162 / 339
第5章 クラーレスカ正教国の聖女
第5章第019話 正教国への再勧誘
しおりを挟む
第5章第019話 正教国への再勧誘
・Side:ツキシマ・レイコ
爆破工事も本日分は無事終わりましたが。
ふと見ると。見学していたリシャーフさん達が青い顔をしています。
「あの…やはり巫女様には正教国に来ていただいてその御力を…」
「っ! 待ちなさいっトゥーラっ!」
トゥーラさんが、再度勧誘をかけてきますが。リシャーフさんが止めます。
私は構わずに応対します。
「赤竜教のために御力をって。具体的に私にどうしろとおっしゃっているのでしょう?」
「具体的に…と言われてましても…」
「例えば、正教国に逆らう国の人達を"あれ"で皆殺しにしろということですか? 教会の名の下でそれをすれば、確かに他の国はひれ伏すでしょうね」
「いえっ! 私はそんなことは…」
「じゃあ、先ほどのレイコ・バスターを誰に使えと?」
「! なにも戦争にだけ使えなんてことでは…」
「戦争にだけってことは、戦争にもってことですよね?」
「しかし…ダーコラ国との国境紛争時には、実際にあの御技を使われたという話を…」
うーん?。トゥーラさん、ちょっと様子が変な感じもしますが。
「あれは、ネイルコード国側の農地への水を堰き止めていた関を壊しただけです。私は、レイコ・バスターで人を殺したことは無いですし。攻撃にしても正当防衛のためにしかしませんよ?」
「レイコ、"せいとうぼうえい"って何?」
マーリアちゃんが聞いてきます。
「向こうが先に手を出してきたから反撃したって意味よ」
「なるほど、そういうことね」
いや、正当防衛というより専守防衛かな? 防げる確約がないと使える理念ではないですけどね。
それに、あのダーコラ国との国境紛争の時には、…赤い鎧の人数名とバッセンベル領の略奪者をボコっただけですよ?
ん? 略奪者達の場合は正当防衛…なのかな? 現行犯逮捕かも。
「それなら! 自分の祖国に徒成す国に対してなら、攻撃もしかたないのでは?」
「…それって、正教国から見たらネイルコード国も入りますよね?」
「そ…それは…」
「言いよどむって事は、ネイルコード国の事を、まぁ仮想敵国としているってことですか」
「レイコ、"かそうてきこく"って何?」
「その国と戦うことを前提に、準備や戦い方を考えておくってことよ」
「考えるだけ?」
「隣の国が自分の国と戦うことを前提に準備を始めたら、それはもう戦争するぞと宣言しているのと同じだと思うんだけど」
「なるほど、たしかに」
マーリアちゃんが納得したところで。
「いえ!私はなにもネイルコード国との戦争を望んでいるわけではっ! ただ、巫女様が正教国に来ていただければ、より民の戦争による苦難を取り除けるのではないかと…」
「でも、正教国の武力になるってことは、ネイルコードは無視できませんよね? ネイルコードが自分たちを差し置いて幸せな国になることが許せないとか。赤竜教が至高であるために自分たち以外は不幸でいなくてはいけないとか。そんな話ですか?」
言葉にすると、とんでもなく傲慢な話ですが。…さすがに本気でそこまで思って言っているわけでは無いようですが、結果として言っていることは同じようなことになってしまいます。
「昨日も言いましたけど。だったらまず、自国の民から教義の名目で搾取するのを止めて、自国の民を幸せにするところから始めるべきです。正教国の目指すところが正しいものなら、私なんかを必要とせず、自らの言葉と行いで人々を導くことが出来るはずです」
正論でフルぼっこしている気分ですけど。なんか話がかみ合わない気もしています。
「ネイルコードは、それが出来ている国ってことよねっ!」
アイリさんが、ふんすと宣います。彼女はアイズン伯爵の信奉者ですからね。
既に実現出来ている国があるのですから。夢想とか理想主義とは言わせませんが。
「再度聞きます。私を連れてって何をさせたいのですか?」
