玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす

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第4章 エルセニム国のおてんば姫

第4章第026話 王国での報告会

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第4章第026話 王国での報告会

・Side:クライスファー・バルト・ネイルコード (ネイルコード国国王)

 たった一月半。我妻リーテがダーコラ国に向かうと言い出したときには、気が気では無かったが。この短期間でダーコラ国の首をすげ替えてきおった。
 今は定例の御前会議、いつもの面子にアイズン伯爵がおらず、リーテが参加している。アイズン伯爵は、ユルガルムにて冬に生まれた孫の顔を見に行くのだということで。王都の仕事に関しては数ヶ月ほど休みとなる。まぁ普段から忙しく、ダーコラ国でも働いてもらったのだ。ここはゆっくり休んで貰おうか。

 「まずはリーテ。ダーコラ国での働き、ご苦労だった。ここで再度、説明をしてもらえるか?」

 私は既に一通り聞いているが。会議の面々にも改めて経緯を説明してもらう。
 去年の国境紛争から、エルセニム国マーリア姫のレイコ殿襲撃。船団でダーコラ国に赴き圧力をかけ、エルセニム国との同名打診に、レイコ殿がエルセニム国とともに王都を急襲。女性奴隷を連れて逃げだそうとした王太子を再起不能にして、そのまま国王が降伏。
 小領で隠遁していたリーテの甥を国王に担ぎ、まともそうな官僚貴族と軍人で組閣して、現在に至ると。

 「リーテ、ダーコラとの決着は付いたということでいいか?」

 今回の件で、一番の感慨があるのはダーコラ出身のリーテであろうからな。

 「はい、陛下。…ただ、父と兄の死因については、まだ調査に時間がかかりそうです。父についてはもう四十年前の話ですし、関係ありそうな者もすでに死んだ者が多くて。もちろん、自然死の可能性も無きにしも非ずですが」

 リーテの父、当時の国王の弟が亡くなったのは、リーテがまだ十代中盤の頃の話だ。長兄継承の慣例でリーテの父の兄が王位に就いたが。優秀だったリーテの父を推す声は、当時かなり多かったらしい。
 リーテの兄が亡くなったのは、リーテが私に嫁いできてからの話だ。当時は書簡で弔報が知らされただけで、ダーコラに帰ることもままならなかったがな。

 「うむ。気が済むまでやりなさい。アイズン伯爵が盛られたという毒についても、出所は抑えておきたいしな」

 「承知いたしましたわ」

 続いて、同行していたネタリア外相が報告する。
 港町バトゥー、王都、オルモック伯爵領、エルセニム国。このラインを結ぶ地域は、親ネイルコード国な軍人と貴族で抑えることが出来た。
 ダーコラ国の東側、すなわちネイルコード国境よりの地域は、もともとネイルコード国への領土拡張を主張する者達が多い。自分たちが歴史的に上流だという意識が抜けておらんのだろうな。しかし、レイコ殿が国境紛争で無血でダーコラ国軍を退かせたことによって、立ち位置が微妙になってきておる。攻めても勝てない、王都は親ネイルコード勢力で抑えられた。今頃は挟み撃ちの気分だろう。

 ダーコラ国の西側、正教国との国境沿いには、もともと親正教国な者達が揃っている。一応ダーコラ国には所属しておるが。心情的にはほぼ正教国の配下だろう。
 中央から正教国に繋がりの強い物らを排除できたということもあり。この東部諸侯をどうするかが今後の政策の肝となる。

 「東の諸侯らは、今回の政変で"動かなかっただけ"の功績をもって、反ネイルコード国の雰囲気のある西側の領主と、領地を増やす名目で入れ替えをさせる予定ですわ」

 入れ替えられる西の諸侯らはどう反応するのかと思ったが。今のところの打診では、正教国に近い領地に移動ということで、むしろ喜びそうだとのことだ。それでもレイコ殿のことは国境紛争の時に理解しているだろう。親正教国とは言え、ネイルコード国や新ダーコラ国に牙を剥くことは難しいと思われる。

