ウエディングベルは幸せの足音と聞いていましたが、私には破滅の足音に聞こえます。

君が良い4

クロードの言葉にマリアは目を丸くする。
「幾ら何でも『腹黒ビッチ』は酷いわクロード」

「何処が！」
クロードは目の前のソファーに腰を下ろすと、そのまま足を組んだ。

「あんな可愛い子滅多にいないわよ、クロード貴方の目は腐ってるの？」

マリアの言っている事は半分だけ合っている。だがアナベルは見た目だけは華やかで可愛らしいかも知れないが、同性愛好者だ。それにクロードは小さな頃からマリア一筋なので、アナベルの良さは団長としての采配と狡猾さ位だと思っていた。

「腐っているって酷い事を言うね！俺はマリアしか見ていなかっただけ・・・まさかマリアは俺が他の女にうつつを抜かしていた方がいいの？」


「ダメ！そんなのダメに決まっているでしょ！クロードのバカ！」


「俺だって嫌だよ！マリアが他の男と一緒に居るだけで・・・マリア腰に手を・・・考えただけでも腑が煮え繰り返る」

一瞬クロードの瞳が陰ったがすぐに元のクロードに戻った。
マリアは気のせいかと余り深く考えなかった事を後で後悔する事になる。

「ふ～んそうなの？男の人ってみんなそうなの？」
マリアはベッドから降りるとクロードの隣に座った。

「・・・男だって色々だよ、俺みたいに1人の女性をずっと想っているものもいれば、あっちの女、こっちの女と女の尻を追いかけているのもいる」

「へぇ～、一途なのは評価出来るけどクロードの恋愛って結構重いのね」

「重いって、そこまで重くは無いと思う・・・」

マリアはそれは無いと顔で語る。

「・・・他の人よりは・・・少し重いかも・・・」
マリアの冷たい視線に耐えきれず答える。

マリアはマリアで分かれば宜しいと、うんうんと頷く。

そんなマリアの横顔はとても魅力的で、横に座るマリアの後れ毛を触り出す。

少しだけくすぐったくてマリアはクスクスと笑いだした。

「マリア」

「なあにクロード」

クロードの方を向いたマリアの唇をチュッと触れる様にキスをした。

一度だけの口付け。


ユックリと唇が離れる。
名残惜しそうに。

「・・・どうして？」


「マリアに触れたかった。ただそれだけ」
次の瞬間マリアの舌がクロードの唇に触れた。

「マリア？」
信じられないとクロードは驚いていた。




「クロードに触れたかったの、ただそれだけ」
イタズラが成功した時のマリアががそこにいた。