トゥーラさん、何も言えなくなりました。
「今レイコちゃんを連れてったら、多分正教国がいろいろ壊されますよ」
エカテリンさんが突っ込み入れてきますよ…
「…否定できないし、降りかかる火の粉は払いますけど。望んで火の粉を被ったり火を付けには行かないですからね? 怒るのは好きでやっているんじゃないんですから。私は小市民です、ただ穏やかに過ごしたいのです」
「…みな、今日の作業は終了だ。領主館に戻ろう。料理長がまたレイコ殿に教わった新作を作ってくれているそうだ」
ナインケル様に閉めていただきました。
帰り道。リシャーフさんが先ほどのトゥーラさんについて謝罪してきました。
落ち込んでいるトゥーラさんは、バール君にべったりです。
リシャーフさんからちょっと事情を聞きました。
トゥーラさんはもともと、正教国の隣の国の貴族の令嬢だったそうなのですが。反正教国…というか反拝金派の隣領の貴族が反乱を試みまして。理由は、拝金派が原因の重税だとか。
最終的には正教国からの派兵支援で鎮圧されたとはいえ、トゥーラさんの実家が親拝金派というわけではないことが理由で正教国からの支援が遅れたことがトゥーラさんの領の被害を拡大させたそうで。そのときの正教国の派兵に関わったのがルシャールさんで、それが縁でトゥーラさんが侍従になったとか。
拝金派がいなければ隣領も反乱を起こさなかったでしょうし。拝金派がいなければ支援が遅れて自領が被害を受けることもなく。本来味方となったかもしれないその反拝金派の隣領をルシャールさんが鎮圧する必要もなかったわけで。ルシャールさんにとってもトゥーラさんにとっても、非常に後味の悪い結末になったそうです。
正教国のためにと言うよりは、ルシャールさんが正教国をまとめるための力を貸して欲しい…というのが、トゥーラさんの言動の真意のようです。
私を暴力装置としてだけ頼るのも違う話だというのは、理解してくれたようですが…
…私にその話するの、ズルくね?
領館での夕食には、グラタンが出てきました。
夏にグラタン?とも思うところですが。ユルガルム領はネイルコード国の北方ですので。世が世なら避暑地として栄えそうな感じの陽気です。朝晩はちょっと涼しいのでねグラタンはアリっ!ですね。
ショートパスタは、パスタ生地から型抜きしたものをくるっと巻いて一つずつ人海戦術ですよ。マカロニみたいな押し出し機も作って貰いましょうか。食べやすく、ソースが絡みやすいと言うのが、ショートパスタの身上です。
ユルガルムのジャガイモは、ポテトグラタンにも合いますね。ほくほくです。
目玉は、港のあるユルガルムならではということで、エビやイカの入ったシーフードグラタン、これは素晴らしいです。焦げ目の入ったカリカリのチーズを割りながら、クリームを絡めたエビのおいしいことっ!。
スープを焼くという発想はなかったと、イストラ料理長も喜んでおります。冬にはさらにおいしい海産物が上がってくるので、今から楽しみだそうです。…エイゼル市からユルガルムに冬に来るのは厳しいのが、残念ではあります。
そう言えば、辺境候家の方々は、もうエビとかイカは大丈夫なんですね。え?冬に散々食べた? 既に漁獲量も増えつつあるそうです。
「…もうレイコちゃんのせいにしてもいいよね」
アイリさんが呪詛を吐きつつ、グラタンを召し上がっておられます。勘弁して下さい。
リシャーフさん達、どうにも大人しくなってしまいました。
私の正教国への招喚に関して、首脳陣とは違う思惑があることは分りましたけど。レイコ・バスターを見た後では、私が正教国首脳陣を説教してくれるというよりは、わたしが暴れること前提で誘っていたことにトゥーラさんも気がついたようです。まぁ、ぶっ飛ばした方が手っ取り早いという絶望感もあるようですが。
ただ、暴れたとしてそれが正教国の中だけで収まる話なのかというと非常に怪しく、ネイルコードが巻き込まれる事態になる可能性もそこそこ…
