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一学期
親戚一同揃ってのお食事会(1)
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「皆、よう戻ってきたなぁ~! こうやって、姉弟3人とその家族が揃うのは、いつぶりやろうか。まぁ、再会を祝して、乾杯!」
達郎お祖父ちゃんの陽気な音頭と共に、アチラコチラで乾杯! とビールやジュースで満たされたグラスが上がる。
お食事会の始まりだ。
わたしはもちろんジュースだよ!
理恵子お祖母ちゃんが去年漬けた、自家製梅シロップを炭酸で割ったモノ。
こちらに来てからの、大のお気に入り。
とっても美味しいし、山歩きで疲れた身体に染み入るなぁ~!
お父さんの実家は本当に広くて、延々と和室が続いているようにも思えるところもたくさんあった。
今日のお食事会は、その中でも立派な床の間のあるところ。
続き間のある和室の良いところは、襖さえなければ用途に合わせて、どこまでも広げられるところかもしれない。
床の間のある上座から、お祖父ちゃんお祖母ちゃんの2人、伯母さん一家の4人、向かいにわたし達家族の3人、最後に伯父さん一家の4人、合計13人も座っている。
それでも、ご馳走が並んでいる長机と座布団以外は何もなく、スッキリしていて広い。
それでいて、上座を見れば、床の間や床脇、書院造と格式高い感じがして、素敵なんだ~!
わたしはマンションばかりに住んでいたから、ここに来た初日のお家探検の時に、凪ちゃんや奏君から日本家屋について、色々教えてもらったんだよね。
床の間を見ながら梅ジュースを飲んでいると、理恵子お祖母ちゃんと目が合う。
この美味しいジュースはお祖母ちゃんのお手製なので、感謝をこめて少し頭を下げ、今度は食事へと取りかかった。
たくさん遊んでお腹も空いていたから、しばらく夢中でご馳走を堪能していると、また何やら視線を感じる。
ふと顔を上げると、再びお祖母ちゃんと目があって、ニッコリと笑いかけられた。
「莉子ちゃん、美味しい?」
「ハイ! とっても」
満面の笑みで答えると、嬉しそうにしながらも話が続く。
「これらはみんな、この辺りで採れた食材を使っているのよ。山の神様や川の神様の恵みを得ているからね、滋養に富んでいるの。気に入ってもらえて、嬉しいわ」
自然豊かな環境で育った美味しいモノって、ことかな?
お祖母ちゃんと話すのは、初日の挨拶以来だから、神妙な顔で頷いておく。
「そうだ、莉子ちゃん。こちらへ来てから、氏神様にはお参りしたのかしら?」
「氏神様……?」
氏神様って、確かその土地を守る神様のことだったかな?
戸惑っていると、横からお父さんが口を出す。
「あぁ~母さん、そういうの、うちは転勤ばっかで教えてないんだ。そういう時代でもないしね」
ソレを聞いて、向かいにいた梨香子伯母さんが目を吊り上げた。
達郎お祖父ちゃんの陽気な音頭と共に、アチラコチラで乾杯! とビールやジュースで満たされたグラスが上がる。
お食事会の始まりだ。
わたしはもちろんジュースだよ!
理恵子お祖母ちゃんが去年漬けた、自家製梅シロップを炭酸で割ったモノ。
こちらに来てからの、大のお気に入り。
とっても美味しいし、山歩きで疲れた身体に染み入るなぁ~!
お父さんの実家は本当に広くて、延々と和室が続いているようにも思えるところもたくさんあった。
今日のお食事会は、その中でも立派な床の間のあるところ。
続き間のある和室の良いところは、襖さえなければ用途に合わせて、どこまでも広げられるところかもしれない。
床の間のある上座から、お祖父ちゃんお祖母ちゃんの2人、伯母さん一家の4人、向かいにわたし達家族の3人、最後に伯父さん一家の4人、合計13人も座っている。
それでも、ご馳走が並んでいる長机と座布団以外は何もなく、スッキリしていて広い。
それでいて、上座を見れば、床の間や床脇、書院造と格式高い感じがして、素敵なんだ~!
わたしはマンションばかりに住んでいたから、ここに来た初日のお家探検の時に、凪ちゃんや奏君から日本家屋について、色々教えてもらったんだよね。
床の間を見ながら梅ジュースを飲んでいると、理恵子お祖母ちゃんと目が合う。
この美味しいジュースはお祖母ちゃんのお手製なので、感謝をこめて少し頭を下げ、今度は食事へと取りかかった。
たくさん遊んでお腹も空いていたから、しばらく夢中でご馳走を堪能していると、また何やら視線を感じる。
ふと顔を上げると、再びお祖母ちゃんと目があって、ニッコリと笑いかけられた。
「莉子ちゃん、美味しい?」
「ハイ! とっても」
満面の笑みで答えると、嬉しそうにしながらも話が続く。
「これらはみんな、この辺りで採れた食材を使っているのよ。山の神様や川の神様の恵みを得ているからね、滋養に富んでいるの。気に入ってもらえて、嬉しいわ」
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お祖母ちゃんと話すのは、初日の挨拶以来だから、神妙な顔で頷いておく。
「そうだ、莉子ちゃん。こちらへ来てから、氏神様にはお参りしたのかしら?」
「氏神様……?」
氏神様って、確かその土地を守る神様のことだったかな?
戸惑っていると、横からお父さんが口を出す。
「あぁ~母さん、そういうの、うちは転勤ばっかで教えてないんだ。そういう時代でもないしね」
ソレを聞いて、向かいにいた梨香子伯母さんが目を吊り上げた。
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