 西に移る東諸侯ら。領地変えの原因としてネイルコードを逆恨みするか。領地をさらに広げる好機と見てネイルコードを狙うか。まぁ正教国から離した状態でも正教国のために動こうとする者なら、それを大義名分にして潰せは良い。

 港町バトゥーを経由して海上からの貿易も開始される。ダーコラ国の中央を豊かにしていけば、時勢が理解できる貴族なら、正しい去就を選択できるはずだ。

 国境から陸路の貿易も検討しているが。
 国境の三角州は、ネイルコード国側で整備が行なわれることになる。定期的に氾濫する河がやっかいだが、反乱激しい河の整備と橋梁の建設で、ネイルコードからダーコラまでの街道を整備する計画だ。
 内相が、レイコ殿に協力していただいて、レイコ・バスターで河の要所に大穴を穿いて曲がりくねった河を繋ぎ、流れを一本に固定してしまうという案を出してきた。ある程度の堤防の工事も必要となるが。あの三角州を開拓出来れば、相当な耕作地が得られるだろう

 ネイルコード国の経済に飲まれてなおネイルコードに反抗するか。この領地替えは、そのへんを見極めにもなる。



 「正教国の動きはどうだ?」

 「今のところ、動くに動けずと言うところかと思います」

 奴隷の廃止と、ダーコラ国戴冠式の執り行い。主にここが正教国とぶつかるところだな。
 まぁ普通に考えて、奴隷制を神の御心に則った素晴らしい制度…などと、レイコ殿に対して主張できるわけも無く。教義をあれこれこじつけた上でやっと正当化しているようなものだからな。
 戴冠式にしても、赤竜神の巫女様が執り行うことを否定することも出来まい。せいぜい、慣例とか手順とかで苦言を呈するのが関の山だろう。

 「やはり正教国対策では、レイコ殿と小竜様が要か…」

 もしこれがレイコ殿だけだったなら、まぁ偽物だとか黒髪の魔女だとか決めつけることでなんとか言い逃れが出来たかもしれないが。あの小竜様が一緒では、赤竜神の巫女であることを否定するのは無理だろう。
 正教国からずっと北にある山脈に住まう赤竜神。これが伝説だけの存在ならともかく、たしかに実在している。そして、その赤竜神に使わされた巫女と小竜が、教義を否定する。これは教会にとっては痛いだろうな。

 もっとも、ネイルコードの教会では、このことを喜んでいる者も多い。教義や教会の運営方針について対立して"田舎"に飛ばされてきた祭司も多いからな。レイコ殿の宣言を元に教義を見直すべきだと言い始めた者達もいるし。赤竜神の巫女と小竜を有した今こそ、ネイルコード国の教会が正当な赤竜教を名乗るべきだという主張も出てきている。もっと、当のレイコ殿が嫌がるだろうと言うことで抑えておるがな。今更教会に国を牛耳らせるつもりは無いぞ。

 「やはり懸念は、正教国の出方だな。完全に面子を潰された形だから、何も仕掛けてこないと言うことはないだろうが…」

 「いっそ仕掛けさせて、レイコ殿に正教国を吹き飛ばしてもらうというのは?」

 ザイル宰相が物騒なことを言い出したな。確かにその流れが一番簡単ではあるのだが…正直、レイコ殿にその重荷を背負わせたくはない。レイコ殿の心の平穏は、ネイルコード国の将来にも影響するだろうから。

 「私は反対だな」

 王太子アインコールが発言する。

 「一つ目。対応すべき国は正教国だけでは無い。正教国の向こう側にも国は存在する。やり方はともかくとしても、そういった国々を安定させている役目が正教国にはある。正教国が崩壊した場合、他の国々がどうなるか予想が出来ん。」

 最悪を考えれば、正教国の領地が周囲の国々に食い散らかされ、拡張主義に走った国々が共食いを始めると共に、ダーコラ国へも矛先を向ける可能性は高いな。

 「二つ目。私はレイコ殿の信頼を失いたくない。レイコ殿の周囲に危害が加えられたとなれば、それが過失だとしても、ネイルコード国への疑念は生じるだろう。それが長期的にどういう影響をもたらすのやら。現状、レイコ殿はほぼ献身と言って良いほどの協力をネイルコードにしてくれている。この国が今後も良い国であり続けようとしていると信じてくれている。ならば私はそれに答えたい」