別に暴れることが好きなわけでもないので、楽しいことが皆無の状態の正教国に行きたいとは思えませんが…
うーん。どうにも気になって、料理も開発も、イマイチ気が入らなくなりました。
正教国。ネイルコード国としても無視は出来ない国ですし、私もずっと無関係というわけにはいられないと思います。
いつか対処しなくちゃいけないのなら、とっととやってしまった方が良いんでしょうかね? …親知らずを抜くかどうか迷っているような気分です。
あの後、リシャーフさんがトゥーラさんを連れて謝罪に来ました。ただ、何についてとか何が間違っていたか等の言及はありませんでした。どうしたら良いのか分らなくなっているのは、リシャーフさんらも同じのようです。
…エイゼル市の方に戻ったら、一度ローザリンテ殿下に相談してみましょう。
ユルガルムには結局二週間ほど滞在し、明後日のエイゼル市行きキャラバンの出発に合わせてエイゼル市に戻る事になりました。
ハンマ親方は、マルタリクでは試作していた蒸気機関をここでもう一つ作る羽目になりました。サナンタジュもそれに感銘を受け。まずは井戸のポンプと組み合わせて鉱山などの排水に使うことを目標に、一段階ずつ大型化していくそうです。もしそこまで出来たのなら、車載や船なんかもすぐに出来そうです。
マナ回路の方は、冷蔵庫にしろクーラーにしろ、やはり冷却側をどうするかが課題になってまして。いくつかアイデアが出ているところですが。ここは冷却の要であるファン用モーターの開発待ちですね。すでに、軸周りを金属で作ったモーターがファンを回すなんてところまで試作されています。もう扇風機くらいなら作れるでしょう。
モーターの機構そのものは難しくないのですが、原理を理解して効率よく動くようにするってところと、マナ回路を扱える人が少なすぎるってのが難点なようで。ノドムさん自身がユルガルムに残って、マナ回路部分の開発を引き続きすることになりました。
エルセニム国での人材発掘については、同行していた他のエルセニム人の方が一旦エルセニム国に戻って選抜を行なうそうです。エルセニム国のマナ鉱床が有望なものなら、向こうで作れるものは向こうで作った方が早いですからね。エルセニム国の産業とか教育改革とか、アイズン伯爵もいろいろ計画しているようです。
・Side:ツキシマ・レイコ
爆破工事も本日分は無事終わりましたが。
ふと見ると。見学していたリシャーフさん達が青い顔をしています。
「あの…やはり巫女様には正教国に来ていただいてその御力を…」
「っ! 待ちなさいっトゥーラっ!」
トゥーラさんが、再度勧誘をかけてきますが。リシャーフさんが止めます。
私は構わずに応対します。
「赤竜教のために御力をって。具体的に私にどうしろとおっしゃっているのでしょう?」
「具体的に…と言われてましても…」
「例えば、正教国に逆らう国の人達を"あれ"で皆殺しにしろということですか? 教会の名の下でそれをすれば、確かに他の国はひれ伏すでしょうね」
「いえっ! 私はそんなことは…」
「じゃあ、先ほどのレイコ・バスターを誰に使えと?」
「! なにも戦争にだけ使えなんてことでは…」
「戦争にだけってことは、戦争にもってことですよね?」
「しかし…ダーコラ国との国境紛争時には、実際にあの御技を使われたという話を…」
うーん?。トゥーラさん、ちょっと様子が変な感じもしますが。
「あれは、ネイルコード国側の農地への水を堰き止めていた関を壊しただけです。私は、レイコ・バスターで人を殺したことは無いですし。攻撃にしても正当防衛のためにしかしませんよ?」
「レイコ、"せいとうぼうえい"って何?」
マーリアちゃんが聞いてきます。
「向こうが先に手を出してきたから反撃したって意味よ」
「なるほど、そういうことね」
いや、正当防衛というより専守防衛かな? 防げる確約がないと使える理念ではないですけどね。
それに、あのダーコラ国との国境紛争の時には、…赤い鎧の人数名とバッセンベル領の略奪者をボコっただけですよ?
