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第8章 東方諸島セイホウ王国
第8章第037話 西に行きましょうか…
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第8章第037話 西に行きましょうか…
・Side:ツキシマ・レイコ
「レイコ殿もロトリーに来て、黒の女神に会ってみませんか?」
アライさんが一度ロトリーの国に帰ることを決めたところで、カララクルさんが提案してきました。
「え?いいんですか? "人"は行けないと思っていたけど」
正直、私も東の大陸には行きたいとは思っていましたけど。ラクーン達の国ロトリーは、"人"に対して実質鎖国状態だそうです。手前のセイホウ王国の租借地までならともかく、本土までは行けないと思い込んでましたし。
コクウェン氏みたいなのにアライさんを引き渡すのなら、そのままネイルコードまで連れて帰っていたでしょうけど。カララクルさんが親戚ということなら、まぁ安心できますし。ここで一旦お別れも致し方ないかな…と諦めていたのですが。
帝国の魔女の方にも、表舞台に出てこない理由があるのではと思ってます。赤竜神である赤井さんにしても、私でもあれ以来会っていないわけですし。私が興味本位で会いに行っていい物か?とは思っていました。
今回の渡海の目的は、アライさんの去就の保全ですからね。帝国の魔女に関する調査は二の次です。
「叔母として、キュルックルを心配していたたけること、うれしく思います。たた、このままここでこの子と別れても、あなたたちの心配は晴れないでしょう。おっしゃるとおり、現在ロトリーては"人"の入国を許可しておりませんか。黒の女神の関係者なら否と言わないと思います。とちらか本命とは言いませんか、文字通り渡りに船では無いかと」
この世界の先輩として黒の女神さんとやらに会ってみたいのは本当ですし、いろいろ情報のすりあわせをしたいのは山々なのですが。
カララクルさんにしても、アライさんの件は別にしても私にロトリーの国に来て欲しい思惑がありそうですね。
「…ロトリーの船って、人が乗れるのかしら? それともセイホウ王国の定期船の方で行くことになるのかな? あ、船団の方にはいったんネイルコードに戻ってもらうことになるのかな?」
ここは話に乗った方が良いかなと思いましたが。さて、ネイルコード勢のみんなとはどうしたもんだと思っていると。
「あ。レイコ、私たちを置いてくつもりですよ、ネタリアさん」
「…レイコ殿。実はクライスファー陛下から親書を預かっております。東の大陸に行くことになった場合に渡すよう、言いつかっておりました」
こんなこともあろうかとという感じで、ネタリア外相が書類入れから封書を出しました。
出回り始めた"紙"の封筒ですね。受け取って開封し、内容を確認します。
内容はまぁかいつまんで言えば。
・最終的にレイコ殿がどこの国に定住することになっても、ネイルコード国としては異を唱えない。
・レイコ殿の移動に際して、今回派遣した船団を、過度の危険が無い前提で2年の制限付きでレイコ殿の意向に沿った航海に使用することを許可する。諸経費については、今までの恩義を鑑み、ネイルコード側で負担する。
・ただ。私も含め多くの者がレイコ殿に親愛の情も持っている。出来れば無事に帰ってきて欲しい。
船団でしばらく自由に行動しても良いけど、ちゃんと帰ってきてね待ってるよ…って事ですね。
最後の一行は…うれしいですね。
「レイコ。東の帝国の魔女のことは、元々確認しに行きたかったんでしょ?」
外で子供達と戯れているセレブロさんを確認するために窓際にもたれているマーリアちゃんが言います。
「いろいろ話をしたいとは思っていたけど。…レッドさん、その人は私が会ってもいい人?」
「クーッ…」
レッドさんからは、『何を今更』って返ってきました。まぁここまで来たら確かにそうなのですが。
「今後は船の進歩と共に海が狭くなるとは言え、東の大陸までとなるとそう何度も来る機会があるとは限りません。出来るうちにしておくべきかと思います。それにネイルコードとしては、ロトリーの国ともなにかしら交流を結んでおきたいですね。ただ、カラサーム大使。セイホウ王国としてはいいのですか? セイホウ王国をの頭を飛び越してネイルコードがロトリーの国と交流を持っても」
