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ホタル

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2章

失いたくないもの4

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ドアを閉めて真っ直ぐベッドに入った。

月明かりが差し込む部屋には大きなベッドしかない。
本当に寝る為だけの殺風景な部屋。

ジェリドはミズキとジンが来てからジンと一緒にもう一つの部屋で寝るようになった。

最初の日にジェリドのベッドで目を覚まし、傷が痛まないからジェリドにベッドを返そうとしたが、『何?バカな事を言っているんだ、お前は馬鹿か?嫁入り前の娘が何を考えている?男と寝るなんてにってのほかだ。ジンは俺と一緒に寝る、お前はあのベッドで寝ろ』と鬼の様な顔で言われる始末。

トドメは『まさか他の男に言い寄ったりしてないよな?』って言ってくるし。

その時のジェリドさんの笑顔の怖い事怖い事!

生きた心地がしませんでした。
あんな怖い笑顔のジェリドさんを始めて見ました。

余りの怖さに顔を引きつらせながら、ウンウン!ない!無い!と何度も頷きましたよ。

ジェリドさんのバカ!

※※

焦っているミズキを見て嬉しくて堪らなくなった。

ジェリドは少しだけ、ほんの少しだけ毒を吐いた。

『まあ良い、どうせ相手にされないだろうからな?フン !』と言ってジェリドはミズキの平らな胸を見て笑ってやった。

ミズキの反応が知りたい。

そしてジェリドは願わずにはいられない。

もっと、ミズキの心が俺でいっぱいになれば良いと!
もっと俺を意識すれば良い。

ミズキがジェリドの事で怒ったり、笑ったりするのは堪らなく高揚する。

ただ、ミズキが泣くのだけは耐えられそうも無いし、するつもりも無い。

だから、泣かない程度にミズキを困らせて、甘やかして、少しずつ!少しずつ!ミズキを手に入れる。

元の世界に帰りたく無いと思う様に!
無欲の兄の仮面を被る。
怯えない様に、逃げ出さない様に。
歪んだ想いを悟られない様に・・・。
ミズキを手に入れられるなら何でもする。

※※

人の胸を見て!フン!だって?


人が一番!気にしている事を!
どうせペチャパイですよ!
覚えていろジェリドさん!

この胸を見事デカく豊満なお胸にしてみせる!

どうすれば良いか?まだわからないが!きっと手に入れてみせる!
巨乳を!!


それから誘惑?ですって?
この世界に来て一度も男を誘惑した事がないぞ!
自慢じゃ無いが、相手をこき下ろす事は知っていても、誘惑する方法を知らん!

それに今までは、それどころじゃ無かったんだぞ!

キスだって一度だけだし!って、その一度はジェリドさんが無理矢理キスしたんじゃないか!辞めてと言っても辞めてくれないし!

それに胸だって触って、肌を舐めて!甘咬みをして!
背中がゾクゾクして!お腹がキュンキュンして!物足りなくて!体がおかしくなるんじゃないかと怖かったんだから!

そのくせ・・・ジェリドさんは今にも泣きそうな顔をして・・・あんなジェリドさんの顔・・・見た事がないし二度と見たく無い。

仕方がないとはいえ、本当に私はジェリドさんに酷いことをした時の思っている。

どうしてジェリドさんは許してくれたのだろうか?
土下座一つで!

許すどころか?優しくするのだろうか?

まさか私は騙されてるのでは無いだろうか?

・・・・・もしジェリドさんに騙されていたら・・・怖い!

信じている人に裏切られるのは辛い。
こんな想いをしたジェリドさんがどうして許す気になったのか?

怖くて、これ以上は考えたく無い。

別の事を考えよう・・・・・。



・・・・・・そうだ!私は怒っているのだ。

本当に怖かったんだぞ!

理不尽だ!
理不尽と言えば!

あの狭いベッドでジンとジェリドさんの2人で寝るのはちょっとと思っていたら、ジンをベッドでジェリドさんは床で寝ていた。

ジンと私は快適だが、部屋の持ち主のジェリドさんが床って・・・どう見てもおかしいでしょう?

もう一度ジェリドさんに申し出た。
「ジェリドさんヤッパリベッドはジェリドさんが使うべきです。流石に申し訳ないですよ。私はジンと・・・」

「ダメだ!ミズキは気にする気とは無い」と言って全然聞いてくれないし!

ジェリドさんの頑固者!!

ジェリドのベッドを占領してる事に申し訳なさは感じているが、部屋全体を見ても女性の形跡も無い事にミズキはホッとした。

タダ何故、ホッとしているかミズキは考えようとして辞めた。

心の奥で触てはいけないと本能が警告している。
これ以上考えるのは辞めよう。


ジェリドのベッドで毛布を頭からかぶった。
ミズキが使って2日もたっているのに毛布にはジェリドの香りがまだシッカリと残っていた。

この香りは大好き。
ジェリドの香りは安眠効果がある様で良く眠れる。

ミズキにとって安心出来る香りだった。

クンクンと毛布に鼻を近付けて香りを楽しむ。
ニヘラと顔がにやける。
ずっと嗅いでいたい。
そんな事を考えてミズキはゾッとした。

・・これは・・・まるで・・・痴女では無いか!

考えたく無いが、ミズキはジェリドの香りで、開いてはいけない扉を開いてしまったのか?

「・・・」
思考が停止する。

でも睡魔には勝てず!

ミズキは深呼吸をすると深い眠りに入った。
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