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一学期

4月末〜富澤先生の授業参観(1回目)

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 お母さんのナイスなアドバイスのおかげで、わたしは近くの学習塾へ通うことになった。

 やっぱり高学年になったし、周りの一生懸命勉強している中学受験組を見ていると、わたしもやらないと、という気がムクムク大きくなっていたしね。

 だけど、4月に入ってからは、ただでさえ新学年の新学期でクラスに馴染めるかと緊張している中で、富澤先生は授業せずにずっと雑談ばかりだったから、不安とイライラであまり良い状態ではなかったと思う。
 しかも話す雑談の内容も、あまり興味の持てないもの――前の学校生活の愚痴っぽい何か等が多くて、ひたすら終業のベルを待ち続ける日々。
 休み時間やお昼休みで、お友達と遊べる時間は楽しかったけどね。

 そうこうしているうちに、こうなったら学習面は塾と自学でしていこう! と割り切ったことで、少しは心の余裕を取り戻すことが出来たの。

 最近、イライラしていると、何だか幻聴のような笑い声が聞こえた気がしたり、視界を黒いモノが横切った気がしたりして、怖かったんだよね。
 視界の方は、思わず飛蚊症じゃないかと心配になっちゃったよ~。

 心の余裕が出来てからは、パッタリとその現象は収まったから、アレはきっとストレスからだったんだね。
 お友達の人間関係から受けるストレスは分かるけど、担任の先生からも受けるストレスってあるんだ~と知ったよ。
 嬉しくない、初めての経験だ、トホホ。

 そう気がついてからは、なるべく心の余裕ができるように、ゆったり大きく構えるよう心がけてるつもり。

 そうそうストレスってね、ストレスの原因が分かると、大きなストレス軽減につながるんだって!
 何事も分析って大事なんだねー!
 だから、わたしは逆に何時が授業開始日になるのかな? と観察分析モードに移行してみたんだ。


 公立の小学校は、担任の先生がほとんど全科目の授業を受け持つので、まさかこのままゴールデンウィークに突入しちゃったり……なんて思っていたら、3週間目にして、富澤先生が初めて国語の授業をすることに――その内容は、う~ん、普通。でも、そのまま、今日読んだところの感想を書いてくること、という宿題も初めてでた。
 1日を通して、授業したのは国語だけだったけど……。
 このまま普通の授業モードに移行するのかな? と見ていたら、今日も国語だけ。

 何でだろう?
 ちょっと不思議に思っていたけど、帰宅してお母さんの声かけで謎が判明。

「莉子ちゃん、明日は授業参観だから、見に行くね!」

 コレか~!
 もしかして、授業参観の下準備的ナニかだったのー?!

 翌日、わたしの推測は見事当たった。

 富澤先生は授業参観で、初出題して用意してあった宿題の感想文をクラスメイト全員に順に発表させた。
 しかも、コレが意外と保護者には、高評価だったらしい。

 なぜなら、授業参観では皆わが子の出番を待ちわびているわけで、等分に必ず出番があり、他の子達の様子も全員分見ることが出来て良かった! そうなのだ。

 わたしから見ると、ちょっと手抜きなのでは? という気にもなっちゃうのだけれども。
 世の中、やり方次第なのかなー?
 でも、ひょっとして、これからもこの方式でいくんじゃ…………。

 わたしの心にまた、一抹の不安がよぎった。
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