 うむ。息子がきちんとレイコ殿の扱いを理解していることに安堵する。
 レイコ殿は、良くも悪くもお人好しだ。ただ、頭が悪いわけでは無い。
 いままでの我が王とのやり取りの中でも、その後ろにある我らの意図もいろいろ理解しているはずだ。

 「やっときますか? 最善と最悪」

 第二王子カステラードが提案する。

 「まず最善。正教国がレイコ殿せ赤竜神の巫女と認め、その意思を尊重し。彼女のネイルコード国滞在を認め、自国での奴隷制を積極的に廃止し、レイコ殿と友好を深めるように国を変えていく」

 こういうときには率先するマラート内相が最初に意見を述べる。

 「レイコ殿には積極的に正教国と対峙する理由も無くなり。正教国に招かれたとしても気兼ねなく行き来が出来るでしょうな。正教国に定住しないとしても、向こうにも十分利があるでしょう。…ただまぁ、レイコ殿はともかくとしても、赤竜教の象徴となり得る小竜様を正教国で抑えておけないままにするとは思えないし。今まで教義でごまかしてきた奴隷制を廃することは、自身の間違いを認めることでもありますからな。面子の塊のあの国がするとは思えませんな」

 自分で言って自分で否定するか、マラート内相よ。

 「…最善その二。レイコ殿に正教国のトップになっていただく」

 以前のレイコ殿対策会議でもそうだったが。ネタリア外相の意見は相変わらず突拍子も無い。

 「レイコ殿がネイルコードから去ってしまうと言う短所はありますが。実現すれば正教国が我が国の脅威になることは無くなるでしょうし。正教国がネイルコード国の友好国になるのなら、交流を妨げるものは無くなり、ダーコラ国も含めて共に発展する将来が約束されるでしょう。これらが纏まれば、この大陸での最大勢力となります」

 「レイコちゃんとレッドさんがこの国から居なくなるのは寂しいわね…」

 「では、私は最悪を」

 ザイル宰相も、こちらの考え方の方が得意だ。

 「ネイルコード国の破門をちらつかせて、レイコ殿と小竜様の引き渡しを要求。当然我々は拒否しますので、正教国は周囲の国をまとめてダーコラ国へ侵攻。そのままネイルコード国へ」

 最悪というか、一番あり得ると言って良い事態だな。腹立たしくはあるが。
 我が国の国教は赤竜教であるし。わしの戴冠にしても赤竜教のもとに行なわれている。まぁこの国でわしが破門されたからとわしの王位をどうこうできる勢力は無いが。正教国の息がかかった貴族らは動くかもしれんな。

 「我が国を破門したところで、国内の教会が正教国から独立するだけではないか?。肝心のレイコ殿と小竜様は、我が国におられるのですからな。ネイルコードで赤竜教の正当性我にありと宣言されることは、正教国にとっても痛手でしょう。それに、レイコ殿の力を知っていてなお攻めてきますかな?」

 マラート内相は、レイコ・バスターの信望者だからな。主に土木的な面で。

 「レイコ殿は、基本的に不殺です。レイコ・バスターにしても、それで人を殺めたことはありません。まぁ再起不能には何人かしておりますが、全て自業自得で同情の余地は無いですし。あれが軍に向けて使われないのなら、まだやりようはあるのでは?」

 「ふむ。まぁ小竜様に上から軍本部を見つけられて、直接迎撃されるだけだろうな」

 カステラードがなにか楽しそうだ。こういう空想軍議が昔から好きだからな。

 「中枢が1つだからそれで終わってしまうのです。そうですね、数十の部隊に分けてそれぞれに目的を予め指示しておいて各個に広い戦線から同時に進軍させる…とか」

 「レイコ殿に対しては有効だろうが。そうなったらなったで、こんどは我が軍に各個撃破されるだけだ。こちらの被害が皆無とは言わないが、そんな寄せ集めたような構成の軍ではとてもネイルコード国は落とせんぞ」

