ウエディングベルは幸せの足音と聞いていましたが、私には破滅の足音に聞こえます。

ホタル

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手のひらの道化師5

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クロードはベッドの上で上半身裸で仰向けになりマリアに濡れたタオルで汗を拭き取っていた。
そしてクロードの痒い所を重点的に拭くのがマリアの日課になっていた。

クロードを好きだと自覚してからのマリアは
クロードに献身的に世話をしていた。

献身的に世話と言っても、ただ、単にクロードの肌を他人に以外触らせたく無いと思っての行動なので、マリアの独占欲が具現化しただけの事だった。

そしてクロードも、マリアの気持ちを知って以来、マリアの前だけでは子供の様に戯れるようになっていた。

イタズラが成功した子供の様な顔のクロードを見ると、どうしても本気で怒れなかった・・・が!怒る態度を見せないとまたクロードに揶揄われるのは分かりきっていた。


「クロード痒い所ある?」
「もっと下かなぁ・・・」
「ここ?」
「・・・もっと下」
「ここかしら?」
「もう少し下だなぁ・・・」
マリアの視線は一瞬だけクロードの下腹部に・・・。
「・・・これ以上、下は自分でやってね!クロード」
「酷いなマリアこれ位してくれても・・・」
「・・・だって・・これ以上・・下は・・・」
「これ以上下は?」
「無理!」
「・・・即答?」
「当たり前です!」
プイッとそっぽを向いたマリアの顔は耳まで真っ赤になっていた。

クロードは恥ずかしがるマリアの姿を見て、もっとマリアを困らせたくなる。もっともっと困ればいい。

クロードの言葉一つに一喜一憂しているマリアをもっと見たい。

今までマリアの視界にも入らなかった自分。
今では、そんな自分の言葉一つでマリアを翻弄している。

その事実がクロードに自信を与え、そして今までに無い幸福感を感じていた。

幸福感はそのまま下半身に力が漲った。

まさかクロードがそんな事を考えているとは露とも知ら無いマリアはチラリとクロードを横目で見ると、クロードと目が合った。

そしてクロードは思わせぶりにニヤリと笑って、おもむろにクロードの手がマリアの手を持ってクロードの欲望に手をあてがった。

クロードの欲望は今にも布を押し破る位に硬く押し上げていた。

マリアは言葉も無く唖然としてクロードの顔を見ると、クロードはマリアの手を直接ズボンの中に入れ「触って、マリア」と言って硬くなった欲望をクロードとマリアの手が包み込む様な形になった。

マリアの小さな手がクロードの欲望を握る。たったそれだけで!それだけで全身に駆け上がる快感にクロードの息が上がり始めた。

マリアに触れたと思うだけでこの気持ち良さは、今まで比べ物にならない。

マリア!もっと触って!もっと手を動かして!腰が揺れそうだ。

マリアの手は固まった様に一向に動かず、しびれを切らしたクロードがマリアの手と己の欲望を一緒に上下し始めると欲望の先が濡れているのがマリアにも分かった。

先が濡れると潤滑油の役目だとばかりにクロードの手がスピードを上げていった。


「ハァ・・・ハァ・ハァ、マリアこっち向いて」
恥ずかしさの余りクロードを見る事が出来無いマリアは、顔をドアの方を見ていたがクロードに促されクロードを見ると恥ずかしさの余りに目頭まで赤く染まったマリアの唇をクロードは夢中で貪る。

マリアは拒ま無い!それどころかマリアの舌がクロードの舌に絡んでくる。

もう止まら無い!止めたくも無い。

マリアもっと俺を求めて!もっと俺を好きになって!もっと!もっと!俺に溺れて!
足り無くて足り無くて!今までの思いをぶつけたい!

受け止めて!マリア!

クロードの下半身が膨張すると一気にマリアの手のひらに欲を吐き出した。

一瞬火傷しそうなほど熱い欲の飛沫は徐々に冷めていきマリアの手のひらに、粘り気のある液体として指に絡み付く、マリアは手のひらにあるクロードの欲の飛沫をどうして良いか分からず困惑した。
それと同時に自分の今の姿がベッドの隣の飾ってある鏡に映っていた。
その姿は、まるでマリアがクロードを襲っているような姿に目眩が起きる。

私!なんて事を!クロードはまだ体が弱っているのに!
こないだは、キスをしただけでクロードは気を失ってばかりなのに!
でも、もっと、もっとクロードに触れたい。クロードを知りたい。

「・・ハァ、ハァハァ・・・クロード・・・手に・・・どうしよう?」
「・・・マリアはどうしたい?」
「・・・知らなかったわ!クロードって意地悪だったのね」
「・・・そんな事ないよ!困ってるマリアを見たいんだ」
「・・・やっぱり意地悪だわ」
「・・・だったらマリアにだけ意地悪になるんだ。マリア今触っているのを綺麗にして」
「・・・やっぱり!意地悪だわクロード」
赤い顔のままクロードのズボンの体が手を出すと粘ついた液体が絡んいた。
ネバつきを水で流して、新しく汲んだお湯でタオルを浸し、軽く絞ってクロードのズボンの前を寛げて、さっきまで欲を吐き出した筈なのに、また大きくなっていたクロードの欲望に目眩が起きる。

そんなクロードを見ると、マリアがどういう風に触れるか期待の顔をしていた。

なんかむかつく!
マリアは軽く股間に濡れたタイルを投げつけた。

タオルが当たると一瞬にしてクロードの表情が苦痛に歪んだ。

「・・・マリア・・・それは・・・ちょっと・・・ひどく無い?」


「クロードが悪いからひどく無い!もう知らないクロードのバカ!」
ツンと怒ったふりをしてクロードの側から離れようとした。

「マリアはワガママだなぁ」
「どっちが!」

そしてマリアは部屋の扉を開けて出て行って直ぐに閉じた扉の下にしゃがんだ。
直ぐに解放したクロードに、少しガッカリしている自分に驚いた。
もう少し側に居たかった。


メイド達は2人が仲睦まじくしているのを微笑ましく見ていたが、家令だけは何かとクロードと2人っきりで居るのはやめて欲しいと釘を刺していた。

『もう離婚が成立しているのだから』と。
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