異世界へようこそ

ホタル

文字の大きさ
上 下
35 / 83
2章

捕まった

しおりを挟む
「見つけた」
聞き覚えのある声に、ミズキは、声を失った。

この男、人の腹に蹴りを入れた男。

「鬼ごっこかい、氷の貴婦人・・。・それにしても随分と遠くに逃げてくれたもんだよ…今度は逃げられないように、足の腱でも斬っちまうかなぁ~、おれ、手以外、興味がないんだよね~それに殺すなとは言われたが、五体満足で連れて来いとも言われていないし・・・どうすっかなぁ~」


この男、とんでもないことを言っているし。
この状況を何とか打破しないと。

「・・・・・それにしても、生きて連れて来いって、私のどんな用事があるのかしら?」

「ハァ?そんなの知るかよ、自分で聞けよ・・」

「そうね、自分で聞いた方がよさそうね、あんたみたいな下っ端に、重要な事を話すわけ無かったわね、ごめんなさい、リカルドさん、いいえ下っ端さんでしたわね」
ミズキはニッコリとわらった。

「はぁ、お前、何言ってるんだ俺はリカルドって、名前じゃねえよジョルジオってんだ」

ちょっと待て、これはどういう事だ・・・・この男は、北の砦に、投獄されていた、重犯罪者じゃ、無いのか?
・・・・・考えろ・・・ミズキ・・・・答えは必ずある。

まさか、逃げたのは二人で、しかも、二人とも王都にきた、さらに、二人は面識もない、だから、情報が錯綜した・・・。
それに、脱獄に手引きしたのはきっと、王宮に居る・・・そう簡単に、重犯罪者を脱獄させる事が出来るのは、王宮の重要なポストにいる人間しかできない。

それに、もう一人の脱獄者の策なら、ギルドの皆殺しも、全てつじつまが合う・・・・・・大失態だ。

重犯罪者リカルドの策に、私はハマった。

ここから挽回するには、この男を何とかして、逃げ出し、王都に行かなければ。

必ず・・必ず・・巻き返す。

「・・・・おい、・・・おい。聞いてるのか、お前」
「いえ、すみません、聞いていませんでした」
反射的に、本音が、ミズキの口から洩れた。

「この、アマァ、やっぱり、ゆびの一本でも切り落とすか」

きっと、この男も、利用されているわね・・・。

「いえ、それはちょっと、まずくないですか?」
「なんでだ」
「私の後ろには、誰がいると思います?」
「ランスロット陛下じゃねえのか?」
「ざんねん、外れです」
「それじゃあ、誰だよ」
「それはもう、強くて、強くて、さらに強くて、歩く破壊神と言っても過言ではありません・・5年前なんて、私を抱えて、剣も無いのに、4人を全員殺しちゃうくらい、凄い人なんですよ!!」

「へえぇ~、それで、そいつは今どこに居るんだ」

「えっと、ですね~、それがですね~、・・・・王都かな?」

「じゃぁ、今わ関係ねえよなぁ~」
へっへっへと笑いながら聞いていた。

「そうみたいですねぇ~、でも、もう一人、怖いのがいました。赤い髪で、髭がボサボサで、その髭が、また、触ると気持ちがいいんですよ。話が脱線しましたね、そうそう、口が悪くて、ついでに目つきも悪い、ホントに人を口で攻撃するときほど、生き生きするんです。剣の二刀流なんですけどね、私は見たことが無いんですが、剣より口の方が、武器なんじゃなかって思うんですよ、私!」

「へぇぇ~、おっかねえな~そいつも、王都に居るんだ、おっかなくて王都には近づけねえなぁ~、でもぜひ会いたかったなぁ~」

「いや・・・、口の悪いのなら、あなたの後ろに・・・・・」

ミズキは、青ざめながら、男の後ろを指をさした。

目つきの座った、ジェリドが立っていた。

男が振り向くのと同時に、ミズキは脱兎のごとく逃げ出した。

驚いた、本当に驚いた、男の気をそらして、逃げる為に、あえて、ダリル兄さんとジェリドさんの話をしていたら、ジェリド本人が男の後ろに立っているんだもの?




シャレにならない、今度は、あんな事じゃすまない。
早く、早く、早く、ジェリドから逃げないと。


「ミズキーーーー」

呼ばれたって、立ち止まる気は無かった。
それより早く、もっと早く、ジェリドから逃げたかった。

思いっきり肩を掴まれ、力強く、ミズキはジェリドに荷物のように、かつがれた。

「放して、ジェリドさん放して」
「・・・・・・」
お尻をペチンとたたかれた。

やばい、本格的に怒っている。

「はーーーなーーーーせーーーーー」

足をバタバタしたり、背中を、力いっぱい叩いたりしてもジェリドは、びくともしない。

たき火の所まで来るとジェリドは、ミズキを下ろした。

「それで・・・口の悪い俺に何かいう事は無いか・・・・・・全部話してもらうぞ・・・・ミズキ」

仁王のように、立ってるジェリドは、本物の破壊神の様でした。

ーーーーーーどんな言い訳をしよう。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

貴族の爵位って面倒ね。

しゃーりん
恋愛
ホリーは公爵令嬢だった母と男爵令息だった父との間に生まれた男爵令嬢。 両親はとても仲が良くて弟も可愛くて、とても幸せだった。 だけど、母の運命を変えた学園に入学する歳になって…… 覚悟してたけど、男爵令嬢って私だけじゃないのにどうして? 理不尽な嫌がらせに助けてくれる人もいないの? ホリーが嫌がらせされる原因は母の元婚約者の息子の指示で… 嫌がらせがきっかけで自国の貴族との縁が難しくなったホリーが隣国の貴族と幸せになるお話です。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

最愛のあなたへ

夕香里
恋愛
最愛の人から送られ続けていた手紙の最後の一通。それは受取人にとって、複雑な心境になる手紙。意を決して封を開けるとそこには愛が溢れていた。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...