ネタリア外相が後押ししてきますが。確かに、セイホウ王国が仲介する交流という形も有りと思います。
「ノゲラス宰相からは、ネイルコード国とロトリー国がどういう交流を持とうと関知はしないそうです。ただ、何かしら進展があったのなら、経緯と状況についての情報共有はお願いしたいと」
「どういう交流を持とうと…ですか」
カラサームさんの突き放したような物言いに、ネタリア外相が眉をひそめます。
本来最悪を考えるのなら、ネイルコードとロトリーが手を組んで攻めてくるなんて話も想定しておくべきかなと思うんですけど。手放しで同意するのはちょっと怪しい…ってところでしょうか。
「ネイルコードには、レイコ殿がおられるからピンとこないかも知れませんが。東の帝国の魔女が帝国を滅ぼした…かも知れないということは留意しておいていだきたいのです。その火筒という武器も、帝国の魔女が"人"を滅ぼすためにロトリー達にもたらしたのだとしたら…」
「そ…そんなまさか。いや、しかし…」
ネタリア外相が動揺しています。
確かに。私も、帝国の魔女が帝国を滅ぼしたのは当時の帝国との間の問題であって、ネイルコードら西の大陸の国々には関係ない…と思い込んでいた節があります。そもそも私なら、例え最初に訪れたのがダーコラだったとしても、国丸ごと滅ぼそうなんて考えることは無いですし。
「ロトリー達を前にして言って良いことか分かりませんが…我々にとって東の大陸は、今でも畏怖の対象なのです」
帝国の魔女が健在なら…それはやはり恐ろしいでしょうね。
「…カララクル殿としても、ネイルコード国との国交については構わないということですか? レイコ殿を黒の女神に合わせてもいいのですか?」
何が起こるか分からないよ…というニュアンスでネタリア外相が語ります。ちょっと戸惑った…ように見えるカララクルさん。
「火筒は既にセイホウ王国側には知られていると思ってます。たた、その根幹の製法についてまでは漏れていないてしょう。材料が手に入りませんからね。ロトリーとしては、黒の女神と共にこちらに危険な武器があるということか、"人"に対する防衛…抑止力といいましたか、それになると思ってました。」
ロトリー側でも、抑止を考えていたということです。
軍備を戦争を起こさないための備えと考えるのなら、新兵器ってのは敵に知られて過大評価されるのが理想です。
「しかし。"人"側にはレイコ殿がおられますし、レイコ殿は火筒についても詳しいようて。となると、ロトリーと"人"のバランスを取るために、レイコ殿はネイルコードでも火筒を作られるのては無いですか?」
「…むーん」
「ク~っ?」
ネタリア外相をチラ見します。
「銃自体の構造は、ネタリア外相にも分かりますよね?」
「はい。意外とシンプルで」
「この"火薬"は作れると思いますか?」
「…正教国の元マナ研なら、なにかしら情報があるかも知りません。または、マナそのもので代用することも出来るかも。対象を加熱するようなマナ術は既にありますからね」
ユルガルムの工房で、硝石のサンプルは見たことがあります。そのサンプルは西からもたらされたものでした。なら、火薬に気がついているかはともかくとしても、原料はすでにあるでしょう。
私だって戦争なんてものはまっぴらです。ただ、どちらか片方が軍事的に優勢になるという状況が戦争を誘発する物でもあります。勝てる戦いなら戦争に対するハードルが下がるのです…とお父さんが言ってました。
脅されないと攻撃するのを止めないのが人間なのか…ちょっと絶望してしまいましたね。国家に真の友人はいない…でしたっけ。
カララクルさんが言っているのは、要はこういうことです。
私は、アライさんの居る国を攻撃したいなんて思わないですし。"人"の大陸の国で攻撃しようとするところがあれば止めるでしょう。
要は、ロトリー国もセイホウ王国も、私にそういうことを期待しているのです。
…帝国の魔女は何を考えているのでしょう? 昔、聖女としてレイコバスターをふるったのは、"人"に味方するため…に見えますが。東の大陸に籠もっているところを見ると、ロトリーを守るために"人"を西へ追いやっただけかも?
