異世界へようこそ

2章

あさきゆめみし

女が泣いている。
男が泣かせているのは知っている。
ただただ思う。

かわいそうに。

泣かないでくれ。
諦めてくれ。
女の心が欲しい。
大事にするから。

泣いている女の濡れた頬に触れる。愛おしい。手放したく無い。

そんな女を見ても男はこの幸福を手放せないでいる。
泣かないで、鳴いて欲しい。
欲しくて、欲しくて、やっと手に入れた女だ。
女への愛おしさが込み上げる。

愛しい人。
いつまで見つめていたい。
女と目が合うと女の唇が焦うように唇が動く。
「お・・ねがい・・や・・め・・あぁぁああ」

嗚呼やはり拒否の言葉だ。
聞きたく無い。
聞きたく無い。

女の口を塞ぐように己の楔を女の最奥に打ち込むと否定の言葉が消える。

愛し合ってから何度目になるかわからないほど女を抱いている。

何度も何度も腰を打ちつける。ゆっくりと腰を打ちつけスピードを上げてゆく。
快楽が男と女を頂上まで登り詰める。
そして女の腹の奥に欲を解き放ち女の唇を奪うと男の愛撫に応えるように女も舌を絡ませてくる。

女と心が通じたような錯覚が男の魂を支配する。

なんて気持ちがいいんだ。

満たされる。

欲しい女を抱くと言うことはこんなにも幸福なことだったなんて今更気がついた。

ミズキ愛してる。


目が覚めると朝日がカーテン越しにジェリドの顔を照らす。

また同じ夢を・・・。

そして男の瞳から雫が溢れた。

ミズキに裏切られて1年以上毎日、毎日飽きもせずに見続けている夢。

終わりが来るのだろうか。

ジェリドはあと４年は見続ける事になる。