主の心や願い、本質を反映した花を咲かせるの』
アレ? それだけなら、あまり危険ではないのかな?
そうすると、あの妙に花びらに光沢のある、紫色の菊のようなお花が、富澤先生の心や願い、本質を表している、ということ?
わたしがそう考えこんでいると、クロは言葉を続けた。
『アレだけ大きく成長なるのは、稀だけどね。そうなると、アレはもう立派な物の怪、あやかし並。当然、宿主だけでなく周囲の心、特に精神に影響を与え、干渉するよ』
ソレ、ダメな奴だよねー?!
やっぱり、危険だよー!!
お隣のクラスからはもう、小笠原先生のテキパキした授業する声が響いていたけど、わたしはもう富澤先生の頭上が気になって、気になって仕方がない。
もはや、隣のクラスを羨む余裕すらなかったんだ。
だから、学校が終わると、すぐにクロと一緒に飛ぶようにしてお家へ帰った。
息せき切って帰宅したわたしを見て、お母さんはちょっとビックリしたみたいだったけど、「塾の宿題が~」というと、納得したみたいだった。
何せGW中、遊びまくっていたのを知ってるからね。
そのまま「お部屋で集中して宿題をする!」と言って、おやつと共にひきこもるのに成功!
まずは机の上に、ダミーの塾の宿題と今日のおやつをセッティングして、と。
それから、小さな声でクロにたずねる。
「……そういえば、クロ。今日は、何か食べる? このおやつ、一緒に食べてみる? 美味しいよ?」
『ぼく、しばらくは何もいらない。主になじむまでは、主の気をもらってる』
昨日と同じ答えだ。
「気――? よく分からないけど、何かいる物ができたら、教えてね。あと忘れないうちに、増やした方が良いと思った、ハンドサインを伝えておくね!」
クロは小さな見た目に反して、とても賢いみたいだ。
あっという間にわたしの意をくんで、新しいハンドサインを理解する。
落ち着いたところで、わたしは改めてクロに向きなおった。
「クロ、今日は本当にありがとう! クロがいてくれて、本当に良かった~! 一緒にいてくれて、心強かったよー!!」
心を込めて、お礼を述べる。
最初は何が何だか分からないままに、一緒にいることになったクロだけど、こんな身近にも怪異現象が起こり得ると分かった今は、ホントにありがたい味方だー!
『うん! ぼく、これからも頑張る』と機嫌良さげに左右に揺れながらも、キリッと返事をするクロ。頼もしい。
「……それでね、富澤先生の事なんだけど、アレッて何? 何で頭に花が咲いてるの?! しかも、途中で何か怪しい紫のが飛んでくるし――!」
あの異様な光景を思い出して、ブルッと身を震わせながらクロに聞くと、クロはケロッとした様子で『妖花だよ』と答えた。
「ようか……い?」
『ちがう、ちがう。怪しい花、で妖花。アレは妖花に憑かれてるの』
憑かれてるって、大変なことなのでは?!
「妖花って、何? 憑かれるとどうなっちゃうの?!」
『う~ん、妖花自体はわりとよくあるモノだよ。種子が内に入ると、その宿主の心や願い、本質を反映した花を咲かせるの』
アレ? それだけなら、あまり危険ではないのかな?
そうすると、あの妙に花びらに光沢のある、紫色の菊のようなお花が、富澤先生の心や願い、本質を表している、ということ?
わたしがそう考えこんでいると、クロは言葉を続けた。
『アレだけ大きく成長なるのは、稀だけどね。そうなると、アレはもう立派な物の怪、あやかし並。当然、宿主だけでなく周囲の心、特に精神に影響を与え、干渉するよ』
ソレ、ダメな奴だよねー?!
やっぱり、危険だよー!!
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