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2章
友達だから
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ミズキはユックリと深呼吸をして、ランスロットを見据えていた。
昨日の捕まえた男の証言と、ギルドからの情報を、ミズキなりにまとめての報告をする。
ランスロットは、眉間にシワを深くした。
「ランスロット、今回の剣の大会は中止するべきだと私は思います。それか、大門を閉じるべきです」
「いや、それはでき無い相談だよ、ミズキ、あの門は、この王都の正門、毎年の祭以外で開くのは、唯一王が崩御した時だ、言っている意味が分かるかい、あの門を祭の日に閉めるという事は、この国の敗北を意味している、しかも、たった1人の脱獄犯の為に!」
「それは、けしって、敗北ではありません。戦略的撤退です。よく考えて下さい、ランスロット」
「ミズキ・・・でも、僕は国王である限り、戦略的撤退でも、する訳にはいかない、わかって欲しい」
ミズキはため息をつく。
「でも、このまま王都の大門を開けておくのは、賛成出来ません!大門を閉める事が出来ないのなら、せめて、あなたは、大会の最後の優勝旗の授与式には、欠席していただきます」
「それも・・・出来ないよ」
「ランスロット、いい加減にしてくだい!」
「友達の、君の言う事でも聞けない」
「そんな事を言われたら、私は、黙るしかありません・・・ランスロット、私も友達として言ってるんですよ」
「うん、わかっているよ、ミズキ、君は僕にとってたった1人の友達だからね・・・出来るだけ君の言う事は聞きたいと思っているけど、今回は、断る」
「どうしてもですか?」
「どうしてもだ」
「バカ、ランスロット!」
「うん」
「ボッケ!ランスロット」
「うん」
「アホ!ランスロット」
「うん」
「死ね!ランスロット」
「・・・・死ぬ気は無いよ」
ミズキは大きくわざとらしく、ため息をついた。
「・・・・わかりました。グレンをあなたの側において下さい。護衛として・・・これだけは、聞いてもらいますよ、いいですね、ランスロット」
「君は、どうするの?護衛もなしで?」
「私はギルドにつめています、情報収集で祭りを楽しむ余裕はありません」
キッ!と、ランスロットを睨んだ。
「わかったよ、ミズキ、君は、相変わらず怖いね」
「私を怒らせる、ランスロットがいけないんです」
ふんと、そっぽを向いて、そのまま、ランスロットの部屋をでていった。
残されたのはランスロットとグレンのふたりだった。
「それじゃあ、護衛を頼んだよ、グレン、君の事はミズキの次に信用することにするよ、第二王子の乳兄弟君」
「・・・ひとつお伺いしたいことが、宜しいでしょうか?」
「・・・良いよ、何だい?」
「なぜ、彼女を信用するのですか?あんな暴言吐いているのに・・それに私は、あなたが言ったようにステファン様いいえ、第二王子の乳兄弟です」
「・・・君も面白い事を言うね・・」
「申し訳ありません、失言でした」
「いや、良いよ、彼女と僕は、パートナーなんだよ」
「パートナー?パートナーとは、一体なんでしょうか?」
「彼女が言うには、パートナーとはね、対等と言う意味だ、彼女が上でもなければ下でもない、僕と彼女は平等なんだよ」
ランスロットは楽しそうに言った。
「そんな恐れ多いことを、彼女は言ったのですか?」
「うん、言ったね」
可笑しそうに、ランスロットは笑っていた。
そして、急にまじめな顔になって
「後にも先にも彼女だけだったよ、正直に気持ちをぶつけてくる人間は・・・・あれで、僕はどれほど救われたことか・・・僕を一人の人間と扱ってくれているのは、彼女だけだよ」
「・・・・・」
「それに、彼女は自分の価値を判っていない・・・彼女は、今や、この国にはなくてはならない存在だという事を、あの交渉技術、知識、そのすべてが、隣国の標的の的になっている、喉から手が出るほど欲しがっている、そして、彼女自身が、各国に対する抑止力にもなっている・・・・彼女が、隣国に誘拐されたら、ミズキを殺せ」
「・・・・・彼女は、友人では、無いのですか?」
「友人だ、友人だから、ミズキが国の利益で利用されるのを、見ていられない、それに僕は、きっと国の為に、ミズキを見殺しにする」
ランスロットは、顔を歪めて言った。
「そうならない事を、祈るだけだ」
ランスロットは窓の外を、ジッと見るめていた。
窓の外は、雲一つない真青な青空と、祭りのための花火が、鳴っていた。
今日も、暑くなりそうだ。
※※
「これは、これは、氷の貴婦人は、こんなところで、立ち止まって何をお考えでしょうか?まさかとは思いますが、この国の王妃にでもなる算段でも考えているのですか?」
ミズキはユックリと視線を声の方に向けた。
宰相のギルバルト・フォン・オーエングリムだった。
ミズキはこの男が、少しだけ苦手だった。
先代の国王からの側近で、余りいい噂は聞かない。
聞かないどころか、正直、ランスロットの治世では、お荷物状態だった。
それに、きな臭い噂もあって、近寄りたくない。
「おや、だんまりですか?いい加減にしていただきたいものですなぁ~陛下も、何処が良くて・・・・あぁあ、・・・わかりましたよ、閨での作法が、とても宜しいのでしょうなぁ~わたしも、一度、ご教授願いたいですね~」
頭のてっぺんからつま先まで舐めるよう見る、とはこの男の為に有るのではないかと、ミズキは思った。
『気持ちが悪い!うざい!!』
「今度、屋敷でお待ちしていますよ」