「こういう言い方は卑怯ではありますが。レイコ殿には双方の抑止力になって欲しいのが、セイホウ王国の考えです」
…私は、見た目は女児、中身は…延べ年齢でアラサーだけど。それでもなんで小市民な私が世界のパワーバランスとか考えないと行けないのよ!…などと思いつつ。
遠い未来と見えて、そう遠くない未来。地球で言うところの近代的な政府と軍隊を持った異種族の二つの国家。さらにその背後に、私と同じようなマナで出来た存在。そんなのを相手に立ち回らないと行けないのでしょうか?
繰り返しますが。私、小市民ですよ? 地球では研究員やっていただけの、いち若造ですよ? バトル漫画の登場人物では無いんですよ。
「お…重たいなぁ…」
「クゥ…クックー…」
腕組んで後ろにのけぞると、肩に乗っていたレッドさんが支えようとしてくれます。
「私に…永遠にこの世界の調停者にでもなれってこと? そこまで…責任持てないですよ。そんなのむしろ赤井さんの役目でしょ?」
帝国の魔女が帝国を滅ぼしたとき、赤井さん…赤竜神は干渉しなかったのでしょうか? その後、西の大陸に一緒に現われているのですから、その後の話が無いわけもないと思うのですが。…もしかして帝国を滅ぼしたのは赤井さん? 滅ぼされるような何をやらかした東の帝国?
ああ…この期に及んで悪い想像がボコボコと沸いてきますね。
「レイコ殿…、そんなに気負わないでください。確かにレイコ殿の武威と英知に頼る事は多々あるでしょうが。それでも我々の世界のことです。その成り行きに対して、レイコ殿が責任を感じる必要は無いのですよ」
「レイコの影響が小さいなんてことは無いけど。レイコから与えられた物をうまく活用できるかはみんなの責任よ。そのくらいは押しつけて良いと思うわよ。それにもし、赤竜神様が何か企んでいるのなら、それこそ私たちにどうこうできることでも無いでしょ? レイコ殿が東の大陸で何やったところで、大して変わらないわよ。だったら、知るべき事を調べに行った方が寝付きが良くなるわよ」
ネタリア外相とマーリアちゃん…
そうですね。何も知らないままではなにも始まりません。会った結果、どうなるかは未知数ですが…
「…そうね…先輩に会いに行きますか」
・Side:ツキシマ・レイコ
「レイコ殿もロトリーに来て、黒の女神に会ってみませんか?」
アライさんが一度ロトリーの国に帰ることを決めたところで、カララクルさんが提案してきました。
「え?いいんですか? "人"は行けないと思っていたけど」
正直、私も東の大陸には行きたいとは思っていましたけど。ラクーン達の国ロトリーは、"人"に対して実質鎖国状態だそうです。手前のセイホウ王国の租借地までならともかく、本土までは行けないと思い込んでましたし。
コクウェン氏みたいなのにアライさんを引き渡すのなら、そのままネイルコードまで連れて帰っていたでしょうけど。カララクルさんが親戚ということなら、まぁ安心できますし。ここで一旦お別れも致し方ないかな…と諦めていたのですが。
帝国の魔女の方にも、表舞台に出てこない理由があるのではと思ってます。赤竜神である赤井さんにしても、私でもあれ以来会っていないわけですし。私が興味本位で会いに行っていい物か?とは思っていました。
今回の渡海の目的は、アライさんの去就の保全ですからね。帝国の魔女に関する調査は二の次です。
「叔母として、キュルックルを心配していたたけること、うれしく思います。たた、このままここでこの子と別れても、あなたたちの心配は晴れないでしょう。おっしゃるとおり、現在ロトリーては"人"の入国を許可しておりませんか。黒の女神の関係者なら否と言わないと思います。とちらか本命とは言いませんか、文字通り渡りに船では無いかと」
この世界の先輩として黒の女神さんとやらに会ってみたいのは本当ですし、いろいろ情報のすりあわせをしたいのは山々なのですが。
カララクルさんにしても、アライさんの件は別にしても私にロトリーの国に来て欲しい思惑がありそうですね。
「…ロトリーの船って、人が乗れるのかしら? それともセイホウ王国の定期船の方で行くことになるのかな? あ、船団の方にはいったんネイルコードに戻ってもらうことになるのかな?」
