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異世界に行っても俺は虫から逃れられない

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ついにいよいよ人間界にやってきた。その時、俺の目の前には絶景が……………
あるわけもなくなんととても暗い森の中だった。
「ウェル、ここってどこ?」
『いや、俺も人間界にはあまり行ったことないから頼りにしないでくれ、カン』
そうなると、俺ら2匹はこの広く暗い森の中に取り残されてることになるんだけど。
「おやおやぁ、そこいるのは我らと同じ種でないかぁ。よろしくぅ」
急に頭上から声が聞こえた。見上げるとそこには、隠翅虫(はねかくし)がいた。
『嗚呼、よろしく頼む。そこでお願いなのだが、私たちはこの森の中で迷子になったらしい、助けてくれまいか?』
「そうだねぇ、助けたいのは山々なんだけど、自分も迷子なんだぁ。ごめんねぇ。」
「え、君ってここの森出身じゃないの?」
「うんとねぇ、何と言えばいいんだろうかねぇ、あ、そうだ今は巣の周りに惑いの結界が張ってあるから迷子になったんだったぁ。」
『惑い結界?何故そんなものを……』
「それはねぇ、この森のどこにヤバいなんかが居るんだよぉ。姿形を見たものはいないんだけどねぇ。ウチの斥候が全員食べられちゃって困ってたんだったぁ。」
何か気の抜けるような話し方をする奴だな。
「あ、そう言えば俺の種族って分かるぅ?」
『嗚呼、プテロン・レーテーだろ?』
「おお、物知りだねぇ!初めて正解が出てきたよぉ!」
それから、何個かの質問に答えていると、惑いの結界を超えたようだ。酷く違和感があった森からそれがなくなったため気づいた。
「さぁ、ようこそ!我が里、プテロンへ!」

俺は思ったんだ、何で俺さぁ、人間界にいながらプテロンに居ないといけないの?もしかして、呪いなの?虫って?
そんな馬鹿な事を考える原因はこのプテロンに来て、数日後に起こった。
俺らはついに人間界に出れたことに喜びそして疲れていたんだろう。直ぐに寝てしまった。そして、何気なく朝起きて水を飲んでいると急に背後から声が聞こえた。
「おはようございます。こちらは里長の命によりお迎えにあがりました。大至急こちらに来てください。」
「へ?どゆこと?」
『カン、ここは考えても答えが出ない。行ってこい俺は後から行く。」
「了解」
「準備は整いましたか?」
「嗚呼、問題ない。」
「それでは、【自然転送術式ー芽吹き】」
草に囲まれたかと思うと、次の瞬間には玉座の前に立っていた。
「ソナタが、我が馬鹿孫が連れてきた、同種族のものか?」
「おそらくそれで合っている。」
「それなら話は早い。少し薬を分けて欲しいのだが」
「すみませんが今在庫が切れていましてですね。」
「ほほ、大丈夫じゃぞ。これは話が良すぎるからのぅ。」
それから、小1時間ほど経過しただろうか、急に険しい表情になり一言。
「急なお願いで申し訳ないのだが、この里を脅かす魔獣を倒してはくれないだろうか?」
はぁ、やっぱりこう来たかー
なんかそんな予感はしてたんだけどねぇ。
「どのような魔獣か私たちは全く情報がないので仲間と話し合いをさせて頂くことはできないでしょうか?」
「嗚呼、問題はない。期待して待っておるぞ。」
こうして、ウェルとその後相談した結果受けることにした。恩を売ることは問題ないためだ。それに、並大抵の奴は俺たちに敵わないからな。
さぁ、またまた戦闘準備だ!
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