ん? 略奪者達の場合は正当防衛…なのかな? 現行犯逮捕かも。
「それなら! 自分の祖国に徒成す国に対してなら、攻撃もしかたないのでは?」
「…それって、正教国から見たらネイルコード国も入りますよね?」
「そ…それは…」
「言いよどむって事は、ネイルコード国の事を、まぁ仮想敵国としているってことですか」
「レイコ、"かそうてきこく"って何?」
「その国と戦うことを前提に、準備や戦い方を考えておくってことよ」
「考えるだけ?」
「隣の国が自分の国と戦うことを前提に準備を始めたら、それはもう戦争するぞと宣言しているのと同じだと思うんだけど」
「なるほど、たしかに」
マーリアちゃんが納得したところで。
「いえ!私はなにもネイルコード国との戦争を望んでいるわけではっ! ただ、巫女様が正教国に来ていただければ、より民の戦争による苦難を取り除けるのではないかと…」
「でも、正教国の武力になるってことは、ネイルコードは無視できませんよね? ネイルコードが自分たちを差し置いて幸せな国になることが許せないとか。赤竜教が至高であるために自分たち以外は不幸でいなくてはいけないとか。そんな話ですか?」
言葉にすると、とんでもなく傲慢な話ですが。…さすがに本気でそこまで思って言っているわけでは無いようですが、結果として言っていることは同じようなことになってしまいます。
「昨日も言いましたけど。だったらまず、自国の民から教義の名目で搾取するのを止めて、自国の民を幸せにするところから始めるべきです。正教国の目指すところが正しいものなら、私なんかを必要とせず、自らの言葉と行いで人々を導くことが出来るはずです」
正論でフルぼっこしている気分ですけど。なんか話がかみ合わない気もしています。
「ネイルコードは、それが出来ている国ってことよねっ!」
アイリさんが、ふんすと宣います。彼女はアイズン伯爵の信奉者ですからね。
既に実現出来ている国があるのですから。夢想とか理想主義とは言わせませんが。
「再度聞きます。私を連れてって何をさせたいのですか?」
トゥーラさん、何も言えなくなりました。
「今レイコちゃんを連れてったら、多分正教国がいろいろ壊されますよ」
エカテリンさんが突っ込み入れてきますよ…
「…否定できないし、降りかかる火の粉は払いますけど。望んで火の粉を被ったり火を付けには行かないですからね? 怒るのは好きでやっているんじゃないんですから。私は小市民です、ただ穏やかに過ごしたいのです」
「…みな、今日の作業は終了だ。領主館に戻ろう。料理長がまたレイコ殿に教わった新作を作ってくれているそうだ」
ナインケル様に閉めていただきました。
帰り道。リシャーフさんが先ほどのトゥーラさんについて謝罪してきました。
落ち込んでいるトゥーラさんは、バール君にべったりです。
リシャーフさんからちょっと事情を聞きました。
トゥーラさんはもともと、正教国の隣の国の貴族の令嬢だったそうなのですが。反正教国…というか反拝金派の隣領の貴族が反乱を試みまして。理由は、拝金派が原因の重税だとか。
最終的には正教国からの派兵支援で鎮圧されたとはいえ、トゥーラさんの実家が親拝金派というわけではないことが理由で正教国からの支援が遅れたことがトゥーラさんの領の被害を拡大させたそうで。そのときの正教国の派兵に関わったのがルシャールさんで、それが縁でトゥーラさんが侍従になったとか。
拝金派がいなければ隣領も反乱を起こさなかったでしょうし。拝金派がいなければ支援が遅れて自領が被害を受けることもなく。本来味方となったかもしれないその反拝金派の隣領をルシャールさんが鎮圧する必要もなかったわけで。ルシャールさんにとってもトゥーラさんにとっても、非常に後味の悪い結末になったそうです。
正教国のためにと言うよりは、ルシャールさんが正教国をまとめるための力を貸して欲しい…というのが、トゥーラさんの言動の真意のようです。
私を暴力装置としてだけ頼るのも違う話だというのは、理解してくれたようですが…
…私にその話するの、ズルくね?