ここは話に乗った方が良いかなと思いましたが。さて、ネイルコード勢のみんなとはどうしたもんだと思っていると。
「あ。レイコ、私たちを置いてくつもりですよ、ネタリアさん」
「…レイコ殿。実はクライスファー陛下から親書を預かっております。東の大陸に行くことになった場合に渡すよう、言いつかっておりました」
こんなこともあろうかとという感じで、ネタリア外相が書類入れから封書を出しました。
出回り始めた"紙"の封筒ですね。受け取って開封し、内容を確認します。
内容はまぁかいつまんで言えば。
・最終的にレイコ殿がどこの国に定住することになっても、ネイルコード国としては異を唱えない。
・レイコ殿の移動に際して、今回派遣した船団を、過度の危険が無い前提で2年の制限付きでレイコ殿の意向に沿った航海に使用することを許可する。諸経費については、今までの恩義を鑑み、ネイルコード側で負担する。
・ただ。私も含め多くの者がレイコ殿に親愛の情も持っている。出来れば無事に帰ってきて欲しい。
船団でしばらく自由に行動しても良いけど、ちゃんと帰ってきてね待ってるよ…って事ですね。
最後の一行は…うれしいですね。
「レイコ。東の帝国の魔女のことは、元々確認しに行きたかったんでしょ?」
外で子供達と戯れているセレブロさんを確認するために窓際にもたれているマーリアちゃんが言います。
「いろいろ話をしたいとは思っていたけど。…レッドさん、その人は私が会ってもいい人?」
「クーッ…」
レッドさんからは、『何を今更』って返ってきました。まぁここまで来たら確かにそうなのですが。
「今後は船の進歩と共に海が狭くなるとは言え、東の大陸までとなるとそう何度も来る機会があるとは限りません。出来るうちにしておくべきかと思います。それにネイルコードとしては、ロトリーの国ともなにかしら交流を結んでおきたいですね。ただ、カラサーム大使。セイホウ王国としてはいいのですか? セイホウ王国をの頭を飛び越してネイルコードがロトリーの国と交流を持っても」
ネタリア外相が後押ししてきますが。確かに、セイホウ王国が仲介する交流という形も有りと思います。
「ノゲラス宰相からは、ネイルコード国とロトリー国がどういう交流を持とうと関知はしないそうです。ただ、何かしら進展があったのなら、経緯と状況についての情報共有はお願いしたいと」
「どういう交流を持とうと…ですか」
カラサームさんの突き放したような物言いに、ネタリア外相が眉をひそめます。
本来最悪を考えるのなら、ネイルコードとロトリーが手を組んで攻めてくるなんて話も想定しておくべきかなと思うんですけど。手放しで同意するのはちょっと怪しい…ってところでしょうか。
「ネイルコードには、レイコ殿がおられるからピンとこないかも知れませんが。東の帝国の魔女が帝国を滅ぼした…かも知れないということは留意しておいていだきたいのです。その火筒という武器も、帝国の魔女が"人"を滅ぼすためにロトリー達にもたらしたのだとしたら…」
「そ…そんなまさか。いや、しかし…」
ネタリア外相が動揺しています。
確かに。私も、帝国の魔女が帝国を滅ぼしたのは当時の帝国との間の問題であって、ネイルコードら西の大陸の国々には関係ない…と思い込んでいた節があります。そもそも私なら、例え最初に訪れたのがダーコラだったとしても、国丸ごと滅ぼそうなんて考えることは無いですし。
「ロトリー達を前にして言って良いことか分かりませんが…我々にとって東の大陸は、今でも畏怖の対象なのです」
帝国の魔女が健在なら…それはやはり恐ろしいでしょうね。
「…カララクル殿としても、ネイルコード国との国交については構わないということですか? レイコ殿を黒の女神に合わせてもいいのですか?」
何が起こるか分からないよ…というニュアンスでネタリア外相が語ります。ちょっと戸惑った…ように見えるカララクルさん。
「火筒は既にセイホウ王国側には知られていると思ってます。たた、その根幹の製法についてまでは漏れていないてしょう。材料が手に入りませんからね。ロトリーとしては、黒の女神と共にこちらに危険な武器があるということか、"人"に対する防衛…抑止力といいましたか、それになると思ってました。」
ロトリー側でも、抑止を考えていたということです。