小さな声で、ギルバルトは呟いた。
ミズキはうんざりして王宮を後にした。
昨日の捕まえた男の証言と、ギルドからの情報を、ミズキなりにまとめての報告をする。
ランスロットは、眉間にシワを深くした。
「ランスロット、今回の剣の大会は中止するべきだと私は思います。それか、大門を閉じるべきです」
「いや、それはでき無い相談だよ、ミズキ、あの門は、この王都の正門、毎年の祭以外で開くのは、唯一王が崩御した時だ、言っている意味が分かるかい、あの門を祭の日に閉めるという事は、この国の敗北を意味している、しかも、たった1人の脱獄犯の為に!」
「それは、けしって、敗北ではありません。戦略的撤退です。よく考えて下さい、ランスロット」
「ミズキ・・・でも、僕は国王である限り、戦略的撤退でも、する訳にはいかない、わかって欲しい」
ミズキはため息をつく。
「でも、このまま王都の大門を開けておくのは、賛成出来ません!大門を閉める事が出来ないのなら、せめて、あなたは、大会の最後の優勝旗の授与式には、欠席していただきます」
「それも・・・出来ないよ」
「ランスロット、いい加減にしてくだい!」
「友達の、君の言う事でも聞けない」
「そんな事を言われたら、私は、黙るしかありません・・・ランスロット、私も友達として言ってるんですよ」
「うん、わかっているよ、ミズキ、君は僕にとってたった1人の友達だからね・・・出来るだけ君の言う事は聞きたいと思っているけど、今回は、断る」
「どうしてもですか?」
「どうしてもだ」
「バカ、ランスロット!」
「うん」
「ボッケ!ランスロット」
「うん」
「アホ!ランスロット」
「うん」
「死ね!ランスロット」
「・・・・死ぬ気は無いよ」
ミズキは大きくわざとらしく、ため息をついた。
「・・・・わかりました。グレンをあなたの側において下さい。護衛として・・・これだけは、聞いてもらいますよ、いいですね、ランスロット」
「君は、どうするの?護衛もなしで?」
「私はギルドにつめています、情報収集で祭りを楽しむ余裕はありません」
キッ!と、ランスロットを睨んだ。
「わかったよ、ミズキ、君は、相変わらず怖いね」
「私を怒らせる、ランスロットがいけないんです」
ふんと、そっぽを向いて、そのまま、ランスロットの部屋をでていった。
残されたのはランスロットとグレンのふたりだった。
「それじゃあ、護衛を頼んだよ、グレン、君の事はミズキの次に信用することにするよ、第二王子の乳兄弟君」
「・・・ひとつお伺いしたいことが、宜しいでしょうか?」
「・・・良いよ、何だい?」
「なぜ、彼女を信用するのですか?あんな暴言吐いているのに・・それに私は、あなたが言ったようにステファン様いいえ、第二王子の乳兄弟です」
「・・・君も面白い事を言うね・・」
「申し訳ありません、失言でした」
「いや、良いよ、彼女と僕は、パートナーなんだよ」
「パートナー?パートナーとは、一体なんでしょうか?」
「彼女が言うには、パートナーとはね、対等と言う意味だ、彼女が上でもなければ下でもない、僕と彼女は平等なんだよ」
ランスロットは楽しそうに言った。
「そんな恐れ多いことを、彼女は言ったのですか?」
「うん、言ったね」
可笑しそうに、ランスロットは笑っていた。
そして、急にまじめな顔になって
「後にも先にも彼女だけだったよ、正直に気持ちをぶつけてくる人間は・・・・あれで、僕はどれほど救われたことか・・・僕を一人の人間と扱ってくれているのは、彼女だけだよ」
「・・・・・」
「それに、彼女は自分の価値を判っていない・・・彼女は、今や、この国にはなくてはならない存在だという事を、あの交渉技術、知識、そのすべてが、隣国の標的の的になっている、喉から手が出るほど欲しがっている、そして、彼女自身が、各国に対する抑止力にもなっている・・・・彼女が、隣国に誘拐されたら、ミズキを殺せ」
「・・・・・彼女は、友人では、無いのですか?」
「友人だ、友人だから、ミズキが国の利益で利用されるのを、見ていられない、それに僕は、きっと国の為に、ミズキを見殺しにする」
ランスロットは、顔を歪めて言った。
「そうならない事を、祈るだけだ」
ランスロットは窓の外を、ジッと見るめていた。
窓の外は、雲一つない真青な青空と、祭りのための花火が、鳴っていた。
今日も、暑くなりそうだ。
※※
「これは、これは、氷の貴婦人は、こんなところで、立ち止まって何をお考えでしょうか?まさかとは思いますが、この国の王妃にでもなる算段でも考えているのですか?」
ミズキはユックリと視線を声の方に向けた。
宰相のギルバルト・フォン・オーエングリムだった。
ミズキはこの男が、少しだけ苦手だった。
先代の国王からの側近で、余りいい噂は聞かない。
聞かないどころか、正直、ランスロットの治世では、お荷物状態だった。
それに、きな臭い噂もあって、近寄りたくない。
「おや、だんまりですか?いい加減にしていただきたいものですなぁ~陛下も、何処が良くて・・・・あぁあ、・・・わかりましたよ、閨での作法が、とても宜しいのでしょうなぁ~わたしも、一度、ご教授願いたいですね~」
頭のてっぺんからつま先まで舐めるよう見る、とはこの男の為に有るのではないかと、ミズキは思った。
『気持ちが悪い!うざい!!』
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小さな声で、ギルバルトは呟いた。
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