 「…なるほど理解しました。さすがはカステラード軍相」

 「まぁ進軍はともかく。破門などの教会方面からの圧力の準備と、レイコ殿の周囲に工作員をばらまくくらいは…もうしているはずだな。クエッタ・シクジリと言ったか、そんなやつも来ていただろ?」

 「そのクエッタ祭司は、正教国北方への左遷途中で行方不明らしいですわね」

 なんじゃ。すでに始末されていたか。

 「仮に、工作員がネイルコード国に…というより、レイコ殿の周囲に害するようなことをしたとして。我が国として正教国に何が出来る?」

 今はまだ、ダーコラ国を越えて我が国が軍を派遣することも出来ないし。攻められたとしても我が軍が負けると言うことはないだろうが、戦争をしてまで得るものも何も無い。

 「…戦争となっても、勝てる勝てない以前に得るものがありませんな。我が国が正教国を抑えたとしても、今度は周辺国からの攻撃に晒されるだけです。それこそ、レイコ殿を担ぎ上げて正教国をまとめていただくしかなくなるでしょう」

 ダーコラの時には、レイコ殿というコマを最大限活用してほぼ無血で解決できたが。正教国相手では難しいだろう。皆が利に聡く、本気で赤竜教に帰依して従っている周辺国など皆無なのだから。それぞれが勝手な理由で動いて混乱が波及するだけだろう。

 「ふむ。まとめると、正教国はレイコ殿と小竜様を諦めない。互いに軍事的手段は悪手であるので考え辛い。正教国の次の手が読めないが、向こうの悪手がこちらに利するとは限らない。こんなところか」

 「…とりあえずまた、積極的な現状維持でしょうか?」

 「歯がゆいが致し方あるまい。エイゼル市での警戒と、国外からの訪問者の確認と監視は強化しておけ」



 「ところで。マーリア姫の体はどうなんだ?」

 子供もいるアインコールが心配する。
 エルセニム国王女マーリア姫。正教国でマナ術強化の施術を受けたらしい。他にも同様の扱いをされた子供らがいたそうだが、マーリア姫以外の消息は不明だ。 …この件がある限りレイコ殿が正教国になびくことは無いだろうな。

 「ダーコラ国で、エルセニム国の医師とマナ術師にも診察させましたが。尋常ではない体内のマナ密度だそうです。魔獣に成れるんじゃないかというほどだとか。今のところ健康には問題は無いそうですが、長期的に見てどうなるかはなんとも言えないそうですわ」

 「うむ。…レイコ殿なら、なにかあっても対処できるのではないだろうか?」

 「そこは未確認ですが。そういう意味でもレイコ殿の側に置いときたいところですわね」

 「夏にかけてアイズン伯爵がユルガルムに向かう。レイコ殿も護衛として参加するだろうし、マーリア姫も着いていくんだろうな」

 「あと。エルセニム国から、マナ師を派遣してもらえることになった。レイコ殿が、エルセニム国ではマナのカンテラが点滅していたと言うのが、なにか酷く気になるらしい。レイコ殿と組ませれば、いろいろ面白いことが出来そうだ」

 「ネイルコード国でマナの加工と言えば、ユルガルムじゃな。丁度良い、アイズン伯爵達と共に一度ユルガルムに行ってもらうおうか」

 マラート内相は、アイズン伯爵とならんでこういうことに鼻が効く。防諜と言う面でも、ユルガルムでの開発は都合が良い。

 「…その施術について、マーリア姫から情報は得られないのですか?」

 ザイル宰相が訪ねる。たしかに兵士のマナ術を強化できるのなら、国にとっても大きな力になるだろうが。

 「興味があるのはわかりますが。成功例がマーリア姫だけと思われる現状、結果は惨憺たるものだと思って良いでしょうね。なによりレイコ殿の不興を買います」

 「そこは分りますが。知っておくに越したことは無いとは思うのです」

 「…一応聞き取りだけはしてあります。資料はあとで渡しますが、取り扱いには注意して下さい。レイコ殿に再起不能にされないようにね」

 「承知いたしました」

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