軍備を戦争を起こさないための備えと考えるのなら、新兵器ってのは敵に知られて過大評価されるのが理想です。
「しかし。"人"側にはレイコ殿がおられますし、レイコ殿は火筒についても詳しいようて。となると、ロトリーと"人"のバランスを取るために、レイコ殿はネイルコードでも火筒を作られるのては無いですか?」
「…むーん」
「ク~っ?」
ネタリア外相をチラ見します。
「銃自体の構造は、ネタリア外相にも分かりますよね?」
「はい。意外とシンプルで」
「この"火薬"は作れると思いますか?」
「…正教国の元マナ研なら、なにかしら情報があるかも知りません。または、マナそのもので代用することも出来るかも。対象を加熱するようなマナ術は既にありますからね」
ユルガルムの工房で、硝石のサンプルは見たことがあります。そのサンプルは西からもたらされたものでした。なら、火薬に気がついているかはともかくとしても、原料はすでにあるでしょう。
私だって戦争なんてものはまっぴらです。ただ、どちらか片方が軍事的に優勢になるという状況が戦争を誘発する物でもあります。勝てる戦いなら戦争に対するハードルが下がるのです…とお父さんが言ってました。
脅されないと攻撃するのを止めないのが人間なのか…ちょっと絶望してしまいましたね。国家に真の友人はいない…でしたっけ。
カララクルさんが言っているのは、要はこういうことです。
私は、アライさんの居る国を攻撃したいなんて思わないですし。"人"の大陸の国で攻撃しようとするところがあれば止めるでしょう。
要は、ロトリー国もセイホウ王国も、私にそういうことを期待しているのです。
…帝国の魔女は何を考えているのでしょう? 昔、聖女としてレイコバスターをふるったのは、"人"に味方するため…に見えますが。東の大陸に籠もっているところを見ると、ロトリーを守るために"人"を西へ追いやっただけかも?
「こういう言い方は卑怯ではありますが。レイコ殿には双方の抑止力になって欲しいのが、セイホウ王国の考えです」
…私は、見た目は女児、中身は…延べ年齢でアラサーだけど。それでもなんで小市民な私が世界のパワーバランスとか考えないと行けないのよ!…などと思いつつ。
遠い未来と見えて、そう遠くない未来。地球で言うところの近代的な政府と軍隊を持った異種族の二つの国家。さらにその背後に、私と同じようなマナで出来た存在。そんなのを相手に立ち回らないと行けないのでしょうか?
繰り返しますが。私、小市民ですよ? 地球では研究員やっていただけの、いち若造ですよ? バトル漫画の登場人物では無いんですよ。
「お…重たいなぁ…」
「クゥ…クックー…」
腕組んで後ろにのけぞると、肩に乗っていたレッドさんが支えようとしてくれます。
「私に…永遠にこの世界の調停者にでもなれってこと? そこまで…責任持てないですよ。そんなのむしろ赤井さんの役目でしょ?」
帝国の魔女が帝国を滅ぼしたとき、赤井さん…赤竜神は干渉しなかったのでしょうか? その後、西の大陸に一緒に現われているのですから、その後の話が無いわけもないと思うのですが。…もしかして帝国を滅ぼしたのは赤井さん? 滅ぼされるような何をやらかした東の帝国?
ああ…この期に及んで悪い想像がボコボコと沸いてきますね。
「レイコ殿…、そんなに気負わないでください。確かにレイコ殿の武威と英知に頼る事は多々あるでしょうが。それでも我々の世界のことです。その成り行きに対して、レイコ殿が責任を感じる必要は無いのですよ」
「レイコの影響が小さいなんてことは無いけど。レイコから与えられた物をうまく活用できるかはみんなの責任よ。そのくらいは押しつけて良いと思うわよ。それにもし、赤竜神様が何か企んでいるのなら、それこそ私たちにどうこうできることでも無いでしょ? レイコ殿が東の大陸で何やったところで、大して変わらないわよ。だったら、知るべき事を調べに行った方が寝付きが良くなるわよ」
ネタリア外相とマーリアちゃん…
そうですね。何も知らないままではなにも始まりません。会った結果、どうなるかは未知数ですが…
「…そうね…先輩に会いに行きますか」
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