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異世界で俺を知る

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「なぁウェル、ゴブリンは全て倒したんだが、なんかゴブリン、弱すぎじゃないか?」
『嗚呼、一応言っておくが、ゴブリンはそんなに弱くないぞ、特にシールド。彼奴は対抗策を持っていないと、そのまま殲滅される時もあるからな。まぁ、原因として考えられるのはカンの種族だな。』
「俺の種族ってどんな種族なんだ?」
気になって聞いてみた。
『そうだな、カンの種族は俺も詳しくは知らないが、ひとつだけ知っていることがあるぞ。』
「え、それは何?」
『カンの種族は強すぎたが故に敗北し、絶滅した。カンの同胞はもうこの世にはいないだろう。』
え?同胞は絶滅!?と言うことはその種族で生まれた俺もその同胞を絶滅させた奴のターゲット!?やばくないそれ?絶体絶命?本当になんそれ?って気持ち。
『混乱するのも無理は無いだろう。でも、カンは絶対に死なねぇよ。なんたって、この俺様がいるんだからな!』
「あ、ありがとう、こんなに頼もしい友達がいるんだから、心配ないよね。」
『そう言うことよ。ほい、気を取り直して行きますか。』
「え?何処に行くの?」
『ん?嗚呼、言ってなかったけ?第一の門番ガーゴイル(悪魔像)の住む都だよ。そこでガーゴイルを倒して、門の鍵を手に入れれば……………』
「ちょっ、ちょっと待って、なんでそんな重要そうな魔物倒さないと行けないの?」
『あれ?カンはここから出たくないの?』
「え?出たくないのってどう言うこと?ていうかウェル、此処は一体何処なの?」
『嗚呼、説明するの忘れていたか。此処は地獄界に行くための途中にある埋め合わせ的存在の一つ。【修羅界】。まあ、修羅界に住む魔獣、魔物、魔人達は、もうとっくの昔にこの修羅界で2回目の死を受け入れてしまった可哀想な者たちだよ。嗚呼、おと注意事項で此処に長居しすぎると魂を持っていかれちゃうからな。」
「それなら、それはもちろん出たいけどさ。もっと他の出方って、ないのかな?それに、なんでウェルは平気なの?」
『あるわけないよ。そんなのあったら、俺は今頃此処には居ない。平気なのは俺が普通の奴とは一味も二味も違うからな。まぁ簡単に言うと俺が特別だから。』
少し、怒ったような声で言ってきた感じがした。なので咄嗟にあやまってしまった。
「ご、ごめん。」
『ん?大丈夫。怒ってないから。さあ行きましょう、この世界での長居は肉体的にも精神的にも良くないから。』
俺らはこうして、ガーゴイルの住む都に向かうため、足をすすめるのであった。
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