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一章
遠足で親睦を深めるとか
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待ちに待った遠足の日。
小学生でもあるまいし、昨日はしっかりと睡眠をとってきた。待ちに待ったとは言ったものの特段なくても困るものではなくむしろ、自ら行動を起こさなければいけない場面が増えるからなくていいとすら思っている。
それでもまあやるからには楽しいといいななんて思っているわけで。小香花がいるからそこのところは問題ないかなと思っていた。
今日は登校中に小香花と会わなかったので1人で学校まで来た。校門の前に停めてあるバスに来た人から乗ることになっている。僕は運転手さんに一言挨拶をして自分の席に移動する。
「おはよう日南汰」
席がどこだったか覚えていなくキョロキョロしながら歩いていた僕に照亜紀が声をかける。
「おはよう照亜紀」
「照亜紀がそこってことは前の席が僕の席か」
「そうだよ。それで日南汰の前が上原さんと宇井さんだね」
「まだ照亜紀しかきてないのか」
ガラリと空いたスペースを見て女子3人が来ていないことを確認する。これでも一応班長だから班長としての仕事はしっかりしないといけない。
「まぁまだ時間あるからね。もうすぐ来るんじゃない?」
「そうだね」
しばらくして小香花とその他2人は姿を見せた。もちろん小香花は1人できていて、仲のいい上原さんと宇井さんの2人は一緒に来ていたみたいだった。
全員の点呼を終えバスが出発する。高速道路を走って約2時間。2回ほどサービスエリアに止まったりもしながら山奥の施設に到着した。バスに乗っていた間も小香花は調子が良くないのかあまり喋らなかった。
「それじゃあ、もうお昼時だから各班準備してご飯の下ごしらえをしてください」
移動が終わり一通り落ち着いたところで次の指示。出発した時はまだ朝特有の涼しさが残っていたが、お昼前である今は陽が真上で真っ白に輝いていて汗がにじみ出てくる。
そんななかで僕たち4人はそれぞれの持ち場につきカレーの完成を目指していた。
「じゃがいもってこれくらいに切ればいいかな?」
「え~~大きくないそれ?」
「そんなことないよ~~」
女子の楽しそうな会話が聞こえる。遠足ってこういうもんだよな。なんてふと思う。
あれがいい、こうがいいと笑いながら話をしている傍らで小香花はやはり静かにしていた。
男子の役割は炊飯だったので、口出しは出来ない。そもそも首をつっこむほどのお人好しではない。それでも今見ている光景には胸の中をモヤモヤさせるような何かがあった。
「逢沢さん、大丈夫かな?」
米を研ぎ終わり炊けるのを待っている僕たちは、遠目から女子の様子を見ていた。
「大丈夫じゃないか?多分」
「でもだいぶ辛そうじゃない?」
それは分かっている。見るからに辛そう。というか普段静かなことが珍しすぎる小香花がああも黙りこくってしまっていることが僕にはよくわからなかった。
「どうなんだろうな」
グツグツと音を立てている目の前のご飯。
「もういいんじゃないか?」
僕は現実から逃げるようにして照亜紀にそう告げた。
小学生でもあるまいし、昨日はしっかりと睡眠をとってきた。待ちに待ったとは言ったものの特段なくても困るものではなくむしろ、自ら行動を起こさなければいけない場面が増えるからなくていいとすら思っている。
それでもまあやるからには楽しいといいななんて思っているわけで。小香花がいるからそこのところは問題ないかなと思っていた。
今日は登校中に小香花と会わなかったので1人で学校まで来た。校門の前に停めてあるバスに来た人から乗ることになっている。僕は運転手さんに一言挨拶をして自分の席に移動する。
「おはよう日南汰」
席がどこだったか覚えていなくキョロキョロしながら歩いていた僕に照亜紀が声をかける。
「おはよう照亜紀」
「照亜紀がそこってことは前の席が僕の席か」
「そうだよ。それで日南汰の前が上原さんと宇井さんだね」
「まだ照亜紀しかきてないのか」
ガラリと空いたスペースを見て女子3人が来ていないことを確認する。これでも一応班長だから班長としての仕事はしっかりしないといけない。
「まぁまだ時間あるからね。もうすぐ来るんじゃない?」
「そうだね」
しばらくして小香花とその他2人は姿を見せた。もちろん小香花は1人できていて、仲のいい上原さんと宇井さんの2人は一緒に来ていたみたいだった。
全員の点呼を終えバスが出発する。高速道路を走って約2時間。2回ほどサービスエリアに止まったりもしながら山奥の施設に到着した。バスに乗っていた間も小香花は調子が良くないのかあまり喋らなかった。
「それじゃあ、もうお昼時だから各班準備してご飯の下ごしらえをしてください」
移動が終わり一通り落ち着いたところで次の指示。出発した時はまだ朝特有の涼しさが残っていたが、お昼前である今は陽が真上で真っ白に輝いていて汗がにじみ出てくる。
そんななかで僕たち4人はそれぞれの持ち場につきカレーの完成を目指していた。
「じゃがいもってこれくらいに切ればいいかな?」
「え~~大きくないそれ?」
「そんなことないよ~~」
女子の楽しそうな会話が聞こえる。遠足ってこういうもんだよな。なんてふと思う。
あれがいい、こうがいいと笑いながら話をしている傍らで小香花はやはり静かにしていた。
男子の役割は炊飯だったので、口出しは出来ない。そもそも首をつっこむほどのお人好しではない。それでも今見ている光景には胸の中をモヤモヤさせるような何かがあった。
「逢沢さん、大丈夫かな?」
米を研ぎ終わり炊けるのを待っている僕たちは、遠目から女子の様子を見ていた。
「大丈夫じゃないか?多分」
「でもだいぶ辛そうじゃない?」
それは分かっている。見るからに辛そう。というか普段静かなことが珍しすぎる小香花がああも黙りこくってしまっていることが僕にはよくわからなかった。
「どうなんだろうな」
グツグツと音を立てている目の前のご飯。
「もういいんじゃないか?」
僕は現実から逃げるようにして照亜紀にそう告げた。
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