領館での夕食には、グラタンが出てきました。
夏にグラタン?とも思うところですが。ユルガルム領はネイルコード国の北方ですので。世が世なら避暑地として栄えそうな感じの陽気です。朝晩はちょっと涼しいのでねグラタンはアリっ!ですね。
ショートパスタは、パスタ生地から型抜きしたものをくるっと巻いて一つずつ人海戦術ですよ。マカロニみたいな押し出し機も作って貰いましょうか。食べやすく、ソースが絡みやすいと言うのが、ショートパスタの身上です。
ユルガルムのジャガイモは、ポテトグラタンにも合いますね。ほくほくです。
目玉は、港のあるユルガルムならではということで、エビやイカの入ったシーフードグラタン、これは素晴らしいです。焦げ目の入ったカリカリのチーズを割りながら、クリームを絡めたエビのおいしいことっ!。
スープを焼くという発想はなかったと、イストラ料理長も喜んでおります。冬にはさらにおいしい海産物が上がってくるので、今から楽しみだそうです。…エイゼル市からユルガルムに冬に来るのは厳しいのが、残念ではあります。
そう言えば、辺境候家の方々は、もうエビとかイカは大丈夫なんですね。え?冬に散々食べた? 既に漁獲量も増えつつあるそうです。
「…もうレイコちゃんのせいにしてもいいよね」
アイリさんが呪詛を吐きつつ、グラタンを召し上がっておられます。勘弁して下さい。
リシャーフさん達、どうにも大人しくなってしまいました。
私の正教国への招喚に関して、首脳陣とは違う思惑があることは分りましたけど。レイコ・バスターを見た後では、私が正教国首脳陣を説教してくれるというよりは、わたしが暴れること前提で誘っていたことにトゥーラさんも気がついたようです。まぁ、ぶっ飛ばした方が手っ取り早いという絶望感もあるようですが。
ただ、暴れたとしてそれが正教国の中だけで収まる話なのかというと非常に怪しく、ネイルコードが巻き込まれる事態になる可能性もそこそこ…
別に暴れることが好きなわけでもないので、楽しいことが皆無の状態の正教国に行きたいとは思えませんが…
うーん。どうにも気になって、料理も開発も、イマイチ気が入らなくなりました。
正教国。ネイルコード国としても無視は出来ない国ですし、私もずっと無関係というわけにはいられないと思います。
いつか対処しなくちゃいけないのなら、とっととやってしまった方が良いんでしょうかね? …親知らずを抜くかどうか迷っているような気分です。
あの後、リシャーフさんがトゥーラさんを連れて謝罪に来ました。ただ、何についてとか何が間違っていたか等の言及はありませんでした。どうしたら良いのか分らなくなっているのは、リシャーフさんらも同じのようです。
…エイゼル市の方に戻ったら、一度ローザリンテ殿下に相談してみましょう。
ユルガルムには結局二週間ほど滞在し、明後日のエイゼル市行きキャラバンの出発に合わせてエイゼル市に戻る事になりました。
ハンマ親方は、マルタリクでは試作していた蒸気機関をここでもう一つ作る羽目になりました。サナンタジュもそれに感銘を受け。まずは井戸のポンプと組み合わせて鉱山などの排水に使うことを目標に、一段階ずつ大型化していくそうです。もしそこまで出来たのなら、車載や船なんかもすぐに出来そうです。
マナ回路の方は、冷蔵庫にしろクーラーにしろ、やはり冷却側をどうするかが課題になってまして。いくつかアイデアが出ているところですが。ここは冷却の要であるファン用モーターの開発待ちですね。すでに、軸周りを金属で作ったモーターがファンを回すなんてところまで試作されています。もう扇風機くらいなら作れるでしょう。
モーターの機構そのものは難しくないのですが、原理を理解して効率よく動くようにするってところと、マナ回路を扱える人が少なすぎるってのが難点なようで。ノドムさん自身がユルガルムに残って、マナ回路部分の開発を引き続きすることになりました。
エルセニム国での人材発掘については、同行していた他のエルセニム人の方が一旦エルセニム国に戻って選抜を行なうそうです。エルセニム国のマナ鉱床が有望なものなら、向こうで作れるものは向こうで作った方が早いですからね。エルセニム国の産業とか教育改革とか、アイズン伯爵もいろいろ計画しているようです。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
1人生活なので自由な生き方を謳歌する
さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。
出来損ないと家族から追い出された。
唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。
これからはひとりで生きていかなくては。
そんな少女も実は、、、
1人の方が気楽に出来るしラッキー
これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
母に理不尽に当たり散らされたことで家出した私は――見知らぬ世界に転移しました!?
四季
恋愛
幼い頃、同居していた祖母から言われたことがあった。
もしも嫌なことがあったなら、電話の下の棚から髪飾りを取り出して持っていって、近所の神社の鳥居を両足でくぐりなさい――。
◆
十七歳になった真琴は、ある日母に理不尽に当たり散らされたことで家出した。
彼女が向かったのは神社。
その鳥居をくぐると――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる