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2章
結果オーライ
しおりを挟む部屋に誰もいない事を確認してからユックリと部屋を見渡し、木漏れ日が入ってくる窓の外を見た。ちょうどグレンが小さい女の子を抱えて森の中に入って行くのが見えた。
「げっ!!」
合流の時間にはまだ早いはず!
グレン!私の計画を邪魔しましたね?
お仕置き決定です。
ふふふふ、女装なんかでは済ませませんよグレン。
さてと、ミズキはポケットの中の懐中時計を見た・・・。
・・・ん?
・・・んん?
・・・あれ?
・・・時計の針が動いていない、止まっている・・・て事は?合流時間に間に合わなかったって事?
・・・・・・・?
あら嫌だ時計が動かなかったなんて、水止まりに落ちた時に壊れたのかしら?
ほほほほ!
私とした事が!
・・・まっ、まぁ・・・誰だって失敗はするものよ!
気にしない!気にしない!
まさか、ジェリドさんとの洞窟探検が波瀾万丈かつ楽しすぎて!エマちゃん救出を忘れてたなんて・・・口が裂けても言えない!
グレンを上手く丸め込まないと!
ミズキは固く心に誓ったのはゆうまでも無い
。
それに、エマちゃんをグレンが助けられたから計画は大成功です。
ウンウンとミズキは1人頷いた。
そして今度は誰も居ない窓の外を見てミズキはホッと胸を撫で下ろした。
これで、だいぶ事が有利に進むわ。
良かった。
驚くだろうなグレン!
まぁ驚かせる為にやっているのだけれどね。
あぁぁ!早くグレンの驚く顔が見たい。
驚く?
いいえ仰愕するでしょう!
想像しただけで良い気分だわ。
わたしもそろそろ帰りますか。
それも堂々と玄関から帰るわ!
暗くてジメジメした洞窟には正直戻りたく無い。
一瞬ジェリドさんを思い浮かべたが、ジェリドさんに見つかると面倒だし!まっ良いか?
どうせ一本道だし簡単にここに辿り着くはず。
このままトンズラするのも良いかも?
当分の間ギルドのキャサリンの所に潜り込もうかしら?
そうだ、ジェリドさんに5年前の事を話す事になっていたんだ。
憂鬱だわ。
本当に憂鬱。
どうせジェリドさんは全て調べあげたのだろう。
だったら私から聞かなくても良いでしょうに!
相変わらず用意周到でしつこい。
あのしつこさには、頭が下がる。
勘弁して。
しつこい男は嫌われる事を教えてあげないと!
手紙で。
会って話す必要は無い。
真実を知りたいと言っていたが、私の口から聞きたいとは言っていない。
屁理屈だろうがこれ以上ジェリドさんを巻き込む訳にはいかない。
洞窟探検は本当に楽しかったですよ、ジェリドさん!
今度会うときは、私が元の世界に帰る時に挨拶する時ですね。
ミズキは部屋を出ようとして、話し声がするのに気が付いた。
ドアに耳をあてるとドア越しに聞こえる声は、不機嫌を露わにしていた。
「・何故・・私が何で!・・・お離し!!・・・私を・・誰だと・・って・・・の・・汚らわしい!触れるな!!」
「・・・申し訳・・・ですが・・・早くここから・・・」
「触るなと言っているのに!気持ちの悪い」
「申し訳ありません・・・それよりお早くキャロライン様、この先が隠し通路に繋がっております」
「何度も言わせるな気色の悪い、近寄るな下郎」
甲高い女の声と謝り続ける少年の声が聞こえる。
少年の声はまだ、声変わりが終わってい無い少しだけ高い声が印象的だった。
それにしても女が罵る声に嫌悪すら感じられる。
段々と声が大きく聞こえてくる。
アレ?
声が段々とクリアーに聞こえてくる?
パァーッン!パァーッン!パァーッン!と今度は何かを何度も叩く音が聞こえた。
ドアに耳を付けていたが、どうやら叫んでいるこの部屋の近くまで来ている様だ。
まずいな、早くここから離れた方が良いな!
話の内容は気になるが、いかんせんミズキは丸腰だった。
ミズキは思いっきりジェリドに頼り切っていた事に気付く。
もう苦笑いをするしかなかった。
好奇心の塊になったミズキだが、流石にこれ以上ここにいてはまずい事くらい理解している。
そっとドアから離れようとしたら、ドアがミズキの意志とは関係なく開いた。
目の前には、派手な女性!キャロラインが目を見張ってミズキを見ていた。
ミズキもバツが悪そうにキャロラインを見た。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
キャロラインは派手なガルディアを持ち大きな羽根を2本を結い上げた髪に刺していた。顔は素材が良いのに、無駄な化粧がキャロラインの良さを封じていた。
それでもキャロラインはとても美しい。
ただ残念な事に彼女の美的センスは